#51 感情は、『コンポジット』。

 こんにちは、鏑木澪です。

 自分が創作活動をはじめてから
「私は今、どんな感情を描きたいんだろう」
 これは日々考えています。

 ただ、考えればなにか「素晴らしい感情」を思いつく訳ではありません。

 思い返せば、「自分の意志」みたいなものを持ってからの私はずっと”怒って”いました。
 自分ではどうにもできない外部からの力、自分自身の能力、そういうものを見つけるたびに腹を立てていたのです。

 どうにかならないのか?

 壁があったら正面からぶち壊そうとしました。
 かなり頑張って背伸びをすれば、自分にもできると思えば無謀なことにも挑戦しました。

 怒りに任せて戦って疲れ果てた私には、”哀しみ”が残りました。

 どうにもならない。

 今はどうしたってこの感情が先頭に立っている気がします。

 喜ばしいことも、楽しいことも、怒りも
 すべて哀しみに落ち着く

 私の中ではこういう流れが出来上がってしまったのです。

 どんな感情も「哀」に落ち着くなら、考えても意味がありません。
 私は、「考えているつもり」なだけで、ただ悲しんで、なにも考えられなくなっていたのだと気がつきました。


「喜怒哀楽」を改めて考えようと思ったきっかけは、このラジオでした。

 これまでの記事も読んでくださっている方はご存知かと思いますが、私は最近、夏川椎菜さんのファンになりました。

 少しずつ夏川さんの関わっている作品や諸々を漁っているところです。

 ゲストの草野華余子さんは、個人的にはカヨコ名義の印象が強く、LiSAさんへの提供楽曲である『シルシ』『紅蓮華』『unlasting』、他にも私の好きなアーティストだと水瀬いのりさん、鈴木このみさんなどに提供された曲やアニメのキャラクターソングなどで「よく見る作曲家さん」というイメージでした。

 曲以外のところで草野さんを見たのは初めてですが、個人的に「男らしい乙女(強い女性=女性の強さ)」みたいな印象を曲から受けていたので、お話を聞いていて妙に納得してしまいました。
(褒め言葉のつもりです。優しい目で見てやってください)


 このお話を聞くまで私は、夏川さんの曲を聞いていて「怒っている」とはあまり感じていなくて「元気だな」と思っていました。

 私は「元気がないと怒れないよね(私にはもう怒る元気はない)」と思っている人間なので、ちゃんと怒りも感じていたのだと思いますが

 ポジティブな怒り=元気

 そういう感じ方なので、私の中にある「怒り=ネガティブ」と結びつかなくて混乱したのではないかと思います。
(なんかいってることが矛盾してる気がする)


 これを機に、感情に注目して夏川さんの2ndアルバム『コンポジット』を改めてじっくり聴いてみることにしました。

複雑すぎる世界のはずなのに
感情を4つに分けろって雑がすぎないか?

『ハレノバテイクオーバー』歌詞

転機来たし いざ喜怒哀楽
躊躇いなく曝そうじゃん

『烏合讃歌』歌詞

 出だし2曲で既に言及されているのに、私は気づいていませんでしたよ、このアルバムって

 「喜怒哀楽」を描いていたのか!?ッ

 ひとつの曲にただ「喜怒哀楽」を詰め込むのではなく、「この曲はこれ」みたいに振り切れているように見えて「この曲はこれとこれの間」「主にこの感情だけど、同時にこれもある」そんな感じがしました。

 全体的にちょっと皮肉っぽいところなんかもすごく好みです。


 本当に申し訳ないのですが、最近になって自分がアルバムを作りたいと考え始めるまで私は「アルバムってまとめて曲聞けて便利だよね」くらいの認識しかなく、曲順の意味とか、コンセプトとか、そういうものに全く注目していませんでした。(なんてやつだ)

 普段から、歌詞を読んでもあまりその意味は考えません。

 聴いた時、その時の自分に刺さった言葉だけ受け取りたいと思っているので、解釈なんて何回変わってもいいと思いますし、作った人の意思に反していたとしても、「私は今、それで元気が出たから、ありがとう」って、それでいいのではないかと思っています。
(制作陣からすると殴り飛ばしたくなるかもしれませんが)

 受け取る側も自由であってほしいと私は思っています。

 作る側は「伝えたいこと」がなければ作品にしないと思いますし、「これを意識した」わけではなくても「こうなってしまった」ところに、「本当に表現したいこと」が潜んでいる気がします。

 それをある程度、意識的にコントロールできる人がプロなのかな、と個人的に思います。


 そういえば、今回、このアルバムを聴いていて「濁音が気持ちいい」ことに気がつきました。

 力を入れたいタイミングで綺麗に濁点のついた歌詞が乗っています。
(個人の感想です←)

 私は自分が歌詞を書く時、どちらかというと「濁音は避けたい」と思っていることが多いです。(避けられていません←)
 やはり、こう「強い音(濁音)はしんどい(怖い)」みたいな気持ちがあるからです。
 逆に「そういう感じにしたいから濁音にしよう」と思っても、「ボカロだから歌ってくれるけど、人間は発音しにくいよな、この流れ」とかいうこともあって、なかなか苦労しています。

 がなりもいいけど、濁音でもできることあるぞ!

 そういわれたような気がしました。
(もっと違うこと感じとってほしい←)

 自分の曲でも効果的に使えるように挑戦していきたいです。


 はじまりはもちろん大切ですが、私は「締めくくり」の部分にメッセージを探してしまいがちです。

 このアルバムの最後に収録されている曲は、『クラクトリトルプライド』です。

 MVのサムネからもこの曲は「楽」に分類していいのではないかと思いますが、私の中では珍しく「泣きながら笑える曲」に分類されています。

どんなに道が選べたって
遠回りする癖だもん

『クラクトリトルプライド』歌詞

 この歌い出しの時点で「グサァッ」っときました。

 それ、私やん。
(誰かツッコんでやってくれ←)

 子供の頃習っていた武道の先生に
「もっと楽な道があるのに、わざわざ険しいほうを選んでいくな」
 そういわれた意味が歳をとるごとに少しずつわかったような気になっていたところに、深く突き刺さった感じです。

 その後に、続いていく歌詞も全てそうです。

ここにだけ居たいからさ
ここにしか居れんからさ

『クラクトリトルプライド』歌詞

 正解のないものに取組んでいる人には、かなり共感できる言葉で、とても励まされるのではないかと思います。

 思い出すと泣けてくるのに「哀しくない」のが不思議です。
 きっとまだ、希望が感じられるからです。


 1stアルバムの『ログライン』の最後は『ファーストプロット』で締められていますが、その歌詞に

目を見て話すように歌ってみせるから

『ファーストプロット』歌詞

 というのがあって、2ndアルバムの最後は

ほら目を見て話すように
それじゃ、受け取って

『クラクトリトルプライド』歌詞

 乙ですわ。
(「優れていて面白い」の意味です)

 これは、ぜひ聴いていただきたいところです。

 先輩ヒヨコ群のみなさまは「新米の君に教えてあげよう。それはだな」ということがあるかもしれませんが、どうかお手柔らかにお願いします。


 いやぁ、それにしても、これだけの異なる感情を詰め込んだアルバムなのに「夏川椎菜の音」になるのがすごいです。

 ボーカルと歌詞に目を向ければ当然かもしれませんが、あらためて「編曲の力」も感じました。

 全体的に「ボーカルが引っこんだミックス」だと思いますが、それで「曲そのもの(アレンジ)」がよく聞こえるのに「埋もれない歌声」に力を感じます。

 素晴らしいです!


 夏川さんの作品は、『ログライン』『コンポジット』というタイトルからも感じられますが、”クリエーターの視点”が反映されていて、「作っている人」に寄り添ってくれると思います。

 創作活動ばかりが「作る人」のすることではありません。

 例えば、思い出は「作る」より「できる」「なる」というほうが好きですが、その中心となる「人との関わり」はどんな形でも、日々作っている人が多いのではありませんか?

 拒絶するのもひとつの関わり方です。

 私は「泣きながら笑える曲」と出会えたので、また前向きに暮らしていきたいと思います。

 元気をくれる夏川さんに感謝です!

 そろそろ”哀しむ”のにも疲れました。

 感情って複雑ですね。

 ではでは〜
(といいながら続きあります←)

 P.S.

 少し前に「#34 『ぬけがら』、を思い出して。」という記事を書いた時、ヒヨコ群の方から反応をいただけるとは思っていなくて、優しい反応をいただけて、

 さすが、夏川さんを好きな人たちってやっぱり素敵だな。
(私もそうなりたい)

 そう思いました。

 嬉しかったです!
 ありがとうございました!

 うぅぅ、ライブ行きたいよォ。。。(T . T)


 P.S.のP.S.

 昨日は父の日でしたね。

 私の父は、「誕生日も祝われたくない」系の人です。
(口ではそういっています←)
 私も自然とそういう思考になったので、こういう「イベント」に疎いです。

 Twitterで「#夏川MAKEOVER2022」などを検索すると、どうやら、昨日のMCで父の日のことも言及されていたようですね。

 それを見るまで「まぁ、無理になんかしなくてもいいか」と思っていたのですが、「無理にはしなくていいけど、やっぱなんかしようよ、私」ってことで、チョロチョロっとお喋りしました。

 なんだか照れていて可愛かったです。
(私も謎に照れました)

 きっかけをくれた夏川さん、それを教えてくれたヒヨコ群のみなさまに感謝です。

 ありがとうございます!

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