【掌編小説】 帰り道は、黒猫と。
猫を拾った。
ひどく汚れた猫で、尻尾なんか靴紐のように細く、痩せこけていた。
「お前も、帰るところがないのか?」
先ほど買った割引シールの貼られた惣菜とビールは、この猫には食べられないだろう。
「ミルクがいいかな。普通のツナ缶でも食べるのかな」
生憎、俺は生き物を飼った経験がない。
物語では、痩せこけた猫に温かいミルクをやったり、肉を食べさせたりしているのを見たことがあるが、果たしてそれでよいのだろうか。
「とりあえず、俺の秘密基地に行こうか」
猫の体は小刻みに震