歴史・時代小説について思うこと
note経由で知った、アルファポリス主催の「歴史・時代小説大賞」。
私もエントリーするつもりですが、「カテゴリーエラー」の例示が気になったので、取り上げてみました。
今回のカテゴリーエラーとは、以下の様なものです。
カテゴリエラー
タイムスリップ、転生・転移モノは、確かに「なろう」でも「カクヨム」でもよく見かけるのですよね。
それだけ、これらの要素が現在の小説界隈で流行っているのでしょう。
ただ、私自身はこれらの要素は滅多に使わないです。エンタメとして読む分には、楽しいのですけれどね。私が頻繁に扱ったら、確実に「その他大勢」の中に埋もれることでしょう(苦笑)。
最近、二本松藩を取り上げた小説を読んで、「この作品で二本松藩を使う意味はあったのか?」というツッコミを入れつつも読破したばかりでしたから、尚更そのように感じるのかもしれません。
(※私が普段愛読している方の作品ではないです)
特に気になったのは、二本松藩の人間を主役として取り上げているにも関わらず、当時の二本松藩の在り方や歴史上の登場人物の行動を、ほぼ全否定するかのような勢いだったことでしょうか……。
誰に読ませたいかにもよりますが、「二本松の人には間違いなく受けが悪いだろうなあ」なんて、感じた次第です。
別の方も仰っていましたが、歴史を小説の題材として扱う際には、入念なリサーチが欠かせません。ドラマも同じだと思いますけれどね。
その上で登場人物の心理的な要素や行動の動機を加味して、ストーリーを組み立てていくのが私の作り方でしょうか。
どこまで「歴史改変」を許容するか
これは、判断が難しいところだと思います。
私自身はというと、「歴史の潮流を極端に変えるのはまずいのではないか?」と考えるタイプ。
やったとしても、その後の世界観を論理的な矛盾・破綻なく作り上げるのは、かなり難易度が高いでしょうね。
「直違の紋に誓って」で言えば、「なろう風」にするのだったら、主人公の剛介が「チート級」の活躍を見せたことでしょう(苦笑)。
たとえば、こんな感じでしょうか。
などなど。
ですが、拙作を読んでいただいた方はご存知のように、剛介は、あくまでも「一兵士」としての立場を崩していません。
4はやりたかったのですが、どう頑張っても藤田五郎(斎藤一)と剛介の所属部隊の従軍ルートが重ならないので、諦めました。
また、2に絡んで会津に保護される場面は、
などの要素を組み合わせて、その後の剛介の行動の動機につなげていますが、これも、物理的・心理的に無理のないであろう範囲で作成しています。
さらに、会津戦争に参戦せずに坂下に避難していたのも、
という史実に基づいて書いています。
戦後一時的に猪苗代に戻らせたのは、会津藩の上流武士階級は猪苗代で謹慎生活を送ったため。
この中に丸山家に保護された剛介や豊三郎が紛れ込んでいたとしても、不思議ではありません。
豊三郎が「玉ノ井村(現在の大玉村)の野戦病院で11月上旬に死亡した」という史実とも一致する、地理的・時間的に無理のない範囲での、創作もとい想像です。
もしもエンタメ性を重視する余り「なろう風」にしたのだったら、歴史の流れが大きく変わってしまい、その後の話も破綻しかねなかったでしょう。
行き過ぎた歴史改変はストーリーも破綻しかねない
司馬遼太郎氏や浅田次郎氏の作品を初め、今までいくつもの「歴史小説」を読んできました。ただし、どの作家の作品も、「大まかな歴史の流れは変えない」というポリシーは、一貫しているように感じます。
これについては語っている人を見たことがありませんが、やはり、ジャンルとしては「歴史・時代小説」ではなくなってしまう、というのが大きな理由ではないでしょうか。
タイムスリップ、転生・転移、異世界ファンタジー要素は、歴史をひっくり返す要素になりかねないですものね。
歴史ファンタジーの作品としてなら、ありでしょうが……。
アルファポリスの歴史・時代小説大賞における「カテゴリーエラー」は、そんなことを暗喩しているのかもしれません。
※本日、地元で「二本松少年隊特集」の放送がありました。
私はまだ未視聴ですが、今村様(剛介の曾孫様)から先に情報を頂いておりましたので、予約済みです(*^^*)
そんな関係で、二本松少年隊ネタを久しぶりに取り上げてみました。
現在、「小説家になろう」でも「ネット小説大賞」エントリーのために、「直違の紋に誓って」を公開中です。
<「なろう」のページ>
https://ncode.syosetu.com/n2679ie/
「なろう」での数値は、以下の通り。
アルファポリスは、こちら。
両方ともコンテストの開催期間に合わせて、noteやカクヨムのときよりも、ペースアップして公開しています。
これまで数々のサポートをいただきまして、誠にありがとうございます。 いただきましたサポートは、書籍購入及び地元での取材費に充てさせていただいております。 皆様のご厚情に感謝するとともに、さらに精進していく所存でございます。