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肘を90°に曲げたサイドレイズでは棘下筋にも刺激が入る

テコの作用をトレーニングに応用すると、どのような変化を感じることができるか。トレーニングはまさに物理そのものなので、闇雲にやるよりも力のかかり方を考えておくと格段に効果が上がります。

シーソーの形をしたテコよりも、片方が壁に固定された棒をイメージした方が回転作用はわかりやすいでしょう。


今回はサイドレイズについて。

サイドレイズは三角筋の中部線維を鍛えるためのトレーニングで、肘は伸ばし切るよりも軽く曲げた方が肘にかかるストレスを減らすことができます。関節を伸ばすとロックしてしまって、関節にかかる負担が大きくなってしまうからです。

ここで問題になってくるのがどれくらい肘を曲げるの?ということ。

サイドレイズ正面

正面から見ると分かる通り、肩からダンベルまでの距離をモーメントアームと考えると、肘を90°曲げると距離が1/2になります。(前腕と上腕の長さが同じ場合)

前額面上の距離だけを考えた場合には、モーメントアームが1/2になるので肩にかかる負荷も1/2(前腕と上腕の質量が同じと仮定して)になり、関節への負担を減らしつつ高重量を扱えるようになります。


サイドレイズ横

サイドレイズを矢状面上から確認すると肘を曲げることによって前腕の長さの分がモーメントアームとなり、内旋方向への負荷がかかります。この肩にかかる回転の作用をモーメントと呼びます。

このダンベルによる回転作用に対して腕が動かないようにするには、力のつり合いを保つために外旋方向の力を発揮する必要があります。この関節で生み出す回転作用のことを関節トルクとか内的トルクと呼んでいます。

では、外旋作用を生み出す筋肉はどこか。棘下筋ですね。

実際にやってみると分かると思います。2kgとか3kgくらいの軽めのダンベルでも違いを感じることができます。肘を90°にしてサイドレイズをしてみると肩甲骨のあたりに疲労感が出てくるはずです。

本来のサイドレイズではあまり感じない力感とも言えます。

このように、どこに、どんな回転作用が働いているか。それに対して体がどう反応しているかを考えておくと、無理な負荷をかけなくても正しい筋肉の使い方をすることができるでしょう。

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