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トレーニング

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ただただトレーニングの話し
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#トレーニング

3ヶ月間のバイオメカニクス基礎講座で伝えたかったこと

9月〜11月末まで13週間におよぶバイオメカニクスの基礎講座が無事におわりました。最終的には34名の方にご参加いただき、バイメカへの関心の高さがうかがえます。 タイトルは【Biomechanics for Real Life】。力学的な解説はもちろんのこと、立つ・座る・歩くといった日常動作から、力と動きの関係性をひもといていきました。 単純にバイオメカニクスというと学問的な部分が大きく、実生活やトレーニング指導に結びつけられないという話しを聞くことが多いです。 ◉モーメ

人類の進化論から長距離走を読み解く

ランニングに関する記事や論文を読みあさっていたら、なかなか面白い論文を見つけました。長距離走が人類の進化にどのような役割を果たしてきたかという内容です。 Endurance running and the evolution of Homo. 基本的には二本足での移動となると歩行にばかり着目されますが、長距離を走る能力は人間に備わっている大切な能力の一つ。それを200万年前の化石が示唆しているというのはとても興味深いと感じました。 簡単な概要二足歩行がチンパンジーと人類

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【論文レビュー】扁平足に影響する後脛骨筋機能不全への介入(足底板+ストレッチ+エクササイズ)

足と足首のコンディショニング講座を行うにあたり、過去の書籍や論文をもう一度読みあさっています。後脛骨筋機能不全に関する記事を読んでこちらの文献が引用されていたので読み返してみました。 今はGoogle翻訳やDeepLなど翻訳ソフトの精度も高まっているので気になる方は本文も読んでみてください。 Nonsurgical Management of Posterior Tibial Tendon Dysfunction With Orthoses and Resistive E

慣性モーメントってどんな時に使われている?

1ヶ月に1回のペースで行っている力学の勉強会。生活や運動を力学からひもといてみると、意外なところで役立っているということに気づいたりします。 今回のテーマは慣性モーメント。 慣性モーメントは物体が持っている運動を持続しようとする力で、物体の回しにくさの度合いのこと。その値が小さいと回しやすく止めやすい、値が大きいと回しにくく止めにくいです。”慣性”とは物体に力を加えて動いたときにこの速度を持続しようとする性質をいい、“モーメント”とは勢いや運動などの意味がある。 よく例

ケトルベルスイングを力学的に解説

最近、ハマっているケトルベル。指導していた選手の親戚(伊藤絃鋳工所)がケトルベルを国内で唯一生産しているということで早速購入してみました。 久々にケトルベルを本気でスイングしてみましたが、やっぱり体にズンとくる感じがいいですね。 バーベルやダンベルでは感じられない重みがあり、腕で錘をコントロールするだけの体の使い方も身につけられる。という点でコンタクトスポーツや格闘技の選手には特にオススメです。 ケトルベルの大きな特徴はグリップから離れたところにある鉄球。握った位置にプ

力学を避けて通れないならとりあえず学んでみる?という話し

これまで何度となくバイオメカニクスの講座を開催してきて、どうしても避けて通れないことが力学を説明すること。 今は高校の時点で文系・理系に分かれてしまうので中学生以来、物理に触れていないという方がいても不思議ではありません。 講座に参加される方の中にも当然のことながら物理を習っていない方がいるわけで、あまり専門的にならないようにしながらもなんとか物理を紛れ込ませていました。 一時期はできるだけ物理の要素を入れずに運動学の話しをメインにしていたこともあったくらいです。 と

個人的に考えるフォーム改善を伝えるタイミングについて

ピッチングやランニングのフォームを学んでいくと、 「ここをこう動かせば効率的に力を伝えることができます」 「あ、この動きが正しいわけね」 「正しい動きを教えるにはどうしたらいいんだろう」 という思考回路になりがちです。わたし自身もかつてはこんな考えを持っていました。 効率的に動く というと聞こえはいいですが、なんとなく理論的に良さそうな動きに当てはめればいい動きに近づけるという思い込みです。 もちろん見て真似をすることも大事です。が、その動きができない原因がどこかに

データをどう活かすのか、よりも前に考えておくこと

昨年のオフから今年の2月頃にかけて、プロ野球界で話題になったのがドライブライン・ベースボール。 全身30ヶ所以上にセンサーをつけて動作解析を行なって理想的な動きになっているか確認したり、ボールの回転軸や回転数を計測して理想の球を投げられているかを解析します。そのデータを元に適切なメカニズムになっているか、どのように修正していくかを学び、練習していきます。 もしコロナがなく通常通りにシーズンが始まっていたら、その成果がわかりやすかったかもしれません。 ここまで専門的ではな

もっと効率よく動けるようになりたい

トレーニング指導をしていると、聞かれることが多いことの一つです。もちろんそのためにコンディションを整えて、トレーニング指導をしていきます。 効率のいい動き、とかムダのない動きという時の『効率』って便利な言葉だと思ってます。ここで言う効率とは、どういう意味なのか。これを少し考えていきます。 機械的な話しから考えると、効率とは なされた仕事の量とそれを行うのに要したエネルギー量との比のこと。費やした労力に対して、得ることができる成果の割合。 のこと。つまり効率がいいとは、

スクワットは生き方を変える

スクワットはKing of Exerciseとも呼ばれるほど大切な種目。いい意味でも悪い意味でも生き方を変えてしまう種目だと思っています。 スクワットにハマっていけば扱う重量がどんどん伸びてくるので、めちゃくちゃ面白いです。しかも全身を鍛えることができる。体重だって増えていきます。逆に体のどこかにゆがみがあると、股関節や膝、腰を痛めることがあり、それが生活に支障をきたして生きづらくなってしまいます。 先日こんな感じでツイートしてみましたが、スクワット動作はその人の生活のク

塩ビパイプでトレーニング用ハードル作り〜設計図編〜

股関節の可動域改善や出力向上のために行われるトレーニングは、この世の中にゴマンとあります。その中でも少人数で指導する際に取り組みやすいのがハードルを使ったトレーニング。 またいだり、くぐったり、ジャンプしたり。 様々な角度で股関節を動かすことができるし、可動域の目安があるので指導者側としてはコントロールがしやすいというメリットがあります。 ただしハードルを個人で購入するのは、なかなか難しい。 ハードルを購入できない理由 ・1つ当たり8,000〜15,000円と高い ・

トレーニングルーム開室準備中① 〜研究に向けた取り組み〜

来月からオープン予定の二階トレーニングルーム。普通のトレーニングができる環境だけでは物足りないので、研究用の器材もできる範囲で揃えたいなと思って色々な方にアイデアを拝借しにまわっています。 先日は大学院時代にお世話になった先輩のところへお邪魔してきました。 一言に研究といっても様々ですが、私が専攻していた分野はバイオメカニクス。日本語いうと生体力学のことで、いわゆる力と動きを解析して怪我の予防やパフォーマンス向上につなげる学問です。 今回、先輩の元を訪れた目的は、 ・

再生

体幹を強化するウォーターバッグトレーニング【フロントスクワット編】

水の揺れを利用することで体幹を鍛えることができるのがウォーターバッグトレーニングの特徴です。 出来るだけ水を揺らさないようにして動作を行うのか、わざと大きな揺れを作ってそれに体が振られないようにするのか、目的を明確にしておくようにしましょう。 水が揺れなければ、体の軸が真っ直ぐのまま動作が出来ているということになります。少しでも軸がずれると水が移動してしまうため、ズレがどんどん大きくなってしまいます。 大きく動かして水を激しく揺らすと、体はその分振られます。これに対して体を戻すことができる能力も大切な要素の一つ。横への重心移動があるスポーツでは不可欠なトレーニングと言えます。 揺らさないのか、激しく揺らすのか。どちらも必要なトレーニングですので自分の目的に合わせて選択するようにしてください。 これらは、下ろすスピードや持ち方、動作の方向についても同じです。強度のコントロールは重さだけではないため、工夫次第で様々なトレーニングが期待できます。

再生

足指づかみ運動で接地感を高めるトレーニング

バイオメカニクスにおいて、重力を感じることはとても大切なポイントです。重力を感じられない時の多くは足指がうまく使えずに足裏の感覚が鈍くなっている場合が多いです。 タオルギャザーなどのように、その場で手繰り寄せるだけだと指の付け根から動かすことができないので指先を丸めてから足首まで動かすようにすると足裏の感覚が蘇ってきます。 最初は足の指をつってしまうかもしれませんので、足の甲のストレッチや足の指の間をマッサージしておくと、さらに動きやすくなると思います。