マガジンのカバー画像

トレーニング

33
ただただトレーニングの話し
運営しているクリエイター

記事一覧

3ヶ月間のバイオメカニクス基礎講座で伝えたかったこと

9月〜11月末まで13週間におよぶバイオメカニクスの基礎講座が無事におわりました。最終的には34名の方にご参加いただき、バイメカへの関心の高さがうかがえます。 タイトルは【Biomechanics for Real Life】。力学的な解説はもちろんのこと、立つ・座る・歩くといった日常動作から、力と動きの関係性をひもといていきました。 単純にバイオメカニクスというと学問的な部分が大きく、実生活やトレーニング指導に結びつけられないという話しを聞くことが多いです。 ◉モーメ

バイオメカニクスを学ぶことでわかること

バイオメカニクスというと、モーメントとかベクトルといった力学的な要素が入ってくるので拒否反応を示す方も多いように感じます。これまで10年以上バイオメカニクスの講義をしてきた中で、「物理は苦手だから」「論文とか難しくて」ということを何度も聞いてきました。 ただ、これってバイオメカニクスのほんの一部のことで、もっともっと大切な部分をおろそかにしてしまっているからなんですよね。そもそもバイオメカニクスをなんのために学ぶのか。ここが明確になっていないから、細かいところばかりに目がい

[オープンラボ#1]足首の不安定性がある方へのエクササイズ指導前後における筋活動と足圧の変化について(8人分の全データ公開)

3月26日から約1ヶ月半ほどかけて、個人的に実験を行いました。実験をしようと思った経緯は、妻の足の動きが気になったことへの興味からです。妻の足の状態としては、 その日も何気ない会話からそんな話しをしていましたが、たまたま表面筋電計と足圧計が手元にあったので足のデータを取らせてもらいました。歩行とつま先立ちとの関係性や長腓骨筋や長母趾屈筋との活動との関係から長腓骨筋に筋電計をつけて。 足圧計から見ていくと、右と左の荷重バランスは平均で4:6になっています。左足で蹴れないから

¥3,800

ベンチプレスのフォームが安定しない時はフロアプレスから始めてみては

ベンチプレスの理想は、横から見たときにバーベルの真下に肘がある状態でプレスをすること。前腕は床から垂直にバーベルに向かっているポジションが力のロスなく持ち上げられます。 ところが、どう指導をしても腕が開きすぎてしまったり脇を絞りすぎてしまってバーベルと肘との位置関係があまり理想的にならないこともあります。 ●胸椎の伸展が甘くて胸が立たない ●力の入れどころがつかめていない ●上肢のアライメント異常 などが原因として挙げられますが、そうなってくるとどれだけ意識しろと言った

肘を90°に曲げたサイドレイズでは棘下筋にも刺激が入る

テコの作用をトレーニングに応用すると、どのような変化を感じることができるか。トレーニングはまさに物理そのものなので、闇雲にやるよりも力のかかり方を考えておくと格段に効果が上がります。 シーソーの形をしたテコよりも、片方が壁に固定された棒をイメージした方が回転作用はわかりやすいでしょう。 今回はサイドレイズについて。 サイドレイズは三角筋の中部線維を鍛えるためのトレーニングで、肘は伸ばし切るよりも軽く曲げた方が肘にかかるストレスを減らすことができます。関節を伸ばすとロック

結局テコってどんな場面で使われているの?トレーニングへの活用に向けて

本日はこれから基礎から学ぶバイオメカニクス講座。1時間という短い時間で全てをお伝えするのは難しいので、ギュッとコンパクトにしてお伝えしていきます。 準備しすぎず、かといって不足なく。こういう時に何を削ろうかというのは本当に迷うところ。 今回はパーソナルトレーナーの方が多いようなので、いかに筋トレ指導に結びつけることができるか。そう考えると、重心、安定、テコといったところから話しを膨らませていくのが良さそうな気がします。 これだったらあまり難しい言葉を使う必要もなさそうで

腓骨筋群のトレーニングの際に気をつけていること

先週からカーフレイズ中の足圧変化と長腓骨筋の活動状況を調べる実験をスタートしました。 歩行動作とカーフレイズにおける長腓骨筋の活動状況が似ているということから、例えば捻挫グセがあって歩くことに不安がある方や高齢者で転倒予防のために歩行を安定させたいという方にもアプローチがしやすくなるのかなという意図があります。 ただ、これは前々からセッションをしている中で思っていたことですが、そもそも拇趾球荷重でカーフレイズができる人が思いのほか少ないということ。壁に手をつけずに自立での

カーフレイズ中の足圧変化と長腓骨筋の活動状況を調べるための実験プロトコル(試案)

先日、カーフレイズ中の足圧変化と長腓骨筋の活動状況について記事にあげて、被験者を募集してみたところ1日で7名の方から応募があり、すぐに募集をストップしました。 たくさんの応募ありがとうございます!3名ほどでやろうかなと思っていたので7名も集まってホッとしています。 ということで、これから細かいプロトコルを作成していくところです。先に決めておけというところではありますよね。もちろん大まかには決めてあります。 測定中に余計な時間をロスしないように、再測定がないように。そして

カーフレイズ動作中の足圧変化と長腓骨筋の活動状況

たまーになんですが、妻が足をひねってしまうことがあります。左足がちょっと内股気味で、その影響からか左足だけひっかかりやすいという話しをしていました。 たまたま、測定のために使う足圧計と筋電計が手元にあったので、即席でつま先立ち中の足圧変化と長腓骨筋の筋電を測定してみました。 測定としてはカーフレイズ動作と歩行中の蹴り出しにおける長腓骨筋の活動との関連という論文を参考にしています。 https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public

バドミントンの動作中に足圧がどんな変化をしているのか、体の使い方へのヒントを探る

先日、バドミントンの動作中における足圧の変化がどうなっているかを測定させていただきました。ご協力いただきました元日本代表の米倉さん、近藤さんありがとうございます。 近藤さんとも打ち合わせをした中で、こんなことがわかってきたら面白いですよねーというのが以下の内容です。 などなど。 結構専門的な部分もありつつ、他の競技にもつながることがたくさんあるよなと思いながら、とても面白かったのでまとめてみました。 ラケットなしありによる違いバドミントンだけでなく野球やテニスなど手に

¥300

トップで活躍していた方の身体感覚はやっぱり凄かった

My筋電計にMy足圧計がプラスされて、どこでも実験ができるようになりました。ご興味ありましたらお声かけください。 先日、トレーナー仲間の近藤さんにご紹介いただき、バドミントンの日本代表としてご活躍された米倉加奈子さんの実験に伺いました! 目的はバドミントンの動作中における足圧の変化を解明すること。これまで言われてきた「正しい」は本当に正しいのか、狙った目的と合っているのか、感覚的にやっていることは実際にできているのか。 私たちが指導している中で疑問に思うことってたくさん

2021年10月の論文まとめ

先月あたりからようやく落ち着いて論文を読む時間が取れたので、どんな論文を読んだのかまとめてみました。10月はランニングのセミナーがあったこともあって、ランニング関係の論文をよく読んだような気がします。 パッと眺めてみてなんとなく内容がわかるものは読み飛ばしているので実際にはもっと多いです。その中で面白かった論文を8本ほど紹介します。 簡単なレビューをつけて紹介していますが、目次にタイトルを載せていますのでタイトルで検索すれば全ての論文を無料で読むことができます。 1.E

チーターから学べることと、ヒトの走りについて

トレーナー、セラピスト、ボディワーカーをしていて筋膜系の勉強をしてきた方はおそらく一度は目にしたことはあるんじゃないかというこちらの動画。 先日、ランニングを人の進化から紐解くという論文を読んでいる中で「頭部の安定性」という項目があったのでふと思い出して久々に動画を眺めていました。 チーターが獲物を狙って走っている姿のスローモーション映像です。自分がいつも感心しているのが、 ・頭がぶれないこと ・前脚で蹴るときの背骨の曲がり ・後ろ脚で蹴るときの背骨の伸び ・皮膚の余裕

第4回対談:一歩先をみるトレーナーの渡世術

7月からスタートした対談企画も今回で4回目となり、ちょっとずつ要領が掴めてきた気がします。 そもそも、なんで対談を始めたのかというと、いろんな理由があるのですが単純にトレーナーの横のつながりを広げたいなと思ったから。チームに属しているトレーナーって外に出る機会が少なくて(土日は練習と試合だし、平日の夜も拘束されていることが多い)意外と孤立しがち。 わからないことがあっても相談できない、今の状況が当たり前だから疑問に思わない、なんてことが往々にしてあります。 他にも協会の