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バドミントンの動作中に足圧がどんな変化をしているのか、体の使い方へのヒントを探る

先日、バドミントンの動作中における足圧の変化がどうなっているかを測定させていただきました。ご協力いただきました元日本代表の米倉さん、近藤さんありがとうございます。

近藤さんとも打ち合わせをした中で、こんなことがわかってきたら面白いですよねーというのが以下の内容です。

・動き出しで踵はあげるのか?つくのか?
・動き出しで両足は同時に床を踏むのか
・ラケットのありなしでフットワークに違いはあるのか?
・オーバーヘッドストローク時はどこに圧をかけているのか?

などなど。

結構専門的な部分もありつつ、他の競技にもつながることがたくさんあるよなと思いながら、とても面白かったのでまとめてみました。

どこまで動きを意識できているかというのは人によって個人差がありますし、その点米倉さんは手足の先まで感覚が研ぎ澄まされているような印象を受けました。プレーしている中で(ここをこう使っているんだな)という自己対話を行って、そこで得た課題を解決するようにトレーニングに励んでいたのだと思います。なので、全ての人がこの例のように動くわけではないですし、人それぞれ特徴が出てきます。あくまで分析した結果ですのでご了承ください。



ラケットなしありによる違い

バドミントンだけでなく野球やテニスなど手にラケットやバットを持って行う競技の場合、同じような動きをしても筋活動や体の使い方は変わってくると言われています。

トレーニングではなんともないのに、実際のラケットをもった動きになると痛みが出てしまったり。逆にラケットを持つことでスイッチが入って、動きの不均衡がなくなりスムーズに動けるようになったり。

ラケットも体の一部としてバランスを取っているんだなと、体の不思議をまざまざと感じさせられます。

足圧の違い

ラケットなしでステップを踏んでいる映像では、飛び出しが高いですし踏み込みも強くないのが見てとれます。軽い感じですよね。拇趾球への圧というのもそこまでありません。

実際にシャトルを打つ映像だと、インパクトでしっかりと地面を踏んでいることがわかります。カカトで床を捉えて、シャトルを打ちつつ重心をコントロールするために拇趾球で支えています。

ここでのポイントは膝が前に出過ぎないように足首をロックできていることでしょう。力がうまく使えないとグニャッと膝が曲がって前のめりになってしまうので、そのために前足部(拇趾球のライン)にしっかりと圧をかけて体重移動をストップさせています。

左手の使い方

左手の使い方にも差が出ています。左手を使う時ってどんな時かというとバランスを取る時です。ラケットを右手に持っていて手を前に出すと重心は前にうつります。そうなると前に突っ込みやすくなってしまうので、それを防ぐのが左手の役割と考えてください。

ラケットなしでは重心を中心部分に置きやすいので、左手もなんとなくダラっとしているのがわかりますよね。おそらくこれは自然に出ている動き方でしょう。バランスを取る必要がないから。

では、ラケットありだとどうなるかというと、しっかり左腕を後ろに伸ばしています。ラケットを前に出すためには、左手を後ろに伸ばすことでバランスが取りやすくなります。

それともう一つ。できるだけ末端にあるもののスピードを高めるためにどうするか。人間の体には運動連鎖の働きによってムチの動作ができるようになっています。中心部に生み出した速度が、肩→肘→手首と伝わっていくうちにどんどん上がっていくというように。それぞれの関節の伸展+回旋によって伝わっていきます。

この時に右手だけでなく左手も伸ばすことで、胸が張りやすくなりしなりの度合いが増します。よく反対側の腕の使い方が大事だと言われると思いますが、その理由はこういったところが挙げられます。

左足のつま先の接地

足圧計には出てきていませんが、右足を踏み込んだ時に左足のつま先を床に擦らせてるのがわかりますか?

実はこの動き、意図して行っているそうで、左足でシャトルとの距離感を合わせてしっかりとしたインパクトができるようになるのだとか。確かにどの動きを見てみても、つま先をあえて床につけるようにしています。

確かに、右だけで踏み込んでしまうと大きな負荷がかかってしまいますし、左足がついていることで体の支持面が広がるので安定した動きが可能になります。


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