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トレーニング

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ただただトレーニングの話し
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#パーソナルトレーナー

肘を90°に曲げたサイドレイズでは棘下筋にも刺激が入る

テコの作用をトレーニングに応用すると、どのような変化を感じることができるか。トレーニングはまさに物理そのものなので、闇雲にやるよりも力のかかり方を考えておくと格段に効果が上がります。 シーソーの形をしたテコよりも、片方が壁に固定された棒をイメージした方が回転作用はわかりやすいでしょう。 今回はサイドレイズについて。 サイドレイズは三角筋の中部線維を鍛えるためのトレーニングで、肘は伸ばし切るよりも軽く曲げた方が肘にかかるストレスを減らすことができます。関節を伸ばすとロック

結局テコってどんな場面で使われているの?トレーニングへの活用に向けて

本日はこれから基礎から学ぶバイオメカニクス講座。1時間という短い時間で全てをお伝えするのは難しいので、ギュッとコンパクトにしてお伝えしていきます。 準備しすぎず、かといって不足なく。こういう時に何を削ろうかというのは本当に迷うところ。 今回はパーソナルトレーナーの方が多いようなので、いかに筋トレ指導に結びつけることができるか。そう考えると、重心、安定、テコといったところから話しを膨らませていくのが良さそうな気がします。 これだったらあまり難しい言葉を使う必要もなさそうで

カーフレイズ中の足圧変化と長腓骨筋の活動状況を調べるための実験プロトコル(試案)

先日、カーフレイズ中の足圧変化と長腓骨筋の活動状況について記事にあげて、被験者を募集してみたところ1日で7名の方から応募があり、すぐに募集をストップしました。 たくさんの応募ありがとうございます!3名ほどでやろうかなと思っていたので7名も集まってホッとしています。 ということで、これから細かいプロトコルを作成していくところです。先に決めておけというところではありますよね。もちろん大まかには決めてあります。 測定中に余計な時間をロスしないように、再測定がないように。そして

カーフレイズ動作中の足圧変化と長腓骨筋の活動状況

たまーになんですが、妻が足をひねってしまうことがあります。左足がちょっと内股気味で、その影響からか左足だけひっかかりやすいという話しをしていました。 たまたま、測定のために使う足圧計と筋電計が手元にあったので、即席でつま先立ち中の足圧変化と長腓骨筋の筋電を測定してみました。 測定としてはカーフレイズ動作と歩行中の蹴り出しにおける長腓骨筋の活動との関連という論文を参考にしています。 https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public

バドミントンの動作中に足圧がどんな変化をしているのか、体の使い方へのヒントを探る

先日、バドミントンの動作中における足圧の変化がどうなっているかを測定させていただきました。ご協力いただきました元日本代表の米倉さん、近藤さんありがとうございます。 近藤さんとも打ち合わせをした中で、こんなことがわかってきたら面白いですよねーというのが以下の内容です。 などなど。 結構専門的な部分もありつつ、他の競技にもつながることがたくさんあるよなと思いながら、とても面白かったのでまとめてみました。 ラケットなしありによる違いバドミントンだけでなく野球やテニスなど手に

¥300

トップで活躍していた方の身体感覚はやっぱり凄かった

My筋電計にMy足圧計がプラスされて、どこでも実験ができるようになりました。ご興味ありましたらお声かけください。 先日、トレーナー仲間の近藤さんにご紹介いただき、バドミントンの日本代表としてご活躍された米倉加奈子さんの実験に伺いました! 目的はバドミントンの動作中における足圧の変化を解明すること。これまで言われてきた「正しい」は本当に正しいのか、狙った目的と合っているのか、感覚的にやっていることは実際にできているのか。 私たちが指導している中で疑問に思うことってたくさん

2021年10月の論文まとめ

先月あたりからようやく落ち着いて論文を読む時間が取れたので、どんな論文を読んだのかまとめてみました。10月はランニングのセミナーがあったこともあって、ランニング関係の論文をよく読んだような気がします。 パッと眺めてみてなんとなく内容がわかるものは読み飛ばしているので実際にはもっと多いです。その中で面白かった論文を8本ほど紹介します。 簡単なレビューをつけて紹介していますが、目次にタイトルを載せていますのでタイトルで検索すれば全ての論文を無料で読むことができます。 1.E

チーターから学べることと、ヒトの走りについて

トレーナー、セラピスト、ボディワーカーをしていて筋膜系の勉強をしてきた方はおそらく一度は目にしたことはあるんじゃないかというこちらの動画。 先日、ランニングを人の進化から紐解くという論文を読んでいる中で「頭部の安定性」という項目があったのでふと思い出して久々に動画を眺めていました。 チーターが獲物を狙って走っている姿のスローモーション映像です。自分がいつも感心しているのが、 ・頭がぶれないこと ・前脚で蹴るときの背骨の曲がり ・後ろ脚で蹴るときの背骨の伸び ・皮膚の余裕

人類の進化論から長距離走を読み解く

ランニングに関する記事や論文を読みあさっていたら、なかなか面白い論文を見つけました。長距離走が人類の進化にどのような役割を果たしてきたかという内容です。 Endurance running and the evolution of Homo. 基本的には二本足での移動となると歩行にばかり着目されますが、長距離を走る能力は人間に備わっている大切な能力の一つ。それを200万年前の化石が示唆しているというのはとても興味深いと感じました。 簡単な概要二足歩行がチンパンジーと人類

¥100

【論文レビュー】扁平足に影響する後脛骨筋機能不全への介入(足底板+ストレッチ+エクササイズ)

足と足首のコンディショニング講座を行うにあたり、過去の書籍や論文をもう一度読みあさっています。後脛骨筋機能不全に関する記事を読んでこちらの文献が引用されていたので読み返してみました。 今はGoogle翻訳やDeepLなど翻訳ソフトの精度も高まっているので気になる方は本文も読んでみてください。 Nonsurgical Management of Posterior Tibial Tendon Dysfunction With Orthoses and Resistive E

慣性モーメントってどんな時に使われている?

1ヶ月に1回のペースで行っている力学の勉強会。生活や運動を力学からひもといてみると、意外なところで役立っているということに気づいたりします。 今回のテーマは慣性モーメント。 慣性モーメントは物体が持っている運動を持続しようとする力で、物体の回しにくさの度合いのこと。その値が小さいと回しやすく止めやすい、値が大きいと回しにくく止めにくいです。”慣性”とは物体に力を加えて動いたときにこの速度を持続しようとする性質をいい、“モーメント”とは勢いや運動などの意味がある。 よく例

ケトルベルスイングを力学的に解説

最近、ハマっているケトルベル。指導していた選手の親戚(伊藤絃鋳工所)がケトルベルを国内で唯一生産しているということで早速購入してみました。 久々にケトルベルを本気でスイングしてみましたが、やっぱり体にズンとくる感じがいいですね。 バーベルやダンベルでは感じられない重みがあり、腕で錘をコントロールするだけの体の使い方も身につけられる。という点でコンタクトスポーツや格闘技の選手には特にオススメです。 ケトルベルの大きな特徴はグリップから離れたところにある鉄球。握った位置にプ

力学を避けて通れないならとりあえず学んでみる?という話し

これまで何度となくバイオメカニクスの講座を開催してきて、どうしても避けて通れないことが力学を説明すること。 今は高校の時点で文系・理系に分かれてしまうので中学生以来、物理に触れていないという方がいても不思議ではありません。 講座に参加される方の中にも当然のことながら物理を習っていない方がいるわけで、あまり専門的にならないようにしながらもなんとか物理を紛れ込ませていました。 一時期はできるだけ物理の要素を入れずに運動学の話しをメインにしていたこともあったくらいです。 と

筋肉をつけることよりも、今ある筋肉を活かす方法を知る

先日インナーマッスルとアウターマッスルの役割の違いを記事にしました。簡単にいうとインナーマッスルは骨頭を求心的に引き込んで関節を安定させる作用があるということです。 さらにもう一つ大事な理由があることを忘れていました。それが今ある筋肉を活かすことができるということ。 インナーマッスルが働いていない状態は、関節の動きに不安定さや制限がかかりやすくなります。 例えば股関節の外旋に引っかかりが出ているとスクワットや開脚に制限が起こり、100%の力を発揮できるところを50%くら