見出し画像

ウマ娘は女児に人気がある? への独断と偏見による私見

 noteでちょっとだけ雑に記事更新です。 

相変わらずネタ出しはTwitter

 最近Twitterで
 「ウマ娘は女児に人気がある
 「コンテンツが健全なので親が子供に見せやすい
的なつぶやきを目にした時、常日頃思っていたあることが頭をよぎったんですよね。
 
 ある思想的志向の方々からは、女性を性的に消費してる、といったふうに思われてそうですけど、実は『ウマ娘』って女性優位思想の作品なんだよなあ──ということです。


 ウマ娘をやったこと、見たことがある人ならすぐにわかる話ですけど、実はあの作品の世界観では『ウマ娘』=常人をはるかに凌ぐ身体的能力を有しています。
 車とほぼ同じスピードで走っていたりね。
 通常のヒトをはるかに凌ぐ身体的能力を有する、といった部分については「ウマ娘に人間が勝てるわけがない」というセリフに端的に現れています。


よくネタにされがちではありますが……



 それでいて、女の子的なかわいらしさも併せ持つ。
 つまりは、『kawaii』は放棄せず、それでいて「強い」存在として描かれているのが『ウマ娘』なのですよね。


 

カワイイカレンチャン!



 それがある種女の子から、「あこがれ」の要素になってるんじゃないかなあ、というのはずーーーっと考えてたんですけど、なかなか言語化できずにいたんですよね。


『戦闘美少女』の変容

 さて、ここから少しだけものすごく古めかしい話をしましょう。

 『新世紀エヴァンゲリオン』が流行ってしばらく、オタク的な美少女表現の文脈を分析する学問的アプローチから『戦闘美少女の精神分析』などの著作が出ました。

 要は碇ゲンドウたち大人たちに代わってなんで綾波レイやアスカといった女の子が戦ってるんだよ、なんであんなに主人公のシンジくんがナヨっちいんだよ、っていうツッコミですね。
 今からすればシンジくんはまだ大人の理不尽に耐えながらも自分にできることはある程度やっていた、といった評価がわりかし一般的になってきた気がするのですが……まあ本筋はそこでないのでさておきましょう。

 平成の時代は、「男ならば強くあるべき」「男が女を守るべき」といった昭和的な価値観がまだ根強くありました。
 そういった「強さ」から逃れたいという男性の欲望の反映として、「男性を守ってくれる」戦闘美少女の存在が『エヴァ』以降の日本の一部エンタメに要請されたのだ、というのが当時あった分析の趣旨だったと思います。

 要するに自分よりも「強いオス」というわけでもない男性を守るために、女性の側が強くなっていったのが日本的アニメの戦闘美少女表現である、とされたのです。
 かつてはそれが男性性=父性の放棄、ひいては男性側のエゴイズムとも受け取られたのですが、いまは父性やら母性が押し付けられる時代でもありませんし、そんな表現が30年以上も続けば世代も代わり、まったく別の受け取られ方をするわけです。
 女性の側がそのような『戦闘美少女』像を積極的に受け容れ、「男性よりも強い」のに「かわいい」創作キャラクターにあこがれることだって当たり前にあるのです。
  
 つまり、きっかけこそ男性側の都合でもてはやされた表現が女性の強さの象徴──『kawaii』と『強い』を両立した日本エンタメ的キャラクター性へと変容しそれが当の女性に強く訴えかけるものとなっているのではないか……というのが日頃私が感じていたことなのです。

「かわいくて強い」美少女を好きになるのは両性共通

 前述の『ウマ娘』や、『原神』『ブルーアーカイブ』なんかもその『戦闘美少女』受容の延長線にあると私は考えています。


 いまや美少女イラストを専門とする女性イラストレーターの活躍がなんら珍しくもないし、女性自身による女性キャラのコスプレも重要ないちジャンルとなっています。 そもそもコミケの黎明期からしてマンガ・アニメといったジャンルはもともと女性のほうが積極的な発信者となって成立していましたし、女性が主体的に受け容れていなければ今のような形にはなっていないのですよね。

 かわいい女の子が好き、だというのは男性はもちろんそうなのでしょうが女性だってそう──「かわいくて強い」女の子が好きなのは男だって女だっておんなじじゃん、って思います。
 
 なので、私は『ウマ娘』が女性、しかも若い世代にも支持されている、といった言説に疑いを持ってはいません。

 むしろ、ああやっぱりそうなんだ、と思ったくらいです。
 割合的には男性よりも少ないとかはあるかもしれませんが。
 ウマ娘にガチハマりしてる女性を実際に知ってますしね。

個人的に女性人気が高いと思っているめじょまっきーんさん


 そもそも競馬=ギャンブルを題材にした作品が健全なのか※
 ※『ウマ娘』自体には競馬のギャンブル要素はありませんが
 健全なのは単に馬主に配慮しただけで結果論みたいなもんだろ
──的な部分はとりあえず主題から置いとくとして(

 擬人化・女体化によって男性に女性性を都合よく消費されているだけのコンテンツに過ぎないというふうに『ウマ娘』が捉えられてるとしたら、それは誤解で、むしろ女性からもあこがれられるコンテンツとなっているのかもしれない──といったふうな見方を、当記事をご覧になった方も感じてくださればいいなぁ、というのが私の思いです。

 にしてもその『ウマ娘』の中でも圧倒的にサイレンススズカが女児に人気で、その理由として内に狂気が秘められてるところがあるからみたく言われてるのには笑っちゃいましたが……w
 まあ先頭民族ですからね。
 いやまあ真面目な話スズカさんはウマ娘ブームの牽引役の一人ですからね、間違いなく。


本筋とは外れますが

 前の部分で触れた「男性性」に関しては、昔のような直接的な腕っぷしの強さ(だけ)ではなく、引っ張っていってくれる人だったりリーダーシップといった要素へと力点が置かれるようになったのかなと感じます。
 それはおそらく、『アイドルマスター』『艦これ』式の──キャラクターを直接動かすというよりは、指示を与えるというゲームの性質上プレイヤーを指揮官やら現場の責任者としての役割を担わせるようになったソーシャルゲームの台頭が否応なくそうさせたのでしょうけど。
 もっとも、それも最近は『ウマ娘』をはじめ、プレイヤー=指揮官の性別はどちらでも問わない作品が主流ですが……

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?