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詩とか

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色んな詩。たまに短歌とか。
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2016年3月の記事一覧

おーい

おーいと夢を呼ぶ時は
ただの『私』になるのです
他には何にも要りません
私ひとりで呼ぶのです

おーいと夢を呼ぶ時は
エエテルの中に浮くように
背筋をすっきり伸ばしたままで
遠くの星へ囁くように

おーいと夢を呼んだなら
後は目を閉じ耳澄ましましょう
かすかな星の煌めき纏い
聴こえるでしょうか
かすかな

(おーい)
#詩

灯火

白昼夢を見た

幾千もの光
蛍のような灯火は
あなた方だったのだろうか

小さな合掌に
嗚咽を耐える口元に
涙をこらえるまつげに
慟哭に震える肩に
立ち尽くした雪をまとう髪に
あの日に縛られた影達に

そうっと そうっと

触れてゆくのだ

そうして小さなため息一つ
ほろり と零して
ゆるゆると空へ
昇って往くのだ

名残惜しげに伸ばした指は
きっと 微かに影を揺

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くすんだ空と海との狭間で
海鳥は独り
ないている

心を掻き毟る様なもどかしさを抱え
脳の芯が冷えるような不安を感じ
涙も出ずに顔を歪め
声にならない叫びを上げながら

静かに
静かに
羽ばたく姿

孤独という名さえ知らず
鳥が一羽
飛んでいる
#詩

葦の舟

葦の舟が行くよ
澄んだ水の上を行くよ

空は快晴
日差しは暖か
風に微かにそよぐ髪

葦の舟が行くよ
澄んだ水の上を行くよ

あなたが垂らした釣り糸が
底の底まで垂れていく
澄んだ水が黒くなるほど
深い深い水の底へ

その釣り糸の先に
針は付いているのですか
餌は付いているのですか
何を釣ろうというのですか

水の底に沈んでいるのは
眠った魚でしょうか
口を閉じた貝でしょうか
開くのをやめたイソギ

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