灯火

白昼夢を見た

幾千もの光
蛍のような灯火は
あなた方だったのだろうか

小さな合掌に
嗚咽を耐える口元に
涙をこらえるまつげに
慟哭に震える肩に
立ち尽くした雪をまとう髪に
あの日に縛られた影達に

そうっと そうっと

触れてゆくのだ

そうして小さなため息一つ
ほろり と零して
ゆるゆると空へ
昇って往くのだ

名残惜しげに伸ばした指は
きっと 微かに影を揺らすだろう

そうして動き出した影達に
どうか安らかな微笑みを
一つふわりと灯しておくれ

影が光を纏えるように
影が闇に 飲まれぬように

#311 #追悼

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