【心理学】人は負の感情を抱きやすい
プルチックの感情の輪
プルチックの感情の輪をご存知だろうか。
8つの基本感情とそれぞれの強度があり、二つの感情の混じった二次感情という分類が表現されている。
対極に位置する感情は同時に現れない傾向にある。隣り合った感情からは別の複合的な感情として、愛や畏怖、軽蔑などが生まれる。例えば、信頼と平穏から愛(愛情)が生まれるということだが、恋人や家族へ抱く感情をイメージするとなるほどと分かる。
また、相反する感情は同時に発生しにくい。恐怖を抱く対象には、攻撃的な怒りの感情が生まれにくいといったように、対角線上の感情へ遷移しにくいのだ。例えば、私もそうだが、一度嫌いになった人を好きになれない。これは「嫌悪」の対角線上に「敬愛」が配置されていることと一致している。
詳しくは以下の参考として頂きたい。(図、お借りしました)
ポジティブとネガティブ
よくこの図を見ると、人の感情にはポジティブな種類が少ないことに気付く。「関心」「平穏」「容認」の濃淡のみで、他はマイナスの感情ばかりなのだ。
そもそも抱く感情の開始地点が、マイナススタートとなる確率が多い。
マイナスの感情
「苛立ち」「うんざり」「哀愁」「放心」「不安」というマイナス面の感情が5つに対して、
前向きな感情
「関心」「平穏」「容認」の3つだ。
この二種類もスタートの程度が差があり、前向きな感情ではあるが、そこまでプラスの感情ではない。感情の強さがワンランク上がって「期待」「喜び」「信頼」といったプラスの感情が初めて湧くようだ。
油断すると人は負の感情に陥るものなのだなぁという事がよくわかる研究で、ポジティブな精神を保つにはかなり意識的に効果のある言動をとらなければならない。
人の悪いところばかり目に入り、良いところは意識しないと印象に残らないというのはこういった人の性質からくるものではないかと考えられる。
二次感情の関係性
二次感情の隣接関係が理にかなっていて面白い。
「畏怖」の対称方向に「攻撃」がある。
これは古来の神や自然など宗教的に崇める対象に対して、決して攻撃するような態度をとらないことをイメージさせる。
「畏怖」の隣接に「服従」と「拒絶」がある。
これは同じ例でいうと、宗教的な象徴に対してプラスの方向で容認すると、「服従」となり、マイナスの方向に振れると「拒絶」するようになる。
「愛」の対称方向に「後悔」がある。
これは身近な例でいうと、別れた恋人や、疎遠になった友人などがイメージされる。「うんざり」や「悲しみ」といった一次感情の蓄積が、「後悔」という愛情の裏返しに変化していく様は身に覚えのある方も多くいるのではなかろうか。
「楽観」の隣接方向に「攻撃」がある。
ポジティブな「楽観」という二次感情から「攻撃」という負の二次感情に遷移する確率が高いことを示している。楽観していた対象が「警戒」や「怒り」の方向にマイナスが蓄積すると「攻撃」するようになるという論だが、一次感情の「関心」があるほど、執着が生まれ、怒り、攻撃対象へと変化するように思える。これは身に覚えもあるし、家族喧嘩などはこの例ではなかろうか。
感情のコントロール
人は、感情がマイナスに触れてしまう機会が多いが、負の感情を抱くことで精神的な負荷が高まるので、なんとかプラス方向へ感情を制御し幸福感のある生活をしたいものである。
プルチックの感情の輪は、自己を俯瞰で見る際に役立つ。対人関係や環境に満足いかない状況では、この輪の図を参考に一度分析してみると、先々どういった感情に変化するのかが分かり、その反対方向へ感情を持っていくにはどういった感情が足りていないのかが分かる。
イライラした時には一度この図をながめてみることがおすすめである。
生まれてしまった負の感情をコントロールし、仕事のスキルに転換しようという書籍を紹介する。
誰しも抱いてしまう負の感情を放置するのか、制御するのか。我々現代人は、それを選択できる自由がある。
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