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読書感想文2 『楠木正成』

こんにちは!りんてんです。

まだまだ病み上がりという感じで、ほぼほぼ一日を寝て過ごしている。ただ、熱はだいたい下がり、最も苦しめられていた関節痛も無くなり、だいぶ楽になってきた。熱があるときのおしっこの時のアノ感じ(熱いものが放出されるアノ感じ。)もほぼ無くなって、あとは頭痛と気怠さだけ。。。

少し溜まった仕事を片付けながらも、本を読み進め、今日読み終わったのは北方謙三の『楠木正成』。 

内容は、もろにタイトル通り、鎌倉時代末期に活躍したゲリラ屋さん、楠木正成を扱った歴史小説である。 

北方さんの小説を読むのは初めてなのだけれど、実に魅力的なキャラクターを生き生きと描く人だというのが今回私が持った印象。 

文章自体はすごく簡単なのだけれど、心理描写が真に迫っていてどのキャラクターにもつい感情移入してしまう。 


また楠木正成という人についてだけれど、本当に頭のいい人だったんだと思う。 

この小説がどこまで史実に基づいているかは知らないけれど、彼がゲリラ戦を繰り広げ数々の戦功を挙げたことは事実。 

その成功のもとの一つは、彼が、自分が武士ではないという事実を全面的に受け入れていたことだと思う。 

私は、人が何かをするときには、まず現状をしっかりと受け入れ、それを踏まえて行動を決定することが重要だと常々思っている。 必ずしもその道の経験者が成功するとは限らず、失敗する時は大概にして現状に何かしらの誤認やバイアスがかかってしまい、判断を誤ってしまっている可能性が高いと考える。

実はこれを実践するのはかなり難しい。大抵の場合、人は現状を受け入れずに無視してしまうからだ。 

もちろんこれを実践できていたこともすごいと思うが、生まれが大きな意味をもつこの時代に、自分の生まれと正面から向き合い、それを受け入れられたから、私は彼を尚更すごいと思うのだ。 

たぶん彼にはそうすることが最良に思えたんだろうし、そのおかげで寡兵で鎌倉の大軍を防ぐという快挙もなしえたのだろう。 私欲というよりは組織全体の目的をしっかり認識していたのだと思う。

彼は十分に傑物たる人物である。 

最後になるけれど、こんなに魅力的な人物が教科書のたかだか四文字に押しこめられてしまうのは大変に残念なことだと思う。

歴史教育は、教科書に書いてある年表や史実を記憶することではなく、そこから何を学び、社会で生きる糧としていくか、をもっと議論する場であっても良いと思う。成功も失敗もたくさんあるし、いわゆる歴史的な失敗や悪人も、見方を変えると成功であり最愛の人である可能性もあるのだから。

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