行き場のない涙
先日、友人からのメールで、神楽坂下の「紀の善」が閉店されたことを知らされました。
閉店は、昨年9月末のことだったようです。都内の中では際立って情緒的且つ個性的で、一番好きな江戸風情が在る街、神楽坂。紀の善は、多くの文化人にも愛され、神楽坂の中で最も神楽坂らしい店だったのではないかと振り返られます。
写真は、10年前にFBにアップしていた画像。ご存知、抹茶ババロアとウインドーに飾られたテイクアウトメニューのお汁粉類。上品で可愛らしく、今でも目を楽しませてくれます。
私にとっても思い出のお店。まさか、半年前に閉店。あの空間に居ることを永遠に失ってしまうだなんて・・・・・。
そして同じ時期、ついこの前のことです。昭和の時代に知り合った旧友が、急逝していたことを突然知らされました。
旧友とは2年前くらいにFBを通じてバーチャルに再会。飲食店の店長をされていることを知り、そのうち、あの昭和の仲間や恩人を連れて飲みに行くからね!!!そんなやりとりを交わしていたのに、なんと昨夏にバイク事故によって急逝されたことを、今になってようやく知ることができました。
人生の中で、別れと対峙することは、もちろん多々あります。それは、いつだって悲しいし、寂しい。それも人生。もちろんわかっています。でも、半年も後になってから知ってしまう悲しみは、「心にぽっかり穴が開く」という使い古した言い表し方がありますが、まさしくそのような行き場のない寂しさに覆われてしまうものです。
紀の善さん、閉店を知っていたら、何が何でも神楽坂に向かっていました。どうしても、あの空間、あのおもてなしをもう一度体感したかった。
旧友よ。
約束って、「そのうち」や「いつか」じゃダメなんだね。ほんと身に沁みて思ったよ。約束が生まれたら、すぐに実行し果たさなければいけないんだね。バイクで逝ってしまったのかい・・・。君には会えないけれども、約束通り、柳町の君のお店には行くからね。
3月31日。
暦を見たら、「大吉日にて何事にもよし」と記されていた日でしたが、私にはこのような心の立ち位置の日でした。