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賃貸住宅管理業(管理会社)に対する新たな規制(重要事項説明、登録制など)

賃貸住宅管理業への規制がスタートします

2021年6月15日より、賃貸住宅管理業(不動産オーナーから受託して行う、賃貸住宅の維持保全、家賃受領等の管理業務)に対し、新たに規制が及ぶところとなります。

昨年にスタートしたサブリース規制を定めるものと同じ法律である、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に基づく規制ですが、賃貸住宅管理業にかかる部分については、サブリース規制より遅れて2021年6月に施行となるものです。
不動産会社、特に管理会社にとってインパクトの大きい、この新たな規制について、概要と注意点をまとめてご解説します。

賃貸住宅管理業の登録制度

賃貸住宅管理業は、管理住宅が200戸を超える事業者について、登録制となります

(また、管理戸数が200戸を超えない賃貸住宅管理業者であっても、社会的信用力を確保するにあたって、登録を受けることが国交省により推奨されています。)

そして、この登録申請に際しては、業務管理者の配置状況を書類により明らかにする必要があります。
「業務管理者」とは、従業員が行う管理業務等の指導・監督を行うために必要な知識及び能力等の一定の要件を備える者、とされております。
具体的には、講習を受けた賃貸不動産経営管理士、登録証明事業による試験合格者の他、指定講習を受けた宅建士等がこれにあたります(2年以上の実務経験も必要。)。

不動産事業者にとって、最も馴染みがある資格者は宅建士と思われますので、現時点で登録が必要な事業者は、宅建士に対し、指定講習の受講及び業務管理者への就任打診をご検討いただく必要があります。

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重要事項説明が必要

管理委託契約の締結時に、重要事項説明が必要となります

重要事項説明書の雛型は、国交省ウェブサイトにPDF及びWord版が掲載されていますので、こちらを参考にすることが可能です。

なお、重要事項の説明者に資格が必要、ということはありません(国交省は、業務管理者又は一定の実務経験を有する者など専門的な知識及び経験を有する者が行うことを推奨してはいます。)。

また、双方向でやり取りができる等の一定の要件のもと、オンラインでの重要事項説明を実施することも可能です。
この重要事項説明を外部委託することは禁止されており、賃貸住宅管理業者が自ら行わなければなりません。

重要事項説明を受ける権限を委任された者への説明、つまり、代理人への重要事項説明(例えば、オーナーが多忙につき、その奥さんへ委任状を出してもらって、説明を受けてもらう等)は禁止されておりません。

ただし、国交省はこの「代理人への重要事項説明」についても、若干の警戒を抱いているようです。

国交省は、「賃貸住宅管理業者が管理受託契約の相手方に対して働きかけて契約の相手方にその代理人を紹介して選任させた上、当該代理人に対して重要事項説明を行ったような例外的な場合」について、見解を明らかにしています。
不動産管理会社の側からすれば、重要事項説明の負担の重さ(かなりの人的リソースが消費される)から、この重要事項説明を代理で受ける業者を紹介し、その業者への説明にて対処する、という業務負担の軽減が想定されるためでしょう。
このような場合、国交省は、重要事項説明を受けた代理人が、本人に対して説明をしたと評価することができる事情が必要である、と見解を明らかにしています。

つまり、仮に重要事項説明を代理で受ける業者を紹介するという方法をとる場合には、代理で重要事項説明を受けた当該業者が、本人に対してしっかり重要事項説明をフィードバックするところまで、しっかりと仕組みを作り、また、フィードバックがなされたというエビデンスを確保することが必要となります。

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契約時交付書面

また、重要事項説明書に加えて、契約締結時に一定の事項を記載した書面の交付が必要です。

この契約締結時交付書面は、契約書と兼ねることが可能ですので、事実上の要対応事項としては、管理委託契約書に、契約時交付書面に記載すべき事項を漏れなく書かれているか、確認及び修正をしなければならない、ということになります。

なお、この契約時交付書面と重要事項説明書を、同一の書面とすることはできません。

その他の注意点

その他に注意すべき点としては、最低でも年に1回の、不動産オーナーへの定期報告が義務付けられたことです。

この報告にあたっては、一定の事項が記載された管理業務報告書を作成し、交付しなければならないことになっています。

従前、定期報告を業務内容としていなかった不動産管理会社においては、新たにこの定期報告を業務内容に含めることが必要です。

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