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スタートアップの方向性を決める「3つの輪」その④

この記事は3日前に投稿した「スタートアップの方向性を決める「3つの輪」その③」の続きになります。お時間があればそれ以前の「その①」「その②」とあわせてお読みください。


4.「やりたいこと」が重ならない場合、残念な気持ちが残りやすく長続きしない(ことがある)

図Cのポジションになります。「できること」と「求められていること」が重なっているので、計画を事項に移しやすくニーズをつかんだ商品を提供できる可能性が高いといえます。
 
AやBと比較すると事業の成功率は高いポジションです。しかし「やりたいこと」が重なっていないので、いざ事業が軌道に乗っても、「本当は別のビジネスがやりたかった」と、実行できなかった計画に後ろ髪を引かれてしまうことがあります。事業の進捗後に新たな目標を見つけて結果オーライとなることもありますが、人によってはせっかくビジネスに成功しても事業意欲を失ってしまうこともあり、この部分は難しいところです。
 
先日ハウスクリーニングの女性社長の話を聞く機会がありました。社長は元々ITのエンジニアでしたが、結婚後夫婦でハウスクリーニング屋を始め、配偶者の持病で現在は2代目の経営者となっています。
 
すでにお孫さんがいるようなご年齢ですが、経営するお店は30年以上続いているので傍から見ると成功事例のように思えます。しかし社長は「どうせ経営するなら自分のキャリアが活きるIT系の会社にしたかった」と今でも時折考えるようです。
 
海外では最初始めたビジネスを軌道に乗せたら、事業を売却し得たお金で本当にやりたかったビジネスを始めるスタートアップもいるようですが、わが国では少数なのが現実です。

5.「3つの輪」を活用するメリット

最近もスタートアップの相談を多く受けています。この1か月だけでも
・町工場(ポジションS)
・大工 (ポジションS)
・喫茶店(ポジションB→S)
・洋風レストラン
・マッサージ店
の相談がありました。そのほとんどが継続相談となっています。
 
このうちSのポジションにある上2つの案件は、スタートアップの「やりたいこと」「できること」「求められること」が重なっているので、私が細かいことまで指示しなくても、事業が日々進捗しています。
 
3つ目の喫茶店は、スタートアップは当初カフェの経験が無かったのですが、私の助言に従い半年間カフェで働いて経験を積んでからお店をオープンさせました。当初は「できること」が欠けているBのポジションだったのですが、経験を積むことで能力を充足させ、自分でポジションをSの位置に移動させることができました。

スタートアップ本人に話を聞くと、「ビジネスの経験があったので、始める前はカフェの経営は難しくないだろうと考えていたが、実際他店で経験してみたら甘かった。」「最初は先生の助言を大げさ感じたが、経験してみて本当に良かった」とのことでした。
 
コロナ禍の影響で集客に苦戦する飲食店が多い中で、新規開店でありながら集客はおおむね順調なようです。
 
「3つの輪」を使うことで、事業計画に不足している要素を知ることができるので、構想段階での間違いを回避しやすくなります。よってその後の事業計画の作成がスムーズに進むことにつながります。
 


「3つの輪」を活用するメリット(上図と同じ)
●事業構想で不足している要素を把握しやすくなる
●準備活動の精度が上がり、時間やコストの無駄を防ぎやすくなる
●計画立案前に無理筋の構想を断念しやすくなる
●事業計画の作成がスムーズに進みやすくなる
 
次回は「3つの輪」で回避できたはずのスタートアップの失敗事例を取り上げる予定です。

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