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スタートアップに贈るSWOT分析のノウハウ①

1.なぜ今更SWOT分析なのか?

 SWOT分析は経営の現場で使用されているメジャーな経営手法(フレームワーク)です。1950年~1960年代にハーバード大学で開発されたとされ、現在では主に戦略やマーケティング、それらの知識が必要とされる事業計画作成の分野で活用されています。開発されてから日が経っているため、なかば「古典的知識」とされていますが、経営のテキストの多くで説明されていますので、大学で学習された方もいるでしょう。
 
 スタートアップがSWOT分析を学ぶ意味は、第一にスタートアップの考えているビジネスを第三者に伝えるのに便利だからです。金融機関や商工会・商工会議所といった地域支援機関の経営指導員はSWOT分析を知っており、実際に日本公庫(旧国民生活金融公庫)の創業計画書にも使用されています。
 
 第二に事業計画の精度を高めるために有効だからです。これから説明しますが、SWOT分析はスタートアップの持っている経営資源と、直面している経営環境を整理し、両者に矛盾しない計画を作成することができます。

 前回までの「3つの輪」の説明でも ,「独りよがりのビジネス」や「プロダクトアウト的な商品やサービス提供」によって失敗したスタートアップの話をしてきましたが、そうした悲劇を回避するにも有効です。

 私のような経営の専門家になると、企業の経営者や金融機関の職員と月に一回はSWOT分析を行います。「SWOTなんて古典でしょ?」と馬鹿にせず、以前学習したことがある方は復習として、初めて聞く方はこの機会にSWOT分析を習得してください。

2.SWOT分析の概要

 スタートアップがSWOT分析を行う場合は、まず本人が持っている「経営資源」と、本人が直面している「経営環境」に注目します。
 スタートアップの持っている経営資源を「強み」と「弱み」に分類します。経営資源とはスタートアップ本人の能力や資産、有益な情報やノウハウのことで、略して「ヒト・モノ・カネ」と言うこともあります。
 ナンバーワン、オンリーワンの能力や潤沢な資金、事業に使える土地や建物があれば強みにいれますし、改善が必要な点、劣る点があれば弱みにいれます。
 
 次にスタートアップが直面している経営環境を「機会」と「脅威」に分類します。機会とはビジネスチャンスになりうるもの、脅威とはビジネスの障害となる外部の危機のことです。
 
 これらを強み弱み、機会脅威の2×2のマスに整理するのが最初のステップになります。そして次のステップでは、この分析をもとに事業の方向性(戦略)を決定します。
 
 例としてとあるパン屋が開業時に作成したSWOT分析を掲載します。次回はこの内容について解説していきます。

経営資源と経営環境の分類が終了しているが、この状態では計画の方向性は見えていない。
よって分析途上の状態だが、分析者はまずはこの状態を目指すことになる。 

おまけ

 強みと弱みは英語でStrength(ストレングス)とWeakness(ウイークネス)、機会と脅威はOpportunity(オポチュニティ)とThreat(スリート)であり、この4つの頭文字を取ってSWOT分析と呼ばれます。


https://note.com/k_hamano/n/n513aa876b8a2


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