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びっくりのインド ● 15 ● 極楽の気候と洗濯

サンフランシスコは、それまで私が住んだ街では一番気候が良かった。
年間を通して気温の変化があまりなく、暑がりの私にはまさに極楽だった。

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グラフで見ると冬は寒そうだが、暖房を入れることは殆どなかった。
屋内では T シャツ、外ではその上に革ジャンを着るとちょうどよい。
むしろ夏は霧が出ることが多くて寒いと感じる日が多い。
一番過ごしやすいのは秋、天気が良い日が多くて適温だ。
この気温になれると 26 ℃を超えたあたりで皆が 「今日は暑い」 と言い始める。

そのサンフランシスコが、極楽の気候 No 1 の座を譲ったのがバンガロールだった。

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バンガロールに住んで、自分が一番気持ちよく過ごせるのは 湿気のない 26 ℃ だと分かった。
猿からヒトへ進化した頃の地球の平均気温は 26 ℃ だと聞いたことがある。
それが本当なら私の遺伝子はその時の気温を覚えてるということだ。

バンガロールが南インドにありながら、ここまで快適な気候なのは、標高が 1,000 メートルくらいあって他の地域よりも気温が低いからだ。
避暑地に住むような感じである。

それからもう 1 つ大事なのは、ホテルや金持ちの家は床が大理石だということ。
大理石は、外の気温と室温の時間差を作ってくれる。
夜になると、昼間に温められた大理石が自然の床暖房になる。
つまり 足元は暖かく外から入る風はひんやりしている という、至福の状態だ。
夜の間に大理石が冷えて、逆に昼間は床がまだ冷たいので涼しい。
職場では皆は裸足だったが、足から床へ体温が逃げてしまい、寒さは平気なはずの私がビーチサンダルを履いていたほどだ。

この気温で湿気がないと、朝に洗濯をして干すと、ランチを食べに自宅に戻る頃には乾いた。
しかも脱水機ではなくて手絞り、バスタオルからボタボタと水が垂れていてもパリパリになる。

こんな風にワイヤーに引っ掛けておくだけでよい。

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停電が多く家電がまだ普及していないインドでは、もちろん手で洗濯するが、私は足で洗った。
以前、旅行中に手で洗濯したら、恐らく洗剤のせいもあって手の皮が剥けて痛い思いをしたことがあった。
それで考えたのが、シャワーのついでに足で踏み洗いをする方法だ。
まず、洗濯物をシャワーで十分に濡らしてから身体を洗うソープをこすりつけておく。
汚れがあるところは念入りに。
そしてシャンプーをしつつ、たまに洗濯物をひっくり返しながら、その上で足踏みをするのだ。
想像するとかなり滑稽だが、時間の節約にもなるし、思ったよりも洗濯物がきれいになる。
洗濯機の水流で服をジャバジャバ揺らし洗いするよりはずっと効果的だと思う。
ただ、一度にたくさん洗えないので、洗濯物は基本的に毎日欠かさず足洗いした。

朝は少し冷たい風で目が覚めて、夜は涼しい風で眠る、日々。
昼間は温度が上がるので、南国の気分も味わえる。
私がバンガロールにいたのは 11 月~ 2 月、気温が低めの時期だったせいもあって 「ここにこのまま住み続けると他の地域の気候で過ごせなくなるかも」 と思った。

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