企業ミッションは、3回誕生する。

「次はどのような内容を書いて欲しい?」と社員の何人かに確認したら、前回の社名に引き続いて、ミッションの由来について書くように、、、との指令を貰ったので、今回はミッションについて綴ろうと思います。

先にお伝えしますと、この記事は長文です。できるだけ短くしようと試みましたが、、、いい意味で諦めました。それだけ大切な内容であり、想いを軽くすることができなかったからです。内容が内容だけにできるだけナマ感を大事にしてお届けしようと思います。

言うまでもなく、ミッションは企業の存在意義であり、目的となるものです。ピータードラッカーも「目的からスタートしなければいけない」と述べており、目的が組織に浸透している会社こそ「強い会社」として形容しています。

リブ・コンサルティングも目的をとても大切にして生まれてきた会社です。

コンサルティング業界においては、スキルドリブンの会社が多く、実はミッションドリブンで企業運営している会社は稀有です。

昨年「ベストモチベーションカンパニーアワード2019」で2位に選出された表彰式でも、リンクアンドモチベーションさんから「(珍しく)ミッションドリブンなプロフェッショナルファーム」と紹介されました。

どこの会社もそうであるように、ミッションは一朝一夕で出来上がるものではなく、長い年月を掛けて醸成されていくものです。

では、リブはなぜミッションドリブンなコンサル会社を目指すようになり、どのような道のりを辿っていったのか。

今回はそんな話をNOTEしようと思います。

リブ・コンサルティングのミッションは、

100年後の世界を良くする会社を増やす

です。

これについては由来というより、私の考えではミッションは三度生まれると思っています。すなわち、宿す(ルーツ)→繋がる(共鳴)→広がる(普及)です。

1度目は、創業メンバーが宿すものであり、文字通りの誕生。2度目は、ミッションがメンバーと深く繋がり、メンバーの心の中に生まれるもの。3度目は、ミッションが独り歩きし、人から人へ伝わり、顧客や社会の中に生まれるもの。

別の言葉で形容するならば、
1度目は、「創業的誕生」、2度目は「組織的誕生」、3度目は「社会的誕生」と言い換えることもできると思います。

ということで、リブではどのように3度の誕生を辿っていったのかについて、順を追ってお伝えしようと思います。

1.創業者に宿ったミッション(創業的誕生)

創業的誕生は、創業メンバーのルーツに根差すものが多い。リブの場合は、代表の関に宿されたものであった。

関が新卒で入社したコンサル会社で5年目の夏。
人知れず、関は悩んでいた。

このままコンサルタントを続けるべきか否か…

クライアントの成果はたしかに創出できているし、喜ばれている。でもまるでひと時の関係のようにプロジェクトが終わると切れていく。

同期も先輩もどんどん辞めて、キャリアアップとばかりに転職や独立をする。まるでビジネススクールを卒業するような感覚で3年で巣立っていく。

世間もまた「コンサルタントは机上の空論」とばかりに扱い、実業と対比させるように「虚業」として扱われることも多い。

コンサルタントに憧れて入社したのに、去来するこの虚しさはなんなのだろう。

コンサルタントになんの意味があるのか…

コンサルティング業の目的を見失いかけていた関。そんな時だった。ちょうど夏季休暇のタイミングで北方謙三の三国志と出会い、読み耽った。

あるシーンで手が止まった。
それは劉備玄徳が諸葛孔明に三顧の礼を尽くし、孔明が劉備への仕官を決意する場面。

諸葛亮孔明の名声はすでに天下に響きわたっており、当然ながら曹操からも孫権からも熱烈な仕官要望を貰っていた。

天下は曹操が支配的だった。天下統一への近道を考えるのであれば、曹操に仕えるのが最適であろう。また孫権には孔明の兄である諸葛瑾が仕えていることから縁もある。

でも孔明は劉備玄徳を選んだ。その理由は三顧の礼だけではない。孔明は劉備に仕官した理由について本書でこのように答えている。

志。天下を取るというような、小さな志ではなく、この国の100年先、200年先を見据えた志ということ

「なるほど、そういうことだったか…」

関の悩みは嘘のように消えていき、そこに大義を見出す。

天才軍師である孔明を現代のコンサルタントと見做し、
「私たちの仕事は、100年、200年後の世の中を良くする会社を支援することなのだ。」

関はコンサルタント職に踏みとどまる。
いやそれどころか、吹っ切れたようにコンサルタント本来の姿を追求するようになる。

ここにミッションの原点はその形を帯びるようになる。

2.組織に宿したミッション(組織的誕生)

創業者に宿ったミッションが言葉として発露され、最も身近な人たち(多くは社員)がその言葉に共鳴し、組織の旗印として受け入れていくのが2度目の誕生である。

私たちの場合は、実はリブ創業の前にEpisode.0がある。

関が社会人6年目、そして私が5年目くらいになった頃から、新卒で勤めていたコンサル会社の業績はいよいよ深刻さを増すようになる。

飲食店、住宅会社、介護事業、自動車事業、、、等々、約20社の事業を次々と立ち上げ、急速な多角化によりグループ会社が膨れ上がっていく。

給与遅延、賞与カットが繰り返される中で、社員はどんどん辞めていった。繰り返される事業再編と組織再編で、売上はどんどん縮小していった。それでも赤字からの回復目処も立たず、キャッシュは底をついていった。ジェットコースターのように下がっていく株価はなんと1円まで落ち込む。

株価が1円から2円に上がれば、日経新聞の値上がり率ランキングで1位になり、1円に下がれば値下がり率ランキング1位に躍り出るという不毛なアップダウンを繰り返しながら、会社に残った殿(しんがり)たちはそれでもかすかな望みを頼りに、日々クライアントと向き合っていた。

MBO、事業売却、オーナーチェンジもあり、それまで会社を経営していたベテラン幹部たちは次々と会社を後にして、新旧の入れ替えが行われた結果、関はコンサル部隊における実質のトップとなり、私も再建責任者の一人として日本全国を奔走することになった。

経営コンサル会社の経営不振というのは筆舌に尽くしがたい。

想像すれば分かると思うが、

「人の心配の前に、まずお前の会社のことをなんとかしろよ。」
「なんなら経営について俺が教えてやろうか。」
「プロジェクト期間中に会社がなくなっちゃうんじゃないの?」

みたいな疑念やツッコミのオンパレードと相見えることとなる。

必要に迫られ、自身の存在意義やそもそもコンサルタントの意義をひたすら突きつけられ、自問自答することになる。

コンサルタントになんの意味があるのか…

一方、会社に残った若き侍たちは、随分前から腹は括っている。
背負っているものの大きさから、クライアントの成果はむしろ以前より出ているし、覚悟の分だけコンサルタントたちはこの期間にほんとうに育っていった。

ただただ目の前のお客様だけに集中し、それ以外のことは考えないように努めた。反骨心を身に纏いながら、地方をひたすら周り、今日、その瞬間のことだけを考えていた。

言葉を減らし、感覚を鈍らせて、その日暮らしで再建に明け暮れていた。

そんな日々が2~3年続いた、ある日のことだった。
全社員が集まるタイミングで、関が不意にその言葉を発するのだった。

「うちの会社の存在意義みたいなことをちょっと考えてたんだけどさぁ〜

100年後の世界を良くする会社を増やす

なんてどうかな〜。」

なんでだか分からないけれど、その言葉は体の中にすっと入ってきて一気に心を温かく満たしてくれるものだった。周囲を見渡しても、同じように高揚している様子は一見して明らかだった。


それは今置かれている境遇とは真逆の言葉だった。

目に見える“今”しか信じられなくなっていたのに対し、”100年先の未来”という時間軸。

”地方都市”で一隅を照らすように火を灯す活動に対し、”世界”というスケール感。

そうだよな。いいんだよな。顔上げてもいいよね。
胸を張っても、、、未来のことを考えてもいいんだよね。

正直、その心境の変容を言葉にするのは難しい。
一気に視界が開けて、前に向かう強いエネルギーを授かったような瞬間だった。

そうだ、私たちは、、、
100年後の世界を良くする会社を増やすんだ!

こうして、ミッションは一人ひとりに乗り移ることになる。

想いを一つにしたラストサムライたちは強かった。各所で快進撃を続け、みるみる高収益のコンサル部隊へと復活を果たすことになる。

すべての難局を乗り越え、あらためてずっと追い求めていた理想のコンサルティング会社を創ろうとリブ・コンサルティングは2012年に創立されることとなった。

「100年後の世界を良くする会社を増やす」というミッションを背負って。

3.世の中に広がっていくミッション(社会的誕生)

最後は、ミッションが生みの親から離れ、その母体から独り歩きして広まっていくフェーズである。それは時を超え、人から人へと伝染していく有り様である。

名曲が作り手の元を離れ、街なかで作り手と会ったこともない誰かが口ずさんでいる様子に近い感じだろうか。ちなみに音楽を奏でられない私にはそうやって広まっていくメロディーに、ただただ憧れる(笑)

リブは残念ながらまだその途上にある。むしろまだ入り口付近かもしれない。伸びしろたっぷりだが少しずつたしかに前に進んでいっている。

創業から8年弱が経過し、社員数も160名となった。
ミッションに共感するメンバーたちがどんどん入社する中で、時を重ねながら、人から人へと、ミッションは意志をもつかのように伝染していっている。

3年くらい前に、神田昌典さんのアドバイスもいただいて、100年後の世界を良くする会社を「インパクトカンパニー」と呼称するようになった。世の中にビフォーアフターを創り出すインパクトを与える会社というイメージが付与され、解像度が上がり、社員は以前よりも身近にミッションを感じれるようになった。

世の中にインパクトをまさに今、創出しているようなグローバルユニコーン企業のご支援が増えてきたり、日本でも急成長ベンチャーの支援が続々と増えてきたことで、ミッション体現の手触り感もどんどん増していった。

そして、リブのミッションを世界で最も体現するような有名人としてよくよく吟味した結果、アンドレス・イニエスタ選手のCEO(Chief Evangelist Officer)就任が決まったことも未来に向かう背中を押してくれている。

創業当時はもっと「あるべき姿」「合理」みたいなのが重視されている時代だったが、徐々に「ありたい姿」「想い」という時代にシフトしてきたことで、会社のあり方も変わり、社員や周囲にも届きやすくなった。

以前は、少し自信なさそうだったり、恥ずかしそうに
「弊社のミッションは“100年後の世界を良くする会社を増やす“でして、、、」と話しているメンバーが多かったが、最近では新入社員からベテランまで色んなところからミッションについて堂々と話している姿を目にしたり、耳にしては、心の中で誇らしく思っている。

やはりミッションは内から外に広がっていくものなのだろう。クライアントの社長からも、「うちは100年後の世界を良くする会社になるので、ご支援お願いしますね。」という心強い言葉をいただいたり、求職者からも「貴社のミッションを体現するために入社を志望します」というような志望理由が増えている。

こうしてミッションはたしかに伝わっていっている。
創業者から組織へ、組織から社会へ。

もちろん、世の中にはまだ全然行き届かない。
ミッションはこれからまだ途方もないジャーニーを歩んでいくことだろう。

でもきっといつか広がっていっていくことを思い描いている。まるでメロディが国境を越えて、誰かの心に響くように。

ご支援企業がその地域地域で深く人々の生活に変化をもたらしたり、世界中で広く影響力を創出したとき。

コンサルタントたちがインパクトカンパニーの成長や変化への力強い貢献を果たしたとき。

「世の中にインパクトを与えた会社」として賞賛される企業の元に、リブ・コンサルティングの存在をたしかに認められるようになったとき。

未来のどこかで、遠く離れた場所で、名も知らぬ誰かが「100年後の世界を良くする会社を増やす」と言葉にするだろう。

そのときに、もう一度ミッションは生まれてくれるのだろう。

音楽を奏でられない私は、そんな日をただただ待ち望んでいる。

時を超え、人から人へ、世の中へ。

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