見出し画像

この求人案件の何が間違いだったのか、僕なりの意見を書いてみます。

昨日、こんな記事を読みました。
https://dot.asahi.com/dot/2021051200022.html

オリンピック運営に必要なセキュリティーエンジニアの募集(一瞬、「警備員の募集?」と思いましたが、ITエンジニアでした))についてだったんですが、この記事を書いた方と同様のことを思いました。「この採用は失敗するだろうな」と。


何が問題なのか?

この求人広告を掲載したリクナビネクストの記事はこれですね。5/18で閉じてしまうので、デッドリンクになったらURLは消しちゃいます。
https://next.rikunabi.com/company/cmi3659789001/nx1_rq0019798812/?fr=cp_s00890&list_disp_no=4&leadtc=keyword_ichiran_cst_n2_ttl

まあ、募集する側は自由でいいんですが、「ハイリスク(ハイスペックが求められ、しかも就業期間限定の契約社員)でローリターン(圧倒的に給料が少ない…)」というものだったためです。


まずはターゲット要件を見ます。

【Must要件】
★サイバーセキュリティ全般に関する知識を持ち、関連したチームと調整ができる人
★正規表現やDB検索によるログ検索及び解析の経験がある人

【続いてWant要件】
★TOEIC600点程度の英語力
★セキュリティ関連資格(CISSP, 情報セキュリティスペシャリスト等)
★セキュリティ・インシデントレスポンスの実務経験
★市中のログ分析基盤技術の利用経験
★R言語, Python言語などを利用したデータ分析の経験
★データベース及びデータ分析ツールを用いた分析の経験


まあスペックの高いこと! しかも、Want(あればなお歓迎!ってやつです)となっているこれら6つの条件ですが、おそらく半分はMustだと思いました。ある程度の英語をビジネスシーンで使うセキュリティー系のエンジニア。実在するなら、民間各社さんが好待遇を用意してハンティングに向かうことでしょう(笑)。

画像1

雇用元が「公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」という希少性たっぷりの法人なので、レア求人だ! という捉え方もあるでしょうが、なにしろ待遇が全くよくありません。


★世界的なスポーツの祭典が終わったら解散する、短期間の就業であること
★月給が最下限額面で23万円であること(公務員みたいなものなので、すぐに昇給はできないんじゃないか?)
★土日祝休みとなっているが、7月以降は実質「週休1日」ということ
★健康保険と厚生年金は入れないため、各自で国民保険と国民年金を手続すること


メリットが見つからない…。


でも、地方の求人でも同じことが起こっています

「こんなの素人でもわかるよ~」「笑ってしまったじゃないか」と思われる方も多いと思います。ですが、これは他人事ではありません。

経験者募集なのに、高スペック人材募集なのに、待遇はそのまま据え置き。理由を聞いたら、「今いる社員たちに申し訳ない」と、課題を混同していた

これは、とてもよく遭遇します。経験者ならこれくらいの報酬は準備してしかるべき、といろいろ調べてくださっているにもかかわらず、よくわからない感情が働いて、企業成長のチャンスを逃してしまうことです。

中には、求めているターゲットの市場価値を全く調べずにいる方もいらっしゃいます。「いい人」は取り合いの戦国時代なんです(これはいつの時代も、でしたね)。

画像2


求める人物のスペックと、あらかじめ準備している待遇に違和感を感じるようでしたら、一度「他社さんはどうなっているのか?」と調べてみたり、このオリンピック求人のことを思い出してみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?