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【コラム】英語表記メニューはサービス?ホスピタリティ?

突然ですが…
"Multi grain gluten with sweet miso sauce"

ある和食のメニューを意味しますが、なんの料理のことかわかりますか?

答えは…





「生麩田楽」です。笑

恐らく、メニューに表記されるときは、
「namafu-dengaku (multi grain gluten)」とかになるのかな?
"multi grain(雑穀)"ではなく"wheat bran(小麦麩)"とか…
様々な言い方で書かれていますね。

私も初めてこの英語名を知った時、
「え???これで本当に伝わるの?マルチグレイングルテン?
なんか美味しくなさそう…」
と、正直思いました。笑

私がこの得体の知れない英単語?を初めて学んだのは、国際線ビジネスクラスの訓練でした。
お食事は「和食」と「洋食」、そして「軽食」があり、その全てを日本語・英語で説明できるように準備する必要があります。

その中でも、会席料理が提供される和食では、英語名称が難しい上に、外国の方からすると知らない食材も多いので、プラスαの説明が必要です。

奇しくもこの「生麩」は、そんな和食の前菜によく登場するんです💦笑
私は無類の「もちもち食感好き」。
もれなく「生麩田楽」も大好きなのですが、その「美味しい♡」温度感でこの食材を伝えきれないもどかしさがありました。

「生麩」の他にも、お造りに出されるお魚の名称や、海藻の名前なども、結構難しいんですよね!

インバウンド旅行者の「旅行の目的」を調べると、その上位に必ず入るのが、「和食を食べたい!」という答えです。

外国人旅行者の方は、そんな日本特有の食材や調理法などを楽しみに、割烹料亭などに足を運ぶそうです。

先週の大学の授業で、学生たちにこんな質問をしてみました。
「飲食店にあるメニューの英語表記は、サービスの一つ?それとも、ホスピタリティ?」

この質問の前提に、「サービス」と「ホスピタリティ」の基本的な違いをこのように説明しています。
「サービスとは、支払われた料金に対して、いつでも・どこでも・誰もが・誰にでも提供されるべきもの」(Must)
それに対し、
「ホスピタリティは、「そんなことまでしてくれるの✨」と感動が生まれ、私だけが・あなただけに・今だけ提供できるもの」(Can/Will)

学生たちのほとんどが、現在、カフェや居酒屋などの飲食店、ホテルの宴会補助などで接客に携わるアルバイトをしていました。

あらゆる視点で意見を述べてくれたのが、非常に面白かった!!
例えば…
「外国人が全く来ない場所、例えば私の地元の商店街にあるような町中華では必要のないものなので、ホスピタリティだと思います!」
といった意見や、
「見た目だけでは〇〇人と判断できない場合もあるので、英語表記は最初から提示しほうがいいサービスだと思います!」
など…

意外と「サービス派」と「ホスピタリティ派」、いい感じに意見が分かれたのです😄

それぞれが述べてくれた、
「必要な場所」と「見た目で判断できない」
という視点は、私も非常に重要なポイントだと考えます。

本当に外国人が全く来ないような場所で、費用をかけて英語表記のメニューを作る必要があるのか?
それなら、そのお金で調理器具を新しくしたい。
そんな判断になるのも当然でしょう。

しかし、現状、地方都市を中心として起きている課題は、
外国人が旅行に来ているにも関わらず、英語表記メニューの用意が追いついていないお店も目立つということです。

これだと、せっかく来てくださったインバウンド旅行者に、
「自分たちは歓迎されていないんだな…」という気持ちを与えかねません。

実際に、私もこんな気持ちになったことが何度かあります。
メキシコの首都、メキシコシティに隔月で行っていた時、現地でのレストラン探しに大変苦労したのです。

2017年当時、滞在先のホテル周辺のほとんどのレストランでは、公用語のスペイン語対応のみ。
英語表記のメニューや、オーダーの英語対応を受けられるお店が本当に少なく、毎回画像検索したものを指さして、お料理をオーダーしていました。
メキシコ特産のテキーラに関しても、その違いを知りたくても、言葉が分からずに断念して…(美味しく)ビールを飲んでました🍻笑

頑張ってオーダーしたディナーたち🍽️
全部に"si(ハイ)"って言ってたら、すんごい肉が押し寄せてきた💦

同じメキシコでも、リゾート地のカンクンとメキシコシティとでは、その対応レベルに大きな違いがありました。
確かに、それもそれで一つの旅の思い出にはなるのですが、カンクンに旅行で訪れた経験があった私は、それと同じような感覚でメキシコシティに降り立ってしまったので、そのギャップに驚いたのです。

このギャップを「良い」「悪い」と捉えるかは人それぞれですが、せっかくなら、もっと「良い」意味でのギャップを、インバウンド旅行者に感じて帰ってもらいたいですよね😄

メニューの多言語表記を「当然のサービス」とは言いづらいですが、
ちょっとした本音としては…
「ご飯くらい、ストレスなく食べたいよ〜〜〜」
ってことですかね🎵
これって「〇〇人」とか関係なく、みんなそうじゃないですか?

最近では、ちょっとした工夫で、お金をかけずとも英語翻訳が叶うツールやサービスがたくさんあります。
お客様の多様化に合わせて、迎える側の対応も多様化が必要です✨

多言語表記に留まらず、ヒンドゥーやハラールミールに代表される宗教特有の食文化対応、菜食主義(ベジタリアン)など…次から次へと多様な話題はつきませんね!

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