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【コラム】この対応のいく末は?

コロナ前の2019年頃まで多く目にしたこのような記事が、また最近増えてきた印象です。

画像をタップすると、このニュースが読めます!
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どちらの記事も拝読しましたが、率直な感想としては…
「まぁ、こういった意見も絶対出るよね」

この二つの記事それぞれ、状況や環境は異なれど、私も似たような思いを抱いたことがあります。

一つ目の記事での、「自国語が通じないとわかった瞬間に対応が粗雑になる」。
これは「お客側」で何度も経験しました。

特に顕著だったのが、フランスとメキシコでの経験でした。

「コト体験」が大好きな私は、今の訪日旅行客と同じように、その土地のローカルな体験をしたく、個人経営規模のバルやレストランに行き、現地の空気を感じることを好んでいました。

特に驚いたのは、ドイツとフランスでの対応の違いです。

両国とも、隣国同士で母国語が英語以外と共通していますが、同じような規模のレストランに行っても、ドイツではドイツ語が話せないと分かるとすぐに、英語でのコミュニケーションに切り替えてくれることが多かったのですが、フランスでは無愛想に対応されることもしばしば。

なんなら「カモ」にされかけることもしばしば。笑
けれど、話せないながらも「ボンジュール」「メルシー」「セボン」と伝えると、相手の表情がニコッと変わることもしばしば。

その時に感じたことは、お客側の「お邪魔します!」や、迎える側の「ようこそ!」が足りない結果の警戒心だったのかと思いました。

「嫌」なのではなく、「不安・警戒」の表れなのだと。
また、文化によって異なる感情表現の違いも、お互いを誤解させる要因のひとつだと感じました。

日本では、当たり前に「ようこそ!」と、お客様を迎え入れる際にニコニコと微笑みますが、それが世界のジャーナルスタンダードなのかというと、そんなことはありません。

これは、仕事中に携帯電話を使用する価値観のお話でも類似するのですが、日本ではお客様が入店、もしくはお姿が見えたその瞬間から「プロ」の対応を求められますが、そのような価値観はむしろ日本特有なものかも知れません。

多くの国では、お客が注文や購入を決めた瞬間から「お客様」となり、そこから丁寧な対応に切り替わることも多くあります。
アジア諸国でのマーケットやショッピングモールで多く見られる、
「お客さんが店内にいるのに携帯を使い続けている」という光景は、まさにそれを顕著に表す行動と言えるでしょう。

彼らからしてみると、
「え?なんでダメなの?だって今お客さんは商品を見ているじゃない!」
といった感覚に近いでしょう。

ここから分かること。
それは、このニュースで取り上げられている店員さんも同様ですが、私たちは全て、自分の「〇〇するべき」という、通称「ベキ論」で他人の行動の良し悪しを判断し、ストレスや怒りを感じてしまうということなのです。

「日本に来るなら日本語を話すべき」
単一民族・単一言語の島国で育った我々日本人が抱きやすい感情のひとつです。

このように書くと、
「お前はどんだけ偉いんだ!!」と反感を与えそうですが、私も以前はそのように感じていた一人です。

私はCA時代に、海外在住CAに対してこのように思うことがよくありました。
「日系の企業に雇われているのだから、クルー同士も日本語でコミュニケーションをとるべき」

何度もこんな風に愚痴を吐いていました。
なぜなら…私の英語力が拙かったからです。
伝えたいことの100%を英語で伝えきれないもどかしさとストレスから、このような感情になりました。

けれど、その時の私に足りてなかったのは、語学力ではなく、異文化で育った者同士を認め合い、お互いを尊重・労おうとする気持ちでした。

「一緒に働いてくれてありがとう」
「日本に来てくれてありがとう」
「色々と努力してくれてありがとう」

この気持ちの薄さに気づいた時、自分自身の外国人対応そのものを変えなければと感じたのです。

今私が細々と進めている「Travel comfort」というインバウンドホスピタリティに関するプロジェクト。

「プロジェクト」というと大袈裟ですが、少しでも両者のストレスを緩和して、インバウンド対応を楽しむことを目標にサポートツールを提供しています。

言葉がすぐに出ないのなら、第三のツールを駆使したらいい。
これが私の強調したい持論です。

翻訳ツール。
このニュースで発言をしている店員さんが、「仕事中なので翻訳ツールを使うこともあまりできず…」と仰っていましたが、そこがそもそものネックなのではないでしょうか?

少し流れが止まったとしても、躊躇なく翻訳ツールを使う環境づくりをする。
語学力は今日明日で変わることはありませんが、このような環境づくりならすぐに変化へ繋げることができ、自ずとお客様からの反応が変わります。

現に、CAも翻訳ツールを使ってます。
貸与されたタブレットにダウンロードした翻訳アプリを駆使し、外国語対応を確実にすることを大切にしているのです。

高額の投資をする必要もありません。
もちろん、有料アプリのダウンロードに頼れば、その言葉の精度も高まるかとも思いますが、別に「100」の精度じゃなくて「60」でもいいじゃないですか。

そんな思いも込めて、私はより簡易的な対応として、「画像」を作成しています。
※5月20日投稿「【コラム】インバウンド対応のハードルを下げる施策」にてご紹介。(こちらからも記事に飛べます)

最近では、お寿司屋さんでの注文画像も追加!
私も英語の魚名を覚えるのに苦労した過去があるので、作成しながら懐かしさを感じました。
※こちらはX(旧ツイッター)に投稿しています。(こちらからXの投稿に飛べます)

今この瞬間に、「外国人はうちのお客にはいらない」と言うのは簡単です。
けれど、同じことを数年後も言えているでしょうか。

インバウンド対応の充実は1日や2日でできるものではありません。
オーナーが「やろう!」と思っても、スタッフ全員がそこについてこれないこともあるからです。

時間が必要だからこそ、今から挑戦や試行錯誤が必要となります。
正直、日本の学校教育だけでは、外国人対応に不足が見られることが多いのが現実です。

大学の講師をしている私が学生を見ても、そう感じます。
しかし、できないわけではありません。

「小さな成功体験」を積み重ねて、「なんか楽しい」を生み出したい。
外国人のお客様は、日本人よりも反応が良く、「良い」と思ったらすぐに口コミをしてくれる、非常にありがたいお客様です。

「〇〇しなければダメ」
まずはその思い込みを外し、自由な発想と施策でインバウンド対応を楽しみましょう!

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