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【フリー台本】シェアハウス茶番劇(0:4)

4人用台本です。
舞台を想定して書きましたが、朗読劇としてでも活用できるようにしています。
SEやBGMなど、好きに付け加えてください。

時間:10〜15分
人数:女 4人
ジャンル:現代、ギャグ、掛け合い
あらすじ:ここは、少し歳の離れた仲のいい役者仲間4人で住んでいるシェアハウス。
ある日、最年長の1人、ミナが楽しみにしていたケーキを食べようと冷蔵庫を開けると、箱が忽然と消えていた。
ゴミ箱からケーキの箱を見つけると、ミナは犯人を探そうと共に暮らしているサキ、ユカ、ナミを集める。
役者仲間の前に、個性豊かなそれぞれが織りなす茶番劇。
それから、仲良し4人のいつもの日常。

登場人物
ミナ(28): 食べることが大好きであり、食べ物への執着心は人一倍。
      安くお腹いっぱいになることがなによりも幸せ。
      一度頭に血が上ると猪突猛進になり周りが見えなくなりがち。

ナミ(28): ズボラな性格でところどころ抜けている。
      細かいことは気にしない性格のため、いろいろなところが雑。
      飄々としているように見えて短気。
      あだ名は「みいさん」

サキ(26): 心優しい性格で、出来れば喧嘩はしたくない。
      大抵のことはふんわり受け流すが、人が言い争っている空気が苦手。
      楽しいことが大好きで、先輩たちに可愛がられる後輩。

ユカ(22): 穏やかな性格で、押しに弱い苦労性。
      なぜか知らないがトラブルの仲裁役に抜擢されることが多く、穏便にコトを済ませたい。
      基本的に殺陣アンサンブルが多いため、部屋には筋トレグッズと木刀や模造刀が置かれている。


もし公の場で上演していただける場合は、Twitterにてご連絡いただけますと幸いです。
蛇園かのん(@sngk_n)

また、クレジット表記は必須とさせていただきます。

作品名:シェアハウス茶番劇
作者名:蛇園かのん
URL:https://t.co/vVk1o9cwTS

******
 
暗転


ミナ:  「あーーーー!!!!」


明転


  シェアハウスの共同スペース、リビング。
  センターからミナが駆け込んでくる。手には白い箱


ミナ: 「ねえ誰ーーー?!?!ちょっと!!!!全員集合!!!!」


  ヒステリックに叫ぶミナの声に、上手からサキ、下手からユカが出てくる。


サキ: 「え、なになに?」
ユカ: 「どうしたんですか?」
ミナ: 「ねえ!!!!私のケーキ!!!!なくなってるんだけど!!!!」
サキ: 「ケーキ?」
ユカ: 「あぁ、冷蔵庫に入ってたやつ」
ミナ: 「そう!私名前書いてたよね?!」
サキ: 「書いてたっけ?」
ミナ: 「書いてた!」


  下手からナミが入ってくる

ナミ: 「なぁに?めっちゃうるさいじゃん。やかましいんだけど」
ミナ: 「ねぇナミじゃないの?!」
ナミ: 「なになに、なにがあったの」
ユカ: 「みいさん、冷蔵庫の中にあったケーキって知ってます?」
ナミ: 「ケーキ?」
ユカ: 「ケーキ」
ナミ: 「白い箱の?」
サキ: 「白い箱の」
ナミ: 「1ピースだけ入ってたやつ?」
ミナ: 「1ピースだけ入ってた!」
ナミ: 「食ったわ」
ミナ: 「だろうな!!!!!!!!もうその反応でわかるんだよ!!!!」
ナミ: 「いやだって名前書いてあったもん」
ミナ: 「はぁ?!」
ナミ: 「書いてたじゃん、『み』って」
ミナ: 「はぁ???」
ユカ: 「あー…」
サキ: 「え、どういうこと?」
ユカ: 「えっと、だから、みいさんは『みいさん』の『み』だと思って、ミナさんは『みな』の『み』のつもりで書いてた…っていう…」
ナミ、サキ: 「あ〜なるほど〜」
ミナ: 「納得!!!できるか!!!」
ユカ: 「まぁ、みいさん最近忙しくしてたし…」
サキ: 「うっかりさんだねぇ」
ナミ: 「へへ」
ミナ: 「許…せないっっっ!」
ナミ: 「あー…もうごめんって。じゃあミナちゃんには新しいの買ってあげるから…」
ミナ: 「そういう問題じゃなくない?!あれ仕事の差し入れで貰ったやつなんだけど!!」
ナミ: 「細かいなぁ…、だからごめんって。1ピースしか入ってなかったからてっきり私にだと思って」
ミナ: 「ちゃんと見てよ!そういうところがだらしないんだよ!」
ナミ: 「…」


  間
 
  2人険悪な空気

サキ: 「あー…えっと、ねえねえ!それよりさっ!せっかく皆集まったんだし、一緒にご飯とか食べない?」
ミナ: 「は?今そういうタイミングじゃなくない?」
ナミ: 「いや空気なんとかしてくれようとしてるんだからそういうこと言わなくてよくない?」
ミナ: 「そもそもそっちのせいなんだけど?」
ユカ: 「あー…みいさんもちゃんと謝って、お詫びした方がいいんじゃない?」
ナミ: 「いや詫びもなにも、まず受け取る気ないでしょ」
サキ: 「や、やめなよ…」
ミナ: 「だいたいさぁ、日常生活からいい加減なの前から気になってたんだけど」
ナミ: 「出た、そういうの。今その話って関係あんの?」
サキ: 「やめなってば…」
ユカ: 「ミナさんもみいさんも落ち着いて」
ナミ: 「私すこぶる冷静なんだけど?」
ミナ: 「私だって冷静なんだけど」
ユカ: 「今2人とも頭に血上ってるようにしか見えないよ?一回ちょっと離れよ?」
サキ: 「そうだよ…、もう、お互いにごめんなさいして終わろ…?」
ナミ: 「サキちゃんってほんといい子だよね」
ミナ: 「ちょっと。その言い方なに」
ナミ: 「は?普通に褒めたんだけど」
サキ: 「ちょ、ちょっと…、もう…もうやめてよ…」


  サキ、じわじわと泣き始める

ユカ: 「サキさん…」
サキ: 「こういう時冷静に話し合い…っ、しよって、一緒に住む時決めたじゃん…っ!なんで出来ないの…っ?!2人ともいい大人なんだよっ?!」


  ミナ、ナミ、居心地悪そうに

ナミ: 「……私は、…私も、話し合いして、解決できるならそれがいい」
ミナ: 「……私も」
サキ: 「じゃあなんではじめから出来ないのっ!」
ユカ: 「サキさん、落ち着いて」
サキ: 「2人ともいっつもそうだよ!人の話聞かないで、勝手に1人で突っ走って!!」
ユカ: 「サキさん???」
サキ: 「解決することも解決しないじゃん!2人がこの家で1番年上なんだよ?!そんなちっちゃなことで喧嘩する年上やだよ!」
ユカ: 「サキさん!?」
サキ: 「ケーキ食べた食べてないでこんなに喧嘩しなくてよくない?!こんなの幼稚園児の喧嘩じゃん!ちゃんと28歳やってよ!!!」
ミナ: 「も、元はと言えば…」
サキ: 「そういうところだよ!!!!そうやって人を許せないのが28歳なの?!」
ミナ: 「ヴッ」
ナミ: 「ほんとな」
サキ: 「自分は関係ないみたいな顔してるけど元々の原因わかってるの?!ミナちゃんがいるのわかってるんだから一回聞けばいいじゃん!なんでホウレンソウ出来ないの?!ナミちゃんも28歳なんだよね?!大人になってよ!!」
ナミ: 「ヴッ」
ユカ: 「サキさん!オーバーキル!オーバーキル!サキさん!」
サキ: 「ユカちゃんだって!!!我関せずみたいにしてるけど結局どっちの味方なの?!そういうふわふわした態度ほんと腹立つ!!」
ユカ: 「私、私は…っ」
ミナ: 「ユカちゃんはっ!私の味方だよね?!これに関しては、ナミが悪いよね!」
ナミ: 「は?だから私謝ってんじゃん!ユカちゃんだって聞いてたでしょ!?」
ユカ: 「……」


  ふらりとユカ、下手にハケる

ナミ: 「ちょ、ユカちゃん?!」
ミナ: 「ほらもう、ナミのせいで呆れられたじゃん!」
ナミ: 「は?私のせい?!」
サキ: 「だからそういうのやめてって言ってるじゃん!」


  口論を続ける3人
  ユカ、下手から日本刀を持って登場
  ミナが気付いて口論が止まる

ミナ: 「えっ」
ナミ: 「は?…えっ」
サキ: 「ユ、ユカちゃん…?」

SE:刀を構える音
 
  各々、一歩後退

ユカ: 「私は…皆で仲良くしたいだけで…」
ナミ: 「わ、わかった。わかったよ!ユカちゃん!」
ミナ: 「もう私たち仲直りした!仲直りしたから!」
サキ: 「ごめん!ごめんね!!」
ユカ: 「誰が悪いとか、なにが原因とか…どうでもよくて…」
ナミ: 「そうだよね!そうだよね!ごめんね!私のせいだよね!」
ミナ: 「私たちがっ、私が悪かったから!」
サキ: 「私もっ!ごめんね!」
ユカ: 「皆が…仲良く出来ないなら…、やっぱりこれしか解決策ないのかなって…っ!」

SE:刀で斬る音
  ユカ、1番近くにいたナミを斬り捨てる

ナミ: 「ユカ…ちゃ…」
ミナ: 「ナミ!!!」
ユキ: 「みいさん、どうしてもっと考えて行動が出来ないんですか!」

倒れたナミに怒鳴りつけ、次にミナに斬りかかるユカ
  SE:刀で斬る音

 
ミナ: 「ゔ…っ」
サキ: 「ミナちゃん!!!」
ユキ: 「ミナさんは小さいことでグチグチ言わないでください!」

倒れるミナを怒鳴りつけ、次にサキへ狙いを定めるユカ

サキ: 「ユ、ユカちゃん…っ」
ユカ: 「サキさん…どうして自分まで言い争いに参加するんですか!26歳!!!」

SE:刀で斬る音

サキ: 「ヴッッッッ!!!!」

ユカだけがセンターに立っている

ユカ: 「……争いは…なにも生まないのに。どうして他人を思い合って、認めて、理解しようとできないの?」

  間


ユカ: 「お腹、空いた。サイゼ行きたい。………今から3つ数えるので、仲直りしてサイゼ行きたい人は起きてください」

  ひとつ、ふたつ、みっつ、とゆっくり数えていく中で、斬られた3人がのそのそとお互いを伺うように起き上がる。
  全員が立ち上がると間。

ミナ: 「大騒ぎして、ごめん」
ナミ: 「私も…確認、しなくてごめん」
サキ: 「…酷いこと言ってごめんなさい」
ユカ: 「………はーーーーー…!起きなかったらどうしようかと思ったーーー!」


  へたり込むユカ

ナミ: 「いや本当にごめん!申し訳ない!いろんな意味で多方面に!」
ミナ: 「というか斬られると条件反射で死んじゃうのなんなんだろうね!」
サキ: 「なんかもう迫真すぎて模造刀が真剣に見えたもん!」
ユカ: 「私人を殺すか殺されるかしかしてないから…」
ナミ: 「そこだけ聞くと物騒オブ物騒なんだよな!」
ミナ: 「てかほんとにお腹空いたね」
ナミ: 「マジでサイゼ行く?」
サキ: 「サイゼー!」
ユカ: 「サイゼほんとコスパよくていいスよね」
ミナ: 「よーっし!ティラミスめっちゃ食お。ナミの金で」
ナミ: 「私の金で」
ミナ: 「詫びティラミス詫びティラミス」
ナミ: 「しかたないなあ」
サキ: 「ごちになりまーす!」
ナミ: 「お?便乗か?」
ユカ: 「私普通に払うよ?」
ナミ: 「あー、いい、いい。もうなんか、元凶だし、今回は払うよ。さすがに手加減はして欲しいけど」
ミナ: 「よーし、着替えてこよー」
ナチ: 「おっ?話聞かねえつもりだな?」
サキ: 「私も準備してくるー」
ユカ: 「じゃあとりあえず、私も剣片付けてくるね」
ナミ: 「はーい、じゃあ準備終わったらここ集合ねー」


  それぞれセンターにミナ、下手にユカ、ナミ、上手にサキがハケていく

  暗転

  舞台上真ん中に、ゆっくりとサスが入る。
  そこには、ぽつんと白いケーキの箱だけが残っている

  サイゼっぽい曲、4人の楽しそうな声

  溶暗

******

友人たちと遊ぶために書いたなんちゃって戯曲です。
友人たちのキャラクターに合わせて当て書きしてみましたが、元々どこに出すものでもなかったので、全員に許可を得て、ところどころ改変、推敲をし直して投稿しました。

全員が叫ぶシーンがあるので、なんとなく発声練習と掛け合い練習代わりにでもどうぞ。


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