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ほぼ宅飲みだけで日本酒通になる方法 ~その④~ とにかく飲む。ときには真面目に、ときにはテキトーに


飲んだ日本酒はデータに

 近所の地酒専門店Xで自ら日本酒を選ぶ楽しさを知ったわたしは、それから足繁くここに通うようになった。

 ちなみに当時はまだ前の職場に通っていたため、恒例の日本酒研究会や同僚との飲み会など、外で飲むことが多かった。それでも少なくとも2週に1回は、Xで購入した日本酒をパートナーと一緒に楽しんでいた。

 このときのわたしはとにかく新しい日本酒と出会うことが楽しくてしかたなかったようだ。また、どんどん新しい日本酒を飲んでみたい、新しい味を楽しんでみたいという欲求に駆られていた。その証拠に、飲んだ日本酒に関する情報や感想をエクセルに打ち込みデータ化していた。自分で見返すだけのものだから、枠をつけるなど見やすくするための工夫は皆無。しかしいま見返してみると、これがなかなかに面白い。


単に打ち込むだけだけのデータ


 銘柄に酒蔵、特定名称、酒米の品種、そして酵母など、ラベルに書かれてある情報は全て打ち込んである。また味わいに関する感想も、素人の割には的外れではなかったようだ。それに当時から生酛系や精米歩合の高い日本酒も美味しく飲んでいたことがわかる。知識が増えるにつれてからは「生酛はやっぱり重いや」と感じるようになったが、それは生半可な知識と先入観がそうさせていたのかもしれない。むしろなんの先入観もない素人の方が、日本酒の味を素直に感じることができる、とうことなのだろう。

 ちなみにいまは日本酒をデータ化する作業をサボっています。インスタを始めたことでこれまで飲んだ日本酒を記録できるようになったからだけど、本当はエクセルにまとめるのが理想的。ちなみに「タモリ倶楽部」を見てからGoogleマップに飲んだ日本酒の酒蔵を打ち込むこともやっていたけど、これも今現在は停止中。これも蓄積すると面白いんだけどね。

素人ならではの選び方?


 日本酒を選ぶ際は、味の好みをXの店長に伝えてアドバイスをもらうこともあったし、自分の独断と偏見で選ぶこともあった。

 意外とハマったのは、パートナーに選んでもらった日本酒だった。宅飲みする日本酒は大体パートナーと一緒に飲む。4号瓶だって一晩で飲み切るには1人では持て余す量だ。2人で飲むのがちょうどいい。ただパートナーはそれほど日本酒が好きというわけではなかった。好みの味と苦手な味がはっきり分かれていて、彼女は色んな日本酒を飲んでみよういう好奇心を持っているわけではなかった。

 そんなパートナーをあえてXにつれていき、日本酒を選んでもらう。知識ゼロの彼女は、ラベルに書かれた酒米や酵母なんかの情報を見ても、なにがなんだかわからない。だからラベルデザインを見てなんとなく選ぶ。一方、中途半端な知識のあるわたしは、かえってそれがバイアスになってタイプの似た日本酒ばかり買うようになる。だからなんの先入観もなしにパートナーが選んだ酒が、時に新鮮で強烈な印象を与えてくれたりするのだった。

 

大治郎 生酛純米生


 なかでも衝撃的だったのは、滋賀は畑酒造の「大治郎 生酛純米」だった。飲んだのは蒸し暑い夏だったので冷やして飲んだが、それでも米の旨みがそのまま胃袋にまで届くようなインパクトがあった。フルーツのような香りやスッキリした後味だけが、日本酒の魅力ではないということがよくわかる酒だった。

 他にも、パートナーが居酒屋で飲んだ酒を、あらためて2人で飲むこともあった。連れ合いは私に付き合っているうちに、徐々に日本酒を自ら好んで飲むようになった。あるとき、韓国出身の彼女は通訳のアルバイトで長野に出かけた。日韓のスポーツ交流事業ということで、長野に両国の青少年が約100名ずつ集まり、数日間ウィンタースポーツを通じて交流するというイベントだった。当然大人たちがスタッフとして参加し、夜は宿泊施設近くの居酒屋に繰り出すことになる。アルバイトを終えて帰宅したらパートナーは、「この時飲んだ日本酒が超美味かった!でも銘柄を忘れてしまった…」と悔しがっていた。わたしは「長野の酒かぁ、なんだろ?」と考えながら、「それって明鏡止水じゃない?」と知ってる銘柄を適当に言ってみたが、これがまさかのドンピシャだった。

サムギョプサルと明鏡止水

 大治郎とは真逆ともいえる、軽やかでスッキリした後味。これもパートナーと一緒に宅飲みしていたからこそ出会えた日本酒なのかもしれないな。

 日本酒専門の飲食店に行くこともなく、宅飲み中心で日本酒を飲みまくっていたこの頃。パートナーと一緒に楽しく飲めていたからこそ、日本酒の知識も徐々に、それでも確実に蓄積できたのかもしれない。

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