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Blue Jasmine


真冬の豊洲にひとりぼっち

パーカーでは心許ない寒さに震えて

終わりが始まる寂しさを感じながら

私はその時を待っていた


ライブ参戦にハマってる時期があった


それもアングラすぎずメジャーすぎず

売れるか売れないかギリギリのミュージシャンに限る

我ながら特殊な癖だと自覚はしていた


何が良いって、ヒリヒリ感が良いのだ

メジャーデビューするかしないか

バズるか消えるかの瀬戸際


当時サブスク時代の幕開けとフェスブームに乗って

サウンドは踊れる縦ノリの四つ打ちがはびこり

ビジュアルはキノコ頭のボーカルだらけ


その中のどこにも属さず彼はいた

20代で都内に住んでいる特権を行使しまくる私は

pv撮影の抽選に当選しては無料Live三昧の日々

そんな時TSUTAYAでアルバムdioramaに出会い思った


これは売れるだろうなぁ

ちょうど初ワンマンがあるというので飛びついたあと

ツアー
"花ゆり落ちる"も当選し

初の全国ワンマン"音楽隊"では

東京ファイナルの追加公演を
2枚ゲットするも

知らないからと友人に断られた


どいつもこいつもわかってないなぁ…


悔しくもなんともなかったのは

いつかみんな知る日が来ると知っていたから


寒い寒い
2月の豊洲に1

ホッカイロを相棒に入場まで時間を潰す

最後の曲で感極まる彼をみんなが見守る中

自然と涙が出た瞬間思った


ああ。この人はもう、遠くに行ってしまう。

ここには長くいられないんだ。

そしてきっと、帰ってこない。


これは長い長い暗闇を抜けて

大切な何かを見つけた歌


ここではないもっと大きな舞台に立つための

振り返らないための旅立ちの歌


ラブソングかと思っていたけどそうか

これはお別れの歌だったんだ


次のアルバム
bootlegでチケットが初めて外れた

場所は日本武道館だった

翌年lemonが発売された

あとはみんなの知る通り

彼は無事成層圏へ到達した


いま評論家は彼を「J-POP界の救世主」

「ネット時代が生んだ天才」と呼ぶ。


台風のように世の中を飲み込み、光速で宇宙へ舞い上がる。

そんなムーブメントを特等席で観れたのは、今まで見たどんなライブよりもエキサイティングだった。


それ以来CDも買わずライブにも行かなくなったのだけど

最近たまたま友達と当時の話をした


「あの時、ライブ行っとけばよかったわ。」


この瞬間、私はとてつもなく悪い顔をしてたと思う


これだからやめられないのだ

次の米津玄師を見つけることを


そしてまた愚かな夢を見るのだ

ずっとそばにいてくれると




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