
スクラムマスター研修レポート
7月30日(火)31日(水)の2日間お休みを頂いて `Scrum Inc.認定資格スクラムマスター研修` に参加してきました。
なぜスクラムマスター
現在は一介のiOSエンジニアをやっています。(が、以前はウォータフォールのPM、PLもやっていました)社内でスクラムをやろうと気運も高まっており、実際に複数のチームがスクラムを取り入れています。今後、スクラムをやろうとなった場合に、ある程度理解したおいた方が良いだろうと思ったのが発端です。
その後、スクラムの本は何冊か読んで内容はだいぶん理解したつもりだったのですが、ちゃんとした研修を受けて正しい理解をしたかったのがこの研修を受けた理由です。
また、資格があるに越したことはないですね。弊社では資格取得で報奨金が出るので、それもまた魅力でした。
研修の様子
総勢70名ちかい参加者でした。11チームを作って研修するかたちで、基本的に見ず知らずの(失礼!!)方々とチームを組むことになります。
自分はチームのスクラムマスターの役割を買って出たので、チームに貢献することに気を配りました。
スクラムマスター役は課題の結果発表をすることが多く、ちょっと思っていたのとはとは違いましたが、その分真剣にチームディスカッションの内容などを記録しなければならず、少しは勉強の足しになったと思います。
一番印象的だったのは、あるももの製造を11のそれぞれのスクラムチームで行うという課題(スプリント)でした。
製造自体をどうするのか、
テストはどうするのか、
改善はどうするのか、
のような課題だったと理解したのですが、
我々のチームは2度繰り返して改善はしたものの、あまりうまく製造できていたとは言えない状況でした。
このような状況でスクラムマスターはどうすれば良いのか。
いろいろを学ぶことが多かったのですが、ここでは敢えて内容は書きません。
ただ、理論的に分かっていることも、日頃気をつけていたことも、開発期間が非常に短くなってくると、うまく働かないことがあるんだな、と再確認することができました。俯瞰することを忘れてしまう、とも言って良いでしょう。
また以下のような気づきもありました。
ネタバレになってしまうので、これから研修を受けようと思う方は下記はスキップした方が良いです。
チーム中でやれることはたくさんあったのですが、それ以上に大事だったのは、自分のチーム以外の他のチームの知見を導入すべきだったということです。このことを全く考えていなかったので、まさに目から鱗でした。
3回目の製造スプリントが始まる前に、スクラムマスターは前に集められ、どのように製造すべきかを他のチームと共有しました。
どのような設計が良いのか
製造方法は何がよいのか
製造、検査の分担はどうするべきか
自分たちのチームだけに集中してしまうと、やはり外界が見えなくなる。そして自分たちだけで煮詰まってしまう恐ろしさも感じました。
研修で得たこと
先にも書きましたが、事前に何冊か本を読んでいたので表面的なことは理解していました。なので、この研修を通してより本質的な部分を理解したいと思っていました。
1)気づき
自分の持論でもあったのだけど、チームはその目標を達成することならば、何でもやっていくモチベーションが必要です。
スクラムマスターはそのモチベーションを保つことが、大きな役割の一つなのだと思います。
そしてベロシティは見積もりとスプリントバックログの作成のためにあるだけではなく、チームのモチベーションや健全な状態を保つための指針になると気づきました。
2)知らなかったこと
バックログリファインメントという言葉は知りませんでした。しかし、これはスプリントの中でも重要な概念だと思います。
未来が予測できない、ということをスプリントに組み込んで機能させるのがバックログリファインメントだからです。
これは
1)最初からプロダクトバックログを詳細化することはしないし、できない。
2)重要なものを選んで詳細化し、スプリントバックログに移行し、インクリメントする
このサイクルを回す時に2)の詳細化のプロセスがバックログリファインメントです。これをスプリントプロセスに組み込むことが必要です。
3)知っていたけど知らなかったこと
組織や開発の改良、改善は一度に多くをやろうとすると失敗します。
自分がウォーターフォールのPM、PLをやっていた当時も開発プロセス、ツールなどの改善は全体の10%程度に抑えるようにしていました。
スクラムでは、スプリントの終わりに開催するスプリントレトロスペクティブで出た改善点の中からもっとも重要なものを1点だけ、次のスプリントの最初にやることに、つまり最重要なバックログに指定します。
また、この改善アイデアはまた次回以降のスプリントレトロスペクティブでメンバーに示唆するために(指示ではない)スクラムマスターが保管しておきます。
素晴らしい。
4)良いことば
スクラムマスターが提供するものは、チームの幸せ
これはいい言葉ですね。
他にもたくさんありますが、書ききれないので、このへんで・・・
研修の感想
研修を受けて改めて感じたのは、スクラムは、アジャイルソフトウェア開発宣言をいかにして実現しようかと考えたフレームワークであるということ。
つまり「アジャイルソフトウェア開発宣言」を良しとして、これに賛同し、これを実現したいと思わなければ、そのスクラムは形式的なものにしかならないと言うことです。スクラムマスターはこの原則を守るために様々な行動をする人のことだと理解しました。
アジャイルソフトウェア開発宣言
https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html
プロセスやツールよりも`個人と対話`を、
包括的なドキュメントよりも`動くソフトウェア`を、
契約交渉よりも`顧客との協調`を、
計画に従うことよりも`変化への対応`を、
価値とする
自分の言葉に置き換えると、これらは、
コミュニケーションによってチームは最大に機能する。
世界は常に変化する。これをウォッチし、すぐに適応することが大事。
だからこそ、その時々で動くものを確保することが、目標をキープする最良の方法である。
といった感じでしょうか。
そしてスクラムフレームワークとしての重要な原理原則が
・透明性
・検査
・適応
です。おそらくスクラムの真髄を表している言葉でとても重要です。肝に銘じましょう。しかしながら、これらはあくまでもスクラムというフレームワークの仕組みについての要素であることは意識した方が良いと思いました。つまり、さらに上位の概念としての「アジャイルソフトウェア開発宣言」を守ろうと思わなければ仕組みは形骸化するということです。
※面白いことに、発表年度は、スクラムガイドが1990年代、アジャイルソフトウェア開発宣言が2001年と逆転しています。
最後に
その後無事試験に合格して、晴れてスクラムマスターになりました。チームの一員として勉強を始めたつもりでしたが、こうしてスクラムマスターの資格まで取ってみると、やはりスクラムマスターとして仕事をしてみたいと考えるようになりました。(なんか仕事あったらお声がけください〜)
そして、講師の方々も、チームになって頂いたメンバーの方々も大変良い人ばかりで、最初は緊張したものの大変楽しい研修となりました。
ありがとうございました。