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受け取りやすいパスを出すこと

学生の頃、ある雑誌社でアルバイトをしていました。
その頃に社員の先輩から「相手が受け取りやすいパスを出すこと」ということを教わりました。これは今でも自分の仕事の仕方の基本として抑えています。

これはどういう意味だったか。
要するに、「自分が何か仕事をこなすにおいて、一人で完結する仕事はない、自分のアウトプットの次の工程には必ず次の人がいる」という前提があるとして、「チームがパフォーマンスを出すには、そのパス回しがいかにスムーズかが大事」であり、だから「次の人が受け取りやすいパスを出す」という意味です。

受け取りやすいパスとは

もう少し具体的な話をします。
当時のアルバイトの業務は、雑誌社の記者さんが記事を書くために、記事内で根拠となるデータを集めるというものでした。記者さんは日中は取材などでお忙しく、なかなか直接お会いできなかったので、私が集めたデータはオフィスに書き置きしておいて記者さんの都合の良いタイミングで確認してもらうようなやり方でした。
この時、「どういう出典で、どういう前提のデータを拾ったのか」や「他にどんな情報を調べたのか」などが記者さんとしては気になります。記事にするわけなので、信頼性の高い情報が必要です。
つまり、ただデータを集めて書き残しておくだけだと、記者さんはそのまま記事を書くことはできず、上記のような点を再確認する必要があります。
これが「悪いパス」です。逆に、記者さんがすぐに記事作成に取り掛かれるデータ提供、これが「良いパス」です。

他にも、例えば私がある製品の営業担当者で、それをお客様に紹介するというシーンを思い浮かべましょう。紹介するためには資料を用意する必要があります。サンプルを見せる必要があるかもしれません。資料の準備や、サンプルの準備は誰かにお願いをするとした時に、「どういった背景で、なぜそれが必要で、それがいつまでに欲しいのか」が明確でないと、相手も何をアウトプットしていいかわかりません。出てくるものが的を射ていないかもしれません。
この申し送り、つまり自分の最初のアウトプットが悪いと、自分に跳ね返ってきてしまいます。これが悪いパスの循環です。
「一人で完結する仕事はない、自分のアウトプットの次の工程には必ず次の人がいる」というのはこういう意味です。

当たり前のようでキャリアを重ねるほどおろそかにしがち

社会人経験を積んでいるほど「当たり前のこと」ですよね。それはそうです。私が学生でアルバイトをしていた頃に指摘されたような話ですから、社会人の1年目ですら気を遣うべきようなことです。

しかし、個人的にはこういった気配りができない大人が多いように感じます。特に歳を重ねれば重ねるほど。
部下に対しての仕事の指示、プロジェクトメンバー間の仕事の依頼、「これでわかるだろ」と言わんばかり、相手に対する思いやりのない仕事の投げ方というものが散見されます。

次の工程の人が受け取りやすい仕事を皆が意識すればするほど、チーム全体のパフォーマンスにも影響するはずです。なぜなら余計なコミュニケーションや手戻りが減るから、効率がよくなります。

立場が変わっても、忙しくても、意識したい基本スキルかなと私は思って、日々心がけています。


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