【林業の話をしよう】私の仕事は
林業の現場作業員をしている。
この仕事を選んだ理由はいくつかある。
スーツを着て就活するのが嫌だとか、自然や木が好きだとか、田舎暮らししたいとか、それがこの仕事を見つけるきっかけになった。
けれど今現在まで仕事を続けているのは、この仕事が好きだからだ。
好きなのだ。
私の植えた木が使い物になるくらい大きくなるのは50〜60年先だ。
私、わんちゃん死んでる。
農業とはまた違う、かなり長期スパンでものを考える気長な職種である。
職業柄、「サステナブルだね!」と言っていただくことがあるが、数年後の山や未来の自分ですら、なんか、あんまり興味が湧かない。
将来を想像するのは楽しいし、それがモチベーションになる時もあれば、現実逃避として救われることがあるのも事実だが、
それでも今、自分が四肢を動かす理由は、楽しいからだ。
初めは、職場の人間関係が好きだった。
どんなに日差しが暑くても、汗で全身びしょ濡れでも、地面が凍りつく寒さでも、毎日身体がしんどくても、
会社の人に会って話せただけで、それで一日満足だった。
2年目になって、変わったなと思う。
もう人間関係では働かなくなった。
「一緒にいる人がどのくらい好きなのか」と、「うまく付き合う」のは別問題だということを私は学んだ。
泣いたり悩んだりする日がでてきて、
でも朝が来たら迷いもなく現場に向かったのは、この1年間ですっかり仕事が好きになっていたからだ。
外に出てお天道様の下で働いていると大抵のことはどうでも良くなった。
植えてるのが木の苗だろうが、野菜だろうが、ごめんなさい、たぶんなんでもいいのだと思う。
若い頃に「あーもう死んでもいい」と何回か思ったが、今生きてて、自分はここに存在していて、手を動かして集中できて、一緒に働いてる人たちのことが好きで、私はなんてしあわせものだろうと気が付いたら何回も、思っている。
未来の何かのために動くことではなく、
ひたすら手元を見つめて汗水垂らして働くことが自分の仕事だと思っている。
今の一瞬一瞬をちまちまと積み重ねることが、おんなじような毎日を大切に繰り返すことが、この日々が、私の誇りだ。
SDGsなんて大義名分はジャマだ。
そんなもののために私は一歩も動かない。大きいものも評価も富も、必要ない。
私は今目に見えているものだけを思い、考え、自分の命のかけらを注いで、生きていきたい。
そうするうちに、進んだ道を振り返ったらきっとどこかに繋がっているのだと思う。
その毎日の繋がりの先こそが、サステナブルなのではないだろうか。
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