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現場2年めがおわる

飯の食える大人になった。

奨学金の返済に月3万充てたとしても、慎ましい生活の範囲なら何不自由なく過ごせる。


お酒も飲める



この前、「現場で働いている人の意見を聞きたい」という方とお話しする機会をいただいて、

「現場仕事で、女性ならではの強みを教えてください」と言われた。

私は、腹を立てた。

腹を立てたので
「男性だから女性だからではなく、自分のできる範囲のことを精一杯やるだけです。
男女関係なく、自分のできる範囲の最大値を大きくすることが大切だと思います」
と口にし質問はスルーした。

もちろん腹が立ったのは、こちらの感受性の問題で相手に非があるとはいわない。
素朴で純粋な質問であったんだろう、知らんけど。
だがしかし、100%相手に悪気がなかったとしても、それだけで無礼を許す気には到底ならないし傷付くのだってこちらの自由だと思う。
そしてこの質問はすでに何度か、決まって男性から、聞かれたことがあり、それも相まって余計にイラついた。

女性の強みを聞きたいなら、私の同僚たちに聞けばいいではないか。
「ない」とは各方面に向かっていいづらいので、頭を捻ってくれるだろうと思うし、
実際に上司から、今まで指導した子たちを見ていて、こういうところは女性のほうが向いている傾向にあるんじゃないか、という話を何度かされたことがある。
この自分が聞いたエピソードをしてやるべきかで一瞬迷ったが、私はすこぶる性格が悪いので失礼な質問をした人にそこまで教える必要はないと判断した。

私は女性としての強みを発揮できると考えたから仕事をしているわけじゃない。
自分に飯を食わせるために、したい仕事をしている。

そもそもvs男性と思っていないので、私は女性だからこれが得意だ! と認識していることはひとつもない。
もし私に得意なことがあったとすれば、それは「私」だからで、「女」だからとは思わない。

班長、先ぱい、みな男性だが、周りの人たちが自分より仕事ができるのは、
自分より経験値やキャリアを積んでいるからで性別によるものだと思ったことがなかった。


それに、班長からは仕事は「チームで進めるもの」だとよく教えられてきた。
個人で進めるよりも、全体でどれだけ進めれたのかを見ておくように言われてきた。
切磋琢磨や、他人をモチベーションに頑張るのは刺激がありいいことだが、仕事の出来や進められる量を個人で比べ競い合うのは意味があることだと思えない。

てか、女性ならではの強みってなんだよ。考えたこともねぇよ。
女性ならではの強み、ないと現場にいちゃだめなのかよ。

じゃあ男性ならではの強み、言ってみろよ。
女性に比べて筋力や体力、持久力がある? 
先天的に備わっているものを誇るなんて傲慢だ。
性別による特性ではなく、個人の特徴を尊ぶべきだ。

「現場仕事で、高山さんが得意だなぁ、と思っていることはなんですか?」
だったらよかったのに、きっと汎用性皆無なこの質問は一生投げかけられることはないだろう。




私が女性扱いしないでとむくれるのは、つまるところナメんなという意味だ。
女で現場をやろうと思う人は少ないかもしれないが、別に意外とやっていける。
たしかにしんどいが、しんどいのは女だからじゃない、肉体労働だからだ。

私は自分のことを仕事ができるとは思わないが、機嫌良くやっているとはすごく思う。

私は仕事ができる人より、やさしい人やおもしろい人が好きだ。一人の人間がどれくらい仕事が進められるかで人は人を好きにはならないと思う。
一緒に働くなら仕事の出来る人より雰囲気のいい人がいいし、自分の友だちたちがどれほど仕事ができるかなんてまるで興味が湧かない。

現場のチームのための、つまり連帯感による、「もっと作業が進められるようになりたい」というプロフェッショナリズムはもちろん感じるが、
自分で考えたり、感じたことを大切にできる人でありたいと私は思う。

だから、
女性ならではの強みなど仕事に必要ありません、が質問の答えだ。
そんなものなくてよろしい。困らない。
強みがある人が、仕事できるんじゃない。
強みがある人が、向いてる人じゃない。
地道に続けることができる、やる気のある人たちが、最終「できる」とか「能力がある」だとかいう言葉で表現されている、気がする。
継続だけが力になるとは思わないが、継続したことは確実に身には積もる。

私は自分で自分の生活する分稼げていることに、とても誇りがある。
大した額ではないので、稼得力があるとは言い難いが、それでも一人分の生活代には申し分ない金額をやりがいを感じながら2年間続けてこれたのは、我ながら本当に立派なことだ。

自分を食わせてくれるこの仕事が好きだ。常にそう思わせてくれる周りの人間も環境も好きだ。

まだまだ半人前だが、いろんなことが出来ないのも含めて、仕事は楽しいものだと思う。


田辺に来てから三度めの春を迎えることができた。
能天気な一年め、人間関係でまぁまぁ泣いた二年め、三年めはどんな年になるだろうか。

焦らず、おいしいもの食べて、たまに頑張ろうかな。

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