ベトナムの多様性と統一性について-74-北西部ハジァン省とイェンバイ省ムカンチャイ県モン族の結婚式
はじめに
2019年の人口及び世帯調査によると、ベトナムの少数民族モン族の人口は、1,393,547人で、ベトナムの民族グループのリストで、人口数順で、6位にランクされています。
ベトナム首都ハノイから、北西へ車で7時間30分くらいの場所にハジャン省、また、西北西へ車で6時間30分ぐらいの場所に、イェンバイ省ムーカンチャイ県があります。
ハジャン省には、292,677人、イェンバイ省ムーカンチャイ県では、57,179人のモン族が住んでいるといいます。
ベトナムのモン族の住民は、他の国の仲間の住民、特に、ベトナムの中国やラオスとの国境に近い住民とまだ関係を持っています。
山岳地帯に暮らすモン族のかなりの部分は、ベトナム北西部の伝統的なライフスタイルを、今でも保っています。
1990年代に、これらの地域への観光客の増加に伴い、各地の街に住む多くのモン族が、西洋の生活様式を導入して、モン族の伝統的な服装は、徐々に消えつつあるといいます。
モン族の結婚式は、ベトナムの北西部、ハジァン省と、特に、イェンバイ省ムーカンチャイ県で、行われるものは、とても伝統的です。
ベトナム国内でも、多様性を尊重して、注目に値すると評価されるものだと、私の職場の仲間たちから聴き取り、今日は、その内容を書いていきたいと思います。
1.婚約の儀式
若い男性が、特定の女性に興味を持った場合、その男性は、両親に相談しに帰ります。花婿側は、通常、一族内で信頼のおける人々である縁結び担当者「Ông mốiオゥンモイ」を探し、花嫁の家に、婚約の儀式を行いに行きます。
婚約の儀式には、しばしば酒、鶏肉、たばこなどが含まれます。婚約の儀式に出席する際、Ông mốiオゥンモイは、傘も持参することが必要だそうです。
花嫁の家の前に到着すると、Ông mốiオゥンモイは、歌を歌い。。。
それは「花婿側は、私に、家族の一員として娘を求めに来ました。家を開いてくれるようお願いします」という意味だそうです。
Ông mốiオゥンモイが、花嫁側の家族と話し合った後、同意を得た場合でも、得なかった場合でも、通常、花嫁側は2〜3日間、花婿側を、家に泊めてから帰らせます。
2.花嫁を迎える儀式
結婚式の日、新婦と新郎は、最も美しく最新の衣装を着ます。
新郎の家族は、Ông mốiオゥンモイと呼ばれる代表者を選んでいます。
新婦を迎える隊(通常は6〜9人で、新郎の両親は、新婦を迎えに行くことはできないそうです)を組織します。
新婦を迎える日に、新郎の家族は、新婦の家族が提示した”結婚の願い”に相応の贈り物を持参しなければなりません。
新婦の家族は、贈り物を受け取り、結婚の願いに、必要な物品がすべてそろっているかどうかを確認します。
贈り物を受け取った後、新婦の家族は、祖先に供物を捧げ、新郎の家族に贈り物を渡して、新婦を迎える許可を得ます。各儀式には、対応する歌と、3つの杯のお酒を振る舞う儀式があります。
モン族の慣習によれば、新婦を、新郎の家に連れて行く際、新郎の一行は、通りに食事を用意します。
この食事、道路沿いで食事をとる習慣は、家族が、新婦を迎え入れたことを神々や霊魂に知らせ、新郎の家族が、幸福で成功し、幸運な生活を成し遂げるように祈るものです。
新婦を新郎の家に迎え入れる際、新郎の家族も通常、祖先に報告する儀式を行います。これは新しい家族の一員が加わったことを祖先に伝える重要な瞬間です。新郎の家族、新婦、そして、村の人々は、皆、新郎と新婦の幸福を祝うために集まります。
3.結婚式
花婿の家での結婚式は、一日中、そして一夜を通して行われ、若い夫婦に向けられる美しい祝福の言葉があります。
しかし、伝統に従い、新婦は、家族と一緒に食事をしないで、部屋に座ります。招待客を出迎えるのは新郎のみです。
新しい妻には、母親、または義理の兄弟が、食事を部屋に運びます。
最初の3日間、新妻は農作業をし、薪も集めることができますが、他の家に、出かけることは、禁止されており、親の家に戻ることも禁止されています。
お読みいただいて、本当にありがとうございます。
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