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[2022年度新卒SWE] Google選考体験記

 2021年の上旬にGoogle Japanのソフトウェアエンジニア職(新卒枠)に応募し、色々ありましてGoogle Taiwanの同じポジションで採用されました。(記事のトップ画像は大好きな社食のご飯です。)
 インターネット上ではGoogleの選考過程(とくにエンジニア職)について誤解や、間違った情報が多いので体験記を書くことにしました。2019年にも、(おそらく)同じように感じたGooglerがたくさん記事や体験記を書いているので、興味があればそちらもご覧ください。

※この体験記は応募者としての個人的な体験や感想のみで構成されており、企業を代表するような意見や内部情報は含まれていません。また選考中に出題された問題やきかれた質問についても、NDAを結んでいるため書いていません。
※先人の知恵に従い、給料が書かれたセクションは有料にしました。(2022年7月25日追記:この記事の売上+αの171 USDを日本ユニセフ協会に寄付いたしました。
会社の福利厚生で同額が上乗せされ合計342 USDが寄付されます。)

 所々現在形で書かれていたり過去形で書かれていたりしますが、全て自分の体験であり過去・現在の選考形式とは異なる可能性があります。また、自分は修士課程修了見込みで応募したためL3という階級の選考を受けました。(一定以上経験のある方々や博士卒の方々はL4というレベルでの選考になるため選考内容が異なる場合があります。)

選考過程

 全ての面接、面談はオンラインで1対1で行われました(1対多、多対1、多対多となるシチュエーションはありませんでした)。見出しにある日付は全て2021年のものです。

3/13: オンラインコーディング面接

 正確な時間は忘れましたが30分とか1時間の間に、出された問題を解くようなプログラムを書きます。試験官と話す形式ではなく、オンラインシステムで問題の閲覧、プログラムの提出を行います。
 問題文は日本語だったと思います。

4/9: 電話コーディング面接

 今度は試験官と話しながら問題を解きます。音声通話(映像なし)で試験官が問題を出してくるので、共有しているオンラインエディタにプログラムを打ち込んで問題を解きます。
 この試験は日本語で行われました。

5/14: テレビ電話コーディング面接

 45分間試験官が出す問題について議論をし、実際にプログラムも書きます。この形式の面接を別々の試験官と1日で4回行います。かなりタフでした。
 1回は日本語、3回は英語でした。

誤解1

 このような形式の試験では、「競技プログラミングが強ければ通る(逆にいうと強くなければ落ちる)」という誤解があると思います。実際、解く問題の性質が競技プログラミングで解くものと近いのである程度競技プログラミングができる必要はあります。しかしそれよりも「曖昧に出題された問題について、適切な質問や議論をすることで解く問題を明確にできるか」、「想定できる複数の解法をわかりやすく説明し、利点や欠点を示して試験官とどの方針で進めるか効果的に議論できるか」のような部分を見られていると思います。

※重ねて断っておきますが、これは僕の主観的意見です。この意見の根拠は以下です。
  「競プロが強い」の基準は人それぞれだと思いますが、面接通過時の僕のAtCoderのレートは1100ほどしかありませんでした。(いわゆる緑コーダーです。)ちなみに、AtCoder社の社長であるちょくだいさんの緑コーダーに対する評価は「(学生を引き合いに出した上で)エンジニアとしてもある程度の安心感がある。」といったくらいで、やはり競技プログラミングが強いと言えるレベルではなさそうです。
(引用元:https://chokudai.hatenablog.com/entry/2019/02/11/155904 )
 こんな僕でも面接を通過できたので競プロが強い必要は必ずしもないと思います。
 そもそも競技プログラミングの得意さを測りたいなら他の形式のテストでよく、わざわざGoogleのエンジニアを4人も投入した面接をする必要はなさそうです。

5/27: カルチャーフィット面接

 1対1で試験官とテレビ通話で面接をします。「今まで学校やアルバイト先でどのような困難に遭遇し、どのように対処しましたか?」のような、就職活動の定番っぽい質問をされる面接でした。
(実際に訊かれた質問はここには書けないので、上記は架空の質問です。)
 面接は日本語で行われました。

誤解2

 いくつかの選考体験記やインターネット上の記事などで、「コーディング試験やカルチャーフィット面接が最終面接(もしくは最終関門)になる」という言説を見聞きしましたが、これは間違いです。ここまで通過しても採用は決定していません。
 難関という意味であれば、次の採用委員会(Hiring Committee)がかなり厳しいと思います。詳しくはこれ以降で説明します。

6/11: 採用委員会の審査

 カルチャーフィット面接が終わった後、採用委員会(Hiring Committee)という会の承認を得ます。(採用委員会は全世界のGoogleから集められたシニアエンジニアで構成されている委員会で、「公平な判断」や「高い採用基準」を維持するために設置されています。)
 採用委員会は履歴書やこれまでの面接スコアや各質問に関する面接官のフィードバックなどをもとに、採用に基づく決定を行います。なのでこちらからすることは特にないのですが、履歴書で不明瞭だった部分についてリクルーターさんから質問があったりしました。
(採用委員会についての情報は一部以下の本から引用しています。)

 このあたりの選考過程から、日本語で検索しても一切と言っていいほど情報がありません。一方英語で「Google Hiring Committee」などと検索するとかなり情報が転がっています。

誤解2の補足

 これまでの面接では応募した支社で閉じた選考になっていましたが、採用委員会(とその後の幹部審査)では、Google全社的にこの人を採用してもいいか?という判断が下されます。
 以下の質問に対して、選考の各段階で通過する候補者の割合が書かれています。

日本語訳

  • 書類選考通過(0.03% ~ 0.1%)

  • 電話コーディング面接通過(20% ~ 40%)

  • オンサイト面接通過(20% ~ 40%)
    *この体験記ではテレビ電話コーディング面接とカルチャーフィット面接に分かれています

  • 採用委員会や幹部審査を経て内定(5% ~ 30%)

 この質問には「アメリカでは」という枕がついていますが、アメリカ以外の国でも「オンサイト面接通過後でも採用見送りになる候補者の割合」は小さくないと思います。

誤解3

 「Google Japan(もしくはGoogle Taiwanなど、本社以外支社)のエンジニアはローカライゼーションなど本社のエンジニアがやらない ”グレードの低い仕事” をやっており入るのが比較的簡単。」という誤解があると思います。
 もちろん、支社によって応募数とその年に採用できる最大人数は変化します。しかし大前提として世界的に同じ水準以上のエンジニアしか採用されません。
 どこの支社に応募したとしても採用委員会の通過は採用の絶対条件です。また、採用委員会を通過してしまえば、あとはチームの判断次第でどこの支社(本社含む)でも入ることができます。

6/21: チームマッチング

 採用委員会を通過後、いよいよどのチームに入るかを決定します。しかし、この時点でも入社が確約されたわけではありません。世界中のどこのチームからも声が掛からなかった場合は内定は出ません。
 チームマッチング面談では技術的な素養を図るような質問や問題を出されることは(ほとんど)なく、本当に「マッチング面談」という感じです。半分の時間でチームについての説明があり、もう半分の時間で候補者を知るための質問をいくつかされるという感じでした。
 自分はGoogle Japanのいくつかのチームのマネージャーと面談をしましたが、どのチームともマッチングできませんでした。
 面談は全て英語でした。

7/14: Google Taiwanのチームとのマッチング面談

 採用委員会は通過したということで、リクルーターさんには「日本以外のチームにも興味がある」と伝えていました。
 Google Japanのいくつかのチームと面談をした1ヶ月後くらいに「Hello from Google Taiwan!」という題名のメールを受け取りました。その1週間後くらいにあるチームのマネージャーと面談を行い、オファーをいただきました。
 面談は全て英語でした。

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