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人間的なコミュニケーション


今年に入ってから「メディア」というものをじっくりと観察をしています。
インターネット、SNS、ラジオ、メールマガジン、本、そしてごく偶にテレビといった感じです。その中でも想像するスペースが大きいものが自分は好きなのだろうなと思います。特に本に至っては、1月からざっと計算してみると25冊は読んでいたようです。この数字が多いのか少ないのか分かりませんが、本はやっぱり想像が出来て面白いです。

さて先日、妻がオンライン書店「west mountain books」をオープンさせました。僕は数年前からオンラインショップa quiet dayを立ち上げているので、この「west mountain books」の情報周りのディレクションや商品の写真撮影などを手伝っているのですが、これからの本体験、書店体験はどうなっていくのだろうとよく二人で話をしているので、思考の整理に今日もお付き合いいただければと思います。
この議論をする時に考えなくてはいけないことは、本というメディアについてと、売り場所であるオンラインショップという特性についてでしょうか。(「west mountain books」は現在実店舗がないので、オンラインショップという前提で話を進めます。)

まず、本というメディアについてですが、テレビやラジオ、インターネットと異なり、より自分自身と向き合い、対話をしていくようなメディアなのではないでしょうか。特に自分が5年間作り続けているマガジンa quiet dayでは、毎号異なるテーマを設けて様々なクリエイターのインタビューを収録しています。そのためなのか毎号掲載されている問いに対してクリエイターたちの答えを読むのはもちろんのこと、自分だったらどう答えるかなということを無意識的に考えているようです。
これはインタビューという形式特有のことではなく、本には必ず著者がいるのでほとんどの本は、内容のどこかに必ず著者が投げかけている問いかけが隠れています。なので、字面だけを追っていても、物語に引き込まれているうちに自分の心の声に少しだけ耳を傾けている状況が起こるのだと推測されます。本を読んでいるのか、自分の気持ちを辿っているのか、分からない状態になったことがある人も多いのではないのでしょうか。
著者はその場におらず、一方的に知っているだけで会って話したこともない人が大半です。でも、それは擬似的に著者と読者が会話しているような空間が出来上がっていたりするものです。

さて、続いてオンラインということについて考えていきたいと思います。
マガジンa quiet dayの製作が軌道に乗り始めて、書店さんにも卸販売をスタートした頃にマガジンの販路という意味合いよりも、マガジンを通してクリエイターと自分が繋がり、今後面白いことが生まれそうな予感がしたので、ある種の“コミュニケーションの場”としての機能の役割としてオンラインショップを立ち上げました。
商品のラインナップは全て自分が買付けたモノであることはもちろんのこと、その商品や実際にそれらを作っている人たちの思考の結果としてのモノという位置づけが強いので、即時性のあるコミュニケーションではないですが、じんわりと伝わっていくような仕組みを作っているような状況です。ようやく最近になってそれが形になってきました。例えばこの前受注生産かつ事前予約で販売したOh Oakのプロダクトなどは、必要なモノだけを必要な人のためだけに作り届け、待ってもらっている時間はOh Oakのモノづくりの視点などはオリジナルコンテンツとして、予約してくださったみなさまにお知らせさせていただくようなコミュニケーションを仲介してきたので、次第に当初考えていた“コミュニケーションの場”としてのショップになってきたことは、小さな自信にもなってきています。
オンラインショップの書店という立ち位置も、もしかしたらそんな形になっても面白いのかもしれません。ただ、今回のquiet radioでもゲストの井坂さんが言っているように、オンライン化が進んでしまうと、AIなどからのレコメンドはあったとしても、目的もなくフラフラと立ち寄ったリアルの書店ですごく良い本に出会うみたいな、偶発的なモノとの出会いは、とても限られてきてしまうのではないのかなということも考えられます。

ここまでつらつらと書き連ねてきましたが、本というメディアもオンラインショップというメディアも「コミュニケーション」の部分が鍵になってきそうで人間的な香りもしてきます。変化の起こる今の時代にこそ、人間的なコミュニケーションにフォーカスを当てていきたいと思います。

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