春の気配
平日18時。鉄の箱に1時間ほど揺られて最寄駅の改札を出ると、おや、まだ明るい。
この間よりまた日が長くなったなぁとふと思った。
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新しい職場に通い始めて3ヶ月。
あの頃はこの時間になると文字通りもう真っ暗だったのに、気づけば季節が変わり始めているらしい。
太陽が沈み切らずにすこしだけ明るさを残して迎えてくれる。
日の短い時と到着時間は変わらないのに、ちょっと得した気分になるのはなぜだろう。
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春の予感は日の長さだけではない。
自宅まで自転車を走らせながら感じる、生ぬるいようなふわっとした暖かさと、ちょっと青くさい葉っぱのにおい。
ほんのつい最近までシールを貼るように身体中カイロをペタペタくっつけていたのに。
五感を靡かせるこの時期特有の"気配"が私は好きだ。冬から春へと移り変わるほんの一瞬だけしか味わえない、日常の中にある小さな特別だと思う。
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家と職場の往復、そして朝から夕方まで仕事。
仕事が終われば自分の時間を取り戻すかのように颯爽と帰宅する。
そんな日、週、月、日々を過ごしているとどうしても忘れがちになるほんの少しの気配が、新たなワクワクと、どこか寂しい気持ちにさせる。
春の訪れはもうすぐそこみたいだ。
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