見出し画像

#5「変わりたい」はもう捨てた

こうして休学延長戦がやってきたわけだが、実をいうと、私はこの期間の記憶が薄い。最初の休学期間のことは鮮明に覚えているのに。
何をしていたのか思い出せないのだ。
いや、違うな。

何をしていたかというより、何もしていなかった。
「何かが変わるかもしれない」というほんの少しの期待すらもこの時には消えてしまっていた。つまるところ、誰かに助けてほしかったのだと思う。カウンセリングを受けるだとか、家族に優しくしてもらうだとかそういう「手が差し伸べられる」日を私は心のどこかで待っていた。
でも、やっぱり待ってるだけじゃいつまでたっても片手は空いたままで。

変わりたい。
手段やきっかけはいろいろあるけれど、一番の近道は「自分から動くことだよ」と気づくのはまだまだ先の話。

2019年の私は、わずかに残っていた「変わりたい」という気持ちも捨てて、完全に沼の底に沈み、一体化してしまった。


前期終了、つまり休学終了まで半年。
私の頭の中はいつしか「もういいよ、私なんか」が口癖になっていた。
家族、劇団の人とは普通に話せた。こんな自分を隠してだけど。しかし逆を言えばそれ以外の人とは一切関わろうとしなかった。できなかった。

もうこのまま、死ぬまで私はこんな感じなんだなと思った。
誰かが助けてくれるわけもないし、かと言って自分から動く気持ちは捨てた。


だから私がその小さなスイッチを押したのは本当に偶然だった。

最後までお読みいただきありがとうございます…! もしよければサポートしていただけると飛び上がって喜びます。 無印良品の豆乳ビスケットを買います… いいね、シェアだけでも嬉しくて跳ねます。