見出し画像

ぼく、街金やってます(ネタバレあり) @tetukuruixi


最近ツイッターで多少話題になっているのが、
、街金業を営むテツクルさん。 皆さんには縁遠い世界ですが、アンダーグラウンドの世界を覗き反面教師にしていただければ幸いです。 ちなみに街金と闇金は別物で、国や都道府県に貸金業者として登録して、強烈な監視下でお金を貸しているのが街金です。投資家から年利10%でお金を借りて、債務者に年利15%で貸しています。銀行やノンバンクから借りられない人に不動産を担保に貸すのが街金です。不動産を担保にと言っても抵当権1番で貸せるケースは稀で、先順位に銀行、ノンバンクがいても担保に余力があればその隙間に抵当権をねじ込みます。後方の順位からいかに全額回収するか、ギリギリを綱渡りしている多重債務者に、ルールぎりぎりで融資するわけですから、その攻防もギリギリの駆け引きが求められます。
「未熟な地面師」 お金を借りたいという会社経営のDさん。Dさんが色々相談しているという不動産とブローカーの3人でやってきました。でもお金を借りるはずのDさんの様子がおかしいんです。ぼくが質問すると、全部不動産屋が答えるんです。
「お金を借りる目的は何ですか?」
「・・・あ、えーと・・・」
「事業資金です!Dさんの会社で新しい事業を始める計画で!」
「事業計画書とかあるんですか?」
「・・・あ、えーと、それは・・・」
「はい用意してあります!お借りしたお金をこういうことに使って、売上はこれくらいで返済はこんな感じで!」
Dさん、ちっとも答えられません。でも、書類に不備はないし、物件の査定も問題なし。Dさんの様子は気になりながらも、貸すことにしました。街金ですからブレーキはゆるめです。 契約書に署名してもらう時も不動産屋は大活躍でしたが、ぼくは、Dさんが署名する様子に違和感を感じました。あれ?契約書に触ろうとしない・・・。いや、触らないようにしてる・・・。 契約書の署名するページを開くのは不動産屋。Dさんは右手に持ったボールペンで署名する時、手の下になぜか毎回クリアファイルを挟む。左手で契約書を押さえることもしない。判子を押すのも全部不動産屋に任せます。
「Dさん、なんで署名する時にクリアファイルはさんでるんですか?」
「え!?えーとですね・・・手汗がひとくて・・・」
「へーそうなんですね」
不動産屋の顔がみるみる青ざめていきます。Dさんは今にも失神しそうな顔してます。必要書類の署名、押印がすんだところで、ぼくはDさんに言いました。
「Dさん、前科あるでしょ」
「え!?ないですよ!?」
「ちょ!ちょっと!!失礼じゃないですか!!」 顔面蒼白だった不動産屋の顔が真っ赤に変色して怒鳴ります。
「なんでそんなに怒るの?ありませんよって答えればいいだけじゃない?」
「こんな失礼な人に借りることはない!Dさん帰りましょう!」
Dさんと不動産屋は逃げるように部屋を出ていきました。ブローカーのおじさんは状況がつかめておらず、
「テツクルさん、あんな失礼なこと言ったら帰っちゃうに決まってるじゃないですか・・・」
「おい薄らハゲ、あれ見て何も思わなかったの?どう見ても地面師じゃねーか」
「え!?ホントに?どこが?」
「いいか?契約書に指紋がつかないようにクリアファイルを敷いて署名してたんだよ。あと不動産屋が全部判子押してたろ?契約書触らないで判子押せないからだろうが。事件起こした時に、ここに指紋残ってたら、そこから身バレするだろ」
地面師は簡単に言うと、他人の不動産をまるで自分のもののように見せて勝手に売ったり、担保にしてお金を借りる人たちです。当然詐欺です。彼らはグループで活動し、舞台となる物件を見つける係、偽造書類を用意する係、所有者になりすます係、偽の所有者をサポートする係、この他に全体を仕切る大物が存在します。素人がこれを見抜くのは難しいでしょう。少し前、某大手ハウスメーカーが都心の一等地の取引で、大物地面師に盛大にだまされてしまいました。これ地面師案件かも?と心配になったら地面師鑑定士1級のぼくにご相談ください。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?