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シリーズ 「古事記の暗号」

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現代人の私たちが古事記を読んで「よく分からない」と思うのは、古代人と現代人では「心の在り方」が違うからです。また、当然ながら世界(宇宙)の捉え方も違います。とは言え、私たちがどこ…
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2020年1月の記事一覧

思考(マインド)は心を支配しようとする ~ 古事記の暗号 9

思考(マインド)は心を支配しようとする ~ 古事記の暗号 9

私は、民族の深層に共通して流れるストーリーが、神話というものだと思っています。

私が「自分」だと思っているものは、私の顕在意識が創り上げてきた個人的ストーリーだとすると、神話は潜在意識に流れる集合的ストーリーではないでしょうか。

神話で語られるストーリーをシンボルと捉えると、いろんなことに当てはめて解釈することができます。

例えば、イザナギとイザナミをシンボルと捉えた場合、

イザナギ   

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祓戸四神 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 8

祓戸四神 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 8

黄泉の国が、根の国・底の国と同一視される根拠は、黄泉比良坂(よもつひらさか)という出口が共通しているからです。

黄泉の国を訪れたイザナギが、イザナミから追いかけられ、命からがら逃げ出てきたのが黄泉比良坂(よもつひらさか)でした。

イザナギは、このとき千引きの岩で、黄泉比良坂(よもつひらさか)を塞いでいます。

イザナミが黄泉の国から出てくることができないように塞いだのです。

根の国を訪れたオ

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鼠の浄土 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 7

鼠の浄土 「黄泉の国、根の国・底の国」~ 古事記の暗号 7

日本昔話で「鼠の浄土」という話があります。

「おむすびころりん」ですね。

おじいさんは昼食のおむすびを食べようとしたが、それを落としてしまう。

おむすびは坂を転がり穴の中に落ちたので、おじいさんは穴の中まで追いかけていった。

穴の中にはネズミの国があり、おじいさんはネズミたちから財宝を授かる、という話です。

異界を訪問し、そこから宝物を持ち帰るパターンのお話ですが、この元ネタは「オオナム

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石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<後編>~ 古事記の暗号 6

石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<後編>~ 古事記の暗号 6

ニニギがイワナガヒメを送り返したのは、イワナガヒメが醜かったからです。

醜い=「見・難い」

イワナガヒメは「見るのが難しい」のです。

永遠性の象徴ですから。

永遠なんて、そんなものどこにある?

私たちは、永遠を見つけることができません。

それは、時間と言う概念に縛られているからです。

でも、時間は概念上のものであって、存在しないかもしれませんよ。

時間が存在するか否かに関する議論は

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石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<前編>~ 古事記の暗号 5

石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)<前編>~ 古事記の暗号 5

新年あけましておめでとうございます。

今年がみなさまにとって、楽しく健やかな一年でありますようお祈りいたします。

みなさまは、どんな正月を過ごされましたか?

私は、長崎の実家で年越ししました。

私の実家は、玄関先から真正面に初日の出を拝むことができます。

まだ薄暗い空に、燃えるような太陽がポコっと頭を出す瞬間は何とも言えませんね。

思わず手を合わせて礼拝してしまいました。

西洋人の目

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