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【東エルサレム・研修レポート①】 ビジネス研修はじまりました!

こんにちは、JVCエルサレム事務所の木村です。前回オリエンテーションに関するレポートで予告したとおり、いよいよ東エルサレムでの女性たちを対象とした研修が始まりました!トップバッターは、ビジネスマネジメント関連の研修からということで、「プロジェクトマネジメントと予算管理」に関する6回の研修について、お届けしたいと思います。

研修初日。心なしか女性たちもちょっと緊張している様子。

すでにビジネスをしているか、近い将来ビジネスを始めたいという具体的な計画と意思がある女性15名が参加しています。その中には、一昨年実施した職業技術訓練「キャンドル作り」の講師だった方のお姿も。自身のビジネススキルをさらに磨きたいということで参加されていました。

ビジネス研修の担当は、昨年に引き続きサウサン講師です

研修では、「ニーズの掘り起こし方」「ビジネスアイデアについての整理」「計画の立て方」「自分の強み・弱み分析」「予算管理の方法」など多岐にわたり、ビジネスを開始および継続するうえで欠かせないスキルについて学んでいます。

みんなで上手くコミュニケーションをとりながら、長い棒を支えられるかな?

研修ではただ単に学ぶだけではなく、いわゆる「参加型」と呼ばれる手法をとりいれ、女性たちが主体的に学ぶ工夫をしています。時にはこんなワークも。

まずは風船をふくらませて、
足にくくりつけます
そのあと女性たちは、他の人の風船を追いかけまわしはじめました、、、

ふくらませた風船を足にくくりつけて、お互い割って遊んでいるように見えるかもしれませんが、このワークにはきちんとした意図があります。ワークが終わって女性たちが落ち着いたあとに、講師がこのように説明してくれました。

「私はふくらませた風船を管理してください、とは言いましたが、他の人の風船を割ってくださいね、とは一言もいわなかった。だけど、ほとんどの方は他の人の風船を気にして、それを割ろうとして、自分の風船のことはあまり気にしていませんでしたね。
これをビジネスにおきかえてみましょう。他の人のビジネスは気になりますよね。どんなことをやっているんだろう、あ、あんなやり方してるのかって。でも、ビジネスで大事なのは「自分」です。自分のことを理解して、自分のビジネスが上手くいくためにはどうしたら良いか、顧客は何を望んでいるのか。そのために自分に何ができるのかを考えることで、他人のことを気にすることではありません。でも、人は他の人のことを考えて自分のことをおろそかにする傾向があるので、それに気づいてもらうためにこの風船ワークをやったのです」

このワークだけでなく、すべてのワークにはビジネスにつながる示唆に富んだ学びがあり、ワーク中は女性たちの歓声が聞こえてきても、いったん講師が話し出すと、女性たちは熱心に耳を傾けたり、重要な言葉をメモしたりしていました。

自分のビジネスについて話すアラーさん(写真右)

研修に参加したアラーさんは、大学では幼児教育を学びましたが、刺繍やビーズなどをつかった小物をつくるのが大好きで、将来は手作りのものを売って安定した収入を得て家計の助けにしたいと考えています。

「手作りだと完成までに時間がかかるし、どうしても既製品より値段設定が高くなってしまいます。販売しようとしても、なんでこんなに高いの?と言われることも多く、お客さんが手作りの良さや大変さを理解して、妥当な値段だと納得してもらうにはどう説明したら良いのか

と、講師や研修を一緒に受けている仲間の女性たちに悩みを相談していた姿が印象的でした。

研修中のグループディスカッションの様子

この研修を通じて、ひとりでも多くの女性たちが自分を誇らしく思い、その姿が家族や周りにも認められ、サポートを受けながら、社会的・経済的に自立していくことが私たちの願いです。

次回は同じ思いを持ち、熱心に私たちとともに活動をしてくれる講師をご紹介したいと思います。お楽しみに!

※本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力にて実施しています。


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