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時差は6時間?7時間?どっち!?

こんにちは、JVCエルサレム事務所の大澤です。日本では桜&新しい生活が始まる季節ですが、パレスチナでは(今年は)3月23日からラマダン(断食月)がはじまりました!街がキラキラして活気に満ちあふれ、みんながウキウキしていて、見ている方も楽しくなります!

もちろん、エルサレムのパレスチナ人も同日から。ところが、今年のラマダンは大混乱に陥っています。。。

イスラエルとパレスチナはサマータイムを導入しており、冬は日本からマイナス7時間、夏は日本からマイナス6時間となります。ラマダンが開始されたその夜中3時にサマータイムに切り替わった(時計の針を1時間進める)のですが、パレスチナの政府が「ラマダンが開始されてから時間を変えることはできない!」ということで、なんとパレスチナとイスラエルの間で1ヶ月間時差ができることになってしまいました。ということは、イスラエルの占領下にあるエルサレムはサマータイムになるということで…。

日々、エルサレムとパレスチナを行き来する人たちは大混乱。出退勤の時間は?会議の時間は?東エルサレム(パレスチナ側)はどっちの時間帯になるの?

※東エルサレムの位置づけは以下の記事をご覧ください。

パレスチナのヨルダン川西岸地区(以下、西岸)からエルサレムにある事務所に通勤しているスタッフがいる団体は、出勤時間の交渉で一苦労していたようです。例えば、エルサレムの8時に出勤するとなると、西岸をいつもより1時間早く出発しなければなりません。

ラマダン中は、日の出前に軽い朝ごはんを食べてから寝て、会社などに勤めている人や学校に行く子どもたちなどを除く多くの人が昼過ぎに起きてお店を開け始め、日没にみんなで食事をした後は街に繰り出し、日の出の時間まで起きている(人によっては仮眠をとる)という夜型の生活になるので、出勤時間が早くなるなんてもってのほかなのです。

さらに、通常ラマダンの時期は、たいていどこの会社や組織でも昼休憩をなくす代わりに1~2時間ほど勤務時間が短くなるので、それも考慮しなくてはいけないのです。

当然出かける際も気を付けなければいけません。スマホによっては2つの時間帯を表示できるものもあるようですが、私のスマホはできないので、どっちにいるかでいちいち時間を変えています。腕時計も同様。

先日ガザ地区に出張に行ったのですが、ガザ地区に行くには、イスラエルとの国境から3つの検問所を越えなければいけないのですが、最初のイスラエルの検問所はイスラエル時間、残りの二つはパレスチナの時間で動いているのです。。

ガザに行くときはパレスチナが動き出す時間に合わせていつもより1時間遅く出て、エルサレムに戻る時はイスラエルの検問所が閉まる前に出なければいけないのでいつもより1時間早く出発しなければいけません。イスラエル側、パレスチナ側、日本それぞれに情報を共有する人がいるので、3つの時間帯をスケジュールに入れて考えているうちに「あれ?どっちがどっちだっけ?」と一人で混乱。整理して字で書くとそんなに大したことないのですが。。。

何か国も股にかけて仕事をしている人はすごいなと感じながらレアなラマダンを過ごしています。

エルサレム旧市街のダマスカス門

ちなみに、今年はイスラム教のラマダン(※1)、ユダヤ教の過越祭(※2)、キリスト教のイースター(※3)が重なっており、一見楽しそうですが、毎年ラマダンの時期にパレスチナ人とイスラエル軍や警察などの間で衝突が起こりやすいので、人々は楽しみながらも情勢を心配しています。けが人などが出ないことを祈ります。

(※1)ラマダン:ヒジュラ暦の第9月のことで、日の出から日没までの間,イスラ ム教徒の義務の一つとして飲食を断ちます(断食)。新月にはじまり新月に終わるので、何日に始まるかは直前に決定されます。ヒジュラ暦のため、毎年2週間づつ早まっていきます。
(※2)聖書の出エジプト記12章に記述されており、エジプトの地で奴隷になっていたイスラエルの民が、モーゼの先導でパレスチナの地に脱出した故事を記念する日。
(※3)磔刑にされて死んだイエス・キリストが三日目に復活したことを記念・記憶する日。


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