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3月8日国際女性デーに寄せて     【2024 東エルサレム編】

こんにちは、エルサレム事務所の木村です。
前回に引き続き、「国際女性デー」にまつわるお話をお届けします。

今年の国際女性デーのテーマは、「Inspire Inclusion」、つまり、女性が参加しやすいインクルージョン(包括的)な社会を目指そう、です。そのためには、前回ふれた「ジェンダーギャップ指数」のギャップを埋めること、ジェンダー(主に男女間の)格差を改善するために、マイノリティーである女性たちへの支援を手厚くすることが必要です。
 
国際女性デー公式サイト(英語) によると、女性にとっても包括的な社会を築くためには、下記のような行動が求められています。
 
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① 女性の経済的エンパワーメントの推進
② 多様な人材の採用、維持、育成
③ 女性と女児のリーダーシップ、意思決定、ビジネス、STEM分野への進出を支援する

④ 女性と女児のニーズを満たすインフラの設計と建設
⑤ 女性と女児が健康について十分な情報を得たうえで意思決定できるよう支援する
⑥ 持続可能な農業と食料安全保障に女性と女児を参加させる
⑦ 女性と女児に質の高い教育と訓練を提供する
⑧ 女性と女児のスポーツへの参加と成果を高める
⑨ 女性と女児の創造的・芸術的才能の促進
⑩ 女性と女児の地位向上を支えるその他の分野に取り組む
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前回紹介したガザでの長年にわたる取り組み(地域保健ボランティア育成を通じた子どもの栄養改善事業)は上記②および⑤にあてはまります。一方、JVCは東エルサレムでも女性や女児を対象とした支援活動を行っており、それらは①、②、③、⑦などをカバーしています。今日は東エルサレムでの活動と女性たちの声をお届けしたいと思います。
 
JVCでは2021年から東エルサレムで現地NGOのシルワン・アットゥーリ女性センター(AWC)ととともに、パレスチナの女性たちのエンパワメント事業を行っていて、今年で4年目を迎えます。

「継続は力なり」と言いますが、研修を重ねるごとに、困難な状況のなかでも研修で学んだスキルを活かし、仲間や講師からの刺激やアドバイスも受けながら社会的・経済的自立の一歩として、家庭内でできる小規模ビジネスをはじめる女性たちが増えています。

メーキャップを学ぶ研修参加者(左)と講師(右)

毎年実施している女性向けの職業技術訓練では、今年は「調理コース」と「美容コース」に分けて行いました。双方のコースとも、女性たちの興味関心や市場のニーズにあわせて過去2年とは異なった新たな内容の訓練も設けました。調理コースでは「チョコレート菓子作り」「カロリー計算」、美容コースでは「ヘアーカラリング」と「ヘアーカッティング」。いずれの訓練でも、女性たちが熱心に学ぶ姿が見られました(各訓練の様子はまた別途レポートする予定です)

SNSなど営業用に使用する写真撮影に関する研修

1年の研修の締めくくりとして、「経験交流」のイベントを行いました。これはすでにビジネスをたちあげた女性たちが自身の体験談を他の女性たちに共有し、お互いに学びあう貴重な機会となりました。その中の一人、フダ・ハディエさんの声を紹介します。

自分がたちあげたビジネス(ビューティサロン)の話をするフダさん(中央)

「私は2021年および2022年にメーキャップの研修を受講しました。そうです、私はここからスタートしたのです。美容に関することは何でも好きでした。自分のお店を持つのが夢だった。
AWCではより多くの女性に機会を提供したいという思いから、一度受けた研修を同じ人が受講することをNGとしていたけれども、メーキャップでビジネスを起こすためにどうしても再度受講したいという思いが強く、再受講をお願いし2年間学ぶことができました。
一番大きな支えは、2人の兄がお金を出してくれたこと。今は夫が家庭を支えてくれています。家庭と仕事を両立するために時間をやりくりするのは大変ですが、ビジネスに必要な会計の勉強もしています。ガザに攻撃が起こっているという大変な時期にサロンをオープンしました。今は、お客さんがサロンに来るたびに、嬉しさと達成感を感じます
 

JVCはこれからも、困難な状況にありながらも自ら変わるための一歩を踏み出す女性たちを応援していきます

※本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力にて実施しています。


JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。