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「自分らしく」あるために

【パレスチナ事業30周年 ウェブ記事・第12弾】

 JVC会報誌「Trial&Error(通称TE)」で振りかえる「JVCパレスチナ事業の30年」。その第12弾となる今回は、2020年9月に開始し、現在(2023年)も継続している東エルサレムでの「女性のためのエンパワメント事業」をお届けしたいと思います。

前回(第11弾)の記事でもご紹介したとおり、東エルサレムはイスラエルの占領下にあり、そこで暮らすパレスチナの人々は、大きな銃をもったイスラエル兵士の監視の目にさらされています。

(図)東エルサレムにおける女性をとりまく問題

特に女性は「二重苦」ともいえる多くの問題を抱えています。上記の図のように、①イスラエル占領下でのさまざまな形での抑圧や人権侵害、②家父長制(※)を背景とした男女の不平等や経済的困難が、女性の社会経済的自立を難しくしています。

イスラエルの占領による直接的な影響を受けることが多いのは男性であり、差別や暴力、仕事を得ることができないなどのストレスに加え、「男性たるもの、こうあるべきだ」というパレスチナ社会の中のプレッシャーになどより、そのストレスの矛先がより弱い立場である女性や子どもに向くという悪循環が生まれています。

※家父長制:家長権(家族と家族員に対する統率権)が、 男性たる家父長に集中している家族の形態。父と子の関係にしばしば見られるような、他者の利益を名目に他者の行動に強制的に干渉できるとする考え方のこと。「父権制」と訳されることもある。

東エルサレムの女性たちがこのような状況におかれていることを知るなかで出会ったのが、現地NGOのシルワン・アットゥーリ女性センター(AWC)の人たちでした。

AWCスタッフ
(左から、事務局長:アビールさん、経理担当:マナールさん、
研修担当:ハニーンさん、事業調整担当:アラーさん)

AWCはエルサレム旧市街に隣接するアットゥーリ地区に事務所をもち、そこで地域の女性や子どもたちを主対象とした支援を16年間続けています。団体の設立当初は地域の人たち(特に男性)からの反発もあったようですが、根気よく活動を続けた結果、AWCは地域をよくするために活動していることが認められ、今では少しづつ男性の協力者も増えているとのこと。

そこでJVCは、AWCを現地パートナーとし、東エルサレムの女性たちが社会的・経済的に自立できることを目標に、女性を対象とした職業訓練やリーダーシップなどの研修を行っています。詳しくは、下記の記事をご覧ください。

「前向き子育て」研修でのディスカッションの様子(2022年6月)


女性たちが置かれている状況や活動の詳細については、以下の、2021年夏に発行したJVC会報誌TE347号「女性の生計向上とエンパワメント事業」の記事をご覧ください。
(写真をクリックすると記事が拡大されます。)

TE2021夏(347号)[ 特集] 東エルサレム事業(1ページ目)
TE2021夏(347号)[ 特集] 東エルサレム事業(2ページ目)
TE2021夏(347号)[ 特集] 東エルサレム事業(3ページ目)


JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。