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『フレックスタイム制』を活用した柔軟な働き方とは?フレックスのメリット・デメリット

先日、福岡にある社会保険労務士法人アドバンス様が「福岡県働き方改革実行企業(よかばい・かえるばい企業)」大賞を受賞されたとのことで、同社の代表主催のセミナーに参加させていただきました。

https://van.gr.jp/

社会保険労務士という専門家の立場で、自社を徹底的に働きやすい職場にするために行った施策や事例など、非常にためになるお話でした。

様々な施策を打った中で、最も大きな柱として『スーパーフレックスの導入』がありました。コアタイムとは『始業・終業時間は自分で決めてもいいけどこの時間には必ず働いてね』という時間帯のことですが、スーパーフレックスとは『コアタイム』と言われるものがありません。
弊社のお客様でも、ちょうどフレックスタイムの導入に立ち会っている会社があり、働き方がドラスティックに変化していることに対し、特に管理職が戸惑っているのを目の当たりにしているところですが、やはり導入を成功させるためには様々な課題をクリアにする必要があります。

それでは『フレックスタイム制度導入』にあたってのメリットやデメリット、気を付けるべきポイントなど、セミナーで学んだことも含めてご紹介していきたいと思います。

フレックスタイム制度のメリット

フレックスタイム制度はざっくりと言えば、『働き方を自分で決定できる仕組み』のことです。何時から働いて、何時に終わるのか、働く日や働かない日なども自分で能動的に決める働き方です。職種によっては制限を受けてしまいますが、それでも受動的だった働き方から能動的に働ける第一歩とも言えるかもしれません。制度の詳細については今回は説明を省きます。ではメリットとはどのようなものがあるでしょうか。

1. ワークライフバランスの向上

フレックスタイム制度の最大のメリットは、『社員のワークライフバランスを改善できる点』です。社員は仕事と私生活の調和を図りやすくなり、家庭の事情や個人的な予定に合わせて勤務時間を調整できます。これにより、仕事とプライベートの両立が可能となり、ストレスの軽減や仕事への満足度向上が期待できます。来週の火曜日には家族の大事な予定があるから、今週は少し頑張って仕事をすすめておこう、というような働き方も可能です。

2. 生産性の向上

柔軟な働き方を認めることで、社員は自分にとって最も効率的な時間帯に仕事を行うことができます。例えば、朝型の人は早朝から勤務を開始し、夜型の人は夕方から夜にかけて集中して作業を行うことができます。このように、個々のリズムに合わせた働き方ができるため、全体的な生産性の向上が見込まれます。朝の通勤ラッシュを避けて働くことも可能です。

3. 離職率の低下

社員の働きやすさを重視する企業は、社員の定着率が高くなる傾向があります。フレックスタイム制度を導入することで、社員が自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現できるため、企業へのロイヤルティが高まり、離職率の低下に繋がります。

4. 多様な人材の確保

フレックスタイム制度を導入することで、育児や介護などの事情でフルタイム勤務が難しい人材も採用しやすくなります。これにより、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まり、組織の多様性が向上します。多様な視点やアイデアが生まれやすくなり、イノベーションの促進にも繋がります。

このようにフレックスタイムにはメリットが多くありますが、管理職層からはデメリットの声も聞こえてきます。では管理職層が危惧するデメリットとその対策はどのようなものがあるのでしょうか。

フレックスタイム制度のデメリットと対策

1. コミュニケーションの難しさ

社員が異なる時間帯で働くため、コミュニケーションのタイミングが合わないことがあります。特に、チームでの協働が必要な業務では、コミュニケーションのズレが生じやすくなります。これを防ぐためには、共有のコアタイムを設定し、その時間内に重要なミーティングや連絡を行うようにすると効果的です。スーパーフレックスではコアタイムがないため、さらに緊密なコミュニケーションが求められます。

2. 管理の複雑化

社員が異なる時間帯で働くため、勤務時間の管理や評価が複雑化します。適切な労働時間の記録や管理を行うためには、勤怠管理システムの導入や人事部門のサポートが不可欠です。また、業績評価も従来の方法では難しいため、目標達成度や成果に基づく評価基準の整備が求められます。労働時間で評価をされていたものが、「何をやったのか、達成できたのか」といった評価で見ていく必要があります。

3. 勤務時間の偏り

フレックスタイム制度の導入によって、特定の時間帯に業務が集中しすぎるリスクもあります。例えば、全員が朝遅く出勤することを選択すると、午後に業務が集中してしまい、逆に効率が低下する可能性があります。このため、各社員の勤務時間をバランスよく配置するための調整が必要です。

4. 制度の不公平感

全ての業務や役職がフレックスタイム制度に適しているわけではありません。そのため、一部の社員だけが制度の恩恵を受けることになり、不公平感が生じる可能性があります。これを防ぐためには、制度の適用範囲や条件を明確にし、公平性を保つためのルールを設けることが重要です。フレックス制度の適用をどの単位、対象者にするのかを分析しなければなりません。

5.上司や先輩と勤務時間が合わず、気軽に聞けず仕事が停滞する人が出る可能性がある

勤務時間が決まっている場合は直接コミュニケーションをとる機会が多くありますが、フレックスの場合は重なる時間が少なくなるリスクがあります。その少ない重なった時間でしっかりと先輩や上司に相談できる人は良いですが、聞けない人は仕事が停滞してしまう可能性があります。上司としてはそのことについてもケアしていく必要があります。

6.それまでにあった会社のカルチャーが変わる可能性がある

例えば「始業前に会社の周囲を掃除する」などの取り組みをしている会社があったとして、その取り組みが断絶してしまう可能性があります。これまで会社で築いてきたカルチャーに対して取捨選択していく必要が出てきます。

フレックスタイム制度を成功させるためのポイント

フレックスタイム制度を効果的に導入し、そのメリットを最大限に活かすためには、以下のポイントに注意することが重要です。

1. 明確なガイドラインの設定(就業規則をフル活用する)

フレックスタイム制度の導入にあたっては、明確なガイドラインを設定することが不可欠です。労使協定も結ぶ必要がありますが、就業規則の変更も必要になります。ただ作っただけ、とならないように就業規則をしっかりと参照できるようにする必要があります。勤務時間の範囲やコアタイムの設定、業務の進捗管理方法などを具体的に定め、全社員に周知徹底してください。これにより、制度の運用がスムーズに進み、混乱を防ぐことができます。

2. 効果的なコミュニケーション手段の確保

リモートワークや異なる時間帯での勤務が増えるため、効果的なコミュニケーション手段の確保が重要です。ビデオ会議やチャットツール、プロジェクト管理ツールなどを活用し、リアルタイムでの情報共有や連絡が取りやすい環境を整備します。弊社ではNotionを活用し、タスクの状況を可視化することをお勧めしています。誰がどのようなタスクを抱えているのかをチーム全体で可視化していく必要があります。

Notionの活用についてはコチラ

3. 適切な評価制度の導入

フレックスタイム制度の下での業績評価は、従来の勤務時間に基づく評価から、成果や目標達成度に基づく評価へとシフトする必要があります。具体的な評価基準を設け、公正で透明性の高い評価制度を導入することで、社員のモチベーションを維持します。人基準ではなく、仕事基準で評価を作る必要があります。
※職務給制度、役割等級制度については弊社までご相談ください。

4. トレーニングとサポートの提供

制度の導入にあたっては、社員へのトレーニングやサポートも重要です。新しい働き方やツールの使い方に慣れるための研修を実施し、必要なサポートを提供します。また、フレックスタイム制度に関するフィードバックを定期的に収集し、改善点を見つけ出し、制度の見直しを行います。Notionをはじめとしたツールを活用する場合、得意・不得意が発生しないようにしっかりと導入トレーニングを行う必要があります。

まとめ

フレックスタイム制度の導入は、従業員のワークライフバランスを向上させ、生産性の向上や多様な人材の確保に繋がる一方で、コミュニケーションの難しさや管理の複雑化などの課題もあります。
しかし、明確なガイドラインの設定や効果的なコミュニケーション手段の確保、適切な評価制度の導入などを通じて、これらの課題を克服し、制度のメリットを最大限に活かすことが可能です。フレックスタイム制度を成功させるためには、企業全体での取り組みと継続的な改善が求められます。
つまり、フレックスタイム制度導入には制度の導入シミュレーション、課題・リスクの洗い出し、制度構築、評価制度の見直し、勤怠管理システムやタスク管理システムの見直し、就業規則への落とし込みが必要になります。

スタートアップなどで、『そろそろ働き方を変えていきたい』という企業や、中小・中堅企業で『部門からでも導入してみたい』という企業があればお気軽にご相談ください。お客様のお悩みに応じて専門家でコンサルティングチームを作り、導入を支援していきます。

※北海道から沖縄まで全国対応しています。まずはZOOMで打ち合わせしてからの流れになりますが、ご希望の条件などがあればお気軽にご相談ください。


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▼Juvenalis株式会社
代表取締役 一木 信輔
社会保険労務士/精神保健福祉士/人事コンサルタント/Notion公式アンバサダー
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