じゅーり

詩や小説。ユリイカ「今月の作品」2019年6月〜12月号掲載。第3回永瀬清子現代詩賞入…

じゅーり

詩や小説。ユリイカ「今月の作品」2019年6月〜12月号掲載。第3回永瀬清子現代詩賞入選。小説「箱庭に住む息子たちは、今日も乳房を探し続け、見つけられず、帰ったのち夜を迎える」が第25回早稲田文学新人賞で最終選考に。「門辻東高等学校硬式野球部」が第2回ことばと新人賞で最終選考に。

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斉藤ごめん

斉藤ごめん  謝らなあかんことがあるねんけどな、お前、野球やってるときに頭にデッドボール受けて一時的に記憶喪失なったやんか。あんとき、みんなで結託してお前にドッキリしかけようってなって、今が何年かって伝えるときに、一年実際よりさば読んで伝えてしまってんねやんか。ほんまはちょっとおちょくって、すぐにドッキリーって明かす予定やってんけど、あまりにお前、真に受けて生活してたから、言うの無理なってしまって、ごめんな。  だから今日、実は令和六年三月四日やねん。ごめんな。令和五年三月四

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       チバさんが死んだ。  チバサンが歌うACACIAという曲を電車の中で聞いた。The Birthdayのアルバムもきいた。  帰ってきてからもきいた。  YOUTUBEでもきいた。  チバさんの死を悼む人たちがXに投稿していた。  それを大して仲良くもないのに、と非難する人もいた。  何も言わない人もいた。  チバさんを知っているけど何も言わない人、チバサンを少し知っているけど何も言わない人、チバさんと会ったことがなくて何も言わない人、チバさんの日常を知らず、あ

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         パン食べながら駅まで向かってたら、目の前からセーラー服着てる女子高生が歩いてきて、すれ違った。  セーラー服かあ、ブレザーの方がええけどなーとか考えてたら、背中痛いというか、ぜんぶ痛いになって、背中さわってみたら血やん、なんじゃこらってなって、振り返って見たら、女子高生が俺のこと刺してた。けどよく見たら女子高生にしては精悍な顔立ちすぎて、女子高生のふりしてるだけかもわからんし、女子高生のかっこうしてるだけかもわからんし、女子高生やけど留年してるんかもわからんし、女子高生やけ

        • 見てみろ、ヨミオ、今日の月はきれいだぞ

        斉藤ごめん

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          カレーのうた

          じゃがいもの皮をむく 友だちのあっちゃんの顔は にきびがたくさんで 昔あだ名がじゃがいもだった にんじんを手に取る ちんちん と聞き間違えて ひどく恥をかいたのを思い出す 玉ねぎを刻む 涙がでたのを 玉ねぎのせいにしたけれど 実は昨日 あの人にふられた ばらでもブロックでもなく みんち肉を使う あの人が好きだったから これで最後に ニンニクをたくさん擦って 野菜を炒める 明日は家から出るつもりはないから なんにも気にしない 夜中に吸血鬼がやってきたら ふーって息をふき

          カレーのうた

          さあ

          ぬめりの中にあなたの手がある 細い肉のそがれた右手はあなたの手で それがわかり 手を伸ばそうかどうか迷い まあ人道主義ととりあえず手を入れて 咥え込まれる感覚が なんとも不快で あんたのため も嫌で嫌で けれど人道主義 されど だから と腕を押し込む あんたの手は遠く 見えているのに届かず 腕を最大限伸ばしても やっぱり届かず あきらめても ばちはあたらないはずで 人道主義は尽くした と納得を行う あんたの手は どんどんぬめりの中