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成長を止めない2024 海士町編

海士町に来てあっという間の2か月半。自転車にも乗れなかった私は来島3日前に乗れるようになって来島してきたわけですが、今ではすっかり坂道もすいすいと楽しく乗れるようになりました。そんな私の島体験での学びや経験をエピソードも織り交ぜながら記録に残せたらと思います。書き始めの現時点でかなり長くなることがわかっていますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。タイトルの写真は研修で知夫を散策して疲れて道路の真ん中に座るという夢をかなえたときの。

私について

この期間を通して私自身についてなんとなく知っている方もいると思いますが、改めて自己紹介をします。中島(なかしまです、濁らないです)です。

自己紹介

2002年生まれの21歳、愛知県名古屋市出身、家族構成は父、母と2つ上の姉がいます。大学進学をきっかけに上京して一人暮らしを始めました。幼少期を父の仕事関係で海外で過ごしたことがきっかけで、英語を究めようと思い、大学では英語を専攻しています。自転車がこの間まで乗れなかったのも、己の運動神経とこれが理由です(笑)現在は4年生を休学していて、島体験の後はカナダ留学に行く予定です!よくしゃべります。

アメリカでの家族写真

大学では男女混成の競技チアリーディング部に所属して、とにかく部活に打ち込む3年間を過ごしていました。チアは大好きで成長もたくさんできて、部活は間違いなく私の大事な居場所です。下の記事は3年間部活を通して自分が学んだことを書いています。


学祭でのお気に入りの1枚


ところが夢中になった結果、それまであった趣味や「楽しさ」がすべて部活基準になってしまいました。去年の年末で一度現役生活にきりがつき部活から少し離れる機会がありました。すると、まるで心にぽっかり穴が開いたようになにをしても楽しいのかわからなくなっている自分がいて困惑しました。そこからどうして私は島体験に参画することにしたのでしょうか。

島体験参画のきっかけ

もともと大学4年生は休学する予定でしたが、島に来る予定はありませんでした。日々コツコツと成長できる部活からは離れるけど、環境が変わっても成長は続けたいという個人的な思いがあり、今年の目標は「成長を止めない2024」です。4月から半年間カナダに留学して、10月には帰国、そこから就職活動を始めるというスケジュールを思い描いていました。外国語を勉強する大学なので休学することは全く珍しい選択ではなく、抵抗もありませんでした。部活の同期は18人中16人が休学しています(笑)

ところが、留学に必要な申請書類がそろった1月下旬、カナダの学生ビザ発行要綱が大幅に変更されることが発表されてしまい4月出国の予定が潰れました。早く出国できたとして8月とのこと。あと三か月弱で出発のところが突然倍以上の空き時間ができてしまいました。これは自分の力ではどうしようもないことはわかっていましたが、すごく悲しくて久々に泣きました。それも、部活の同期の多くが世界中に留学し始めている中、自分だけがまだ東京にいてなにも新しくはじめていなくて置いて行かれる感覚と焦りがあったからです。深夜、落ち込んているときに出国が延びた、悲しいと部活の同期に連絡したところそれなら「島行こ!」と誘われました。

実際のDMのスクショ

留学までバイト漬けの日々になるか、6月にある部活の大会に向けて復帰するかの2択だったのが3択になりました。正直、部活か島か迷いました。でも、部活に復帰するのは来年でもできる、島は今しかないということと、単純に島に誘ってくれる友達って貴重だなと思い、私も一緒に行くことにしました。とても、成り行きで、きっかけはどこにでもある!そしてラッキーなことにランダムに組まれるシェアハウスも、この友人と同じところになりました。

シェアハウス

シェアメイトは島に誘ってくれた友人かりん(大学の部活同期)と東京で行われた出発式で出会った事業所が同じのあやのちゃんです。みんな同い年で大学4年生。あともう一人、島前高校に通う高校生の子と4人で東にある山本邸に住んでいました。

山本邸

ごはんを横並びで一緒に食べたり、個人で食べたり、リビングでみんな静かに作業したり、ゲームしたり、逆に音楽をかけて突然カラオケが始まったり、夜な夜なおしゃべりしたり、のびのびと過ごせました。

意外となかった3人の写真


続いて、シェアハウスと同じくらいの時間を過ごしたであろう事業所について紹介します。

事業所紹介

TADAYOI

先日1周年を迎えたばかりの海士町にあるグランピング施設。海の上でまるで漂っているような感覚を感じてほしい思いと、ただ良い時間を過ごしてほしいの二つの意味が名前に込められています。

天気がいい日に撮った1枚


ここが私の事業所で日々業務に取り組んでいました。

取り組んだこと

私はTADAYOIで日々の業務(清掃・仕込み・接客)に加え、インバウンド対応に取り組みました。なんとなく、得意な英語を使えたらという思いと自分にしかできないことがしたいという気持ちが合わさった結果でした。英語を使って働くってどんな感じか知りたかったのもあります。形として残せたものが2つあります。

1つは、ゴミの分別ラベル

どきどきしながらラベルを貼った記憶(笑)


インバウンドの方が宿泊された部屋を清掃した時に分別はしてくれているけど海士の分別方法ではないことに気づきました。ゴミ箱を見ると日本語のラベルだけが貼ってあったので、英語のラベルを貼るのはどうかと社員のヨネさんに提案してみました。すると、「たしかに!あった方がいいよね!」と肯定的な反応をいただけました。まだ働いて2日目だったのとアウトプットに苦手意識があったので個人的にすごく勇気を出しての提案でしたが、あっさりと受け入れてもらえて拍子抜けしました。

TADAYOIではなんでもやらせてもらえる!と実感した瞬間でもあります。その二日後くらいに突然「テプラ使ったことある?作って、貼ってきていいよー!」と声をかけていただいて実際に貼りました。提案から実行までのスピードの速さへの驚きと、採用してもらえた嬉しさは今でも鮮明に覚えていて、働くことへのモチベーションも確実にアップした経験でした。

もうひとつは、施設案内の英語版の作成。期間中に主に取り組んでいたものはこれです。清掃の際に各部屋に置いてある施設案内のファイルを拭くのですが、回数を重ねていくうちに自分が海外から旅行に来て、部屋に日本語の案内しかなかったらどう思うかを考えるようになりました。

そりゃ海外旅行なんだからないか!と思う人もいれば、自分のわかる言語がなくて不安に思うのではないかとも思いました。日本語が読めなくても、提供している情報量に差があることはわかります。自分だったら、寂しい気持ちになる気もしました。英語の案内があれば、すべてのインバウンドの助けになるわけではないけども、あるだけで安心感や嬉しさ、最終的にはTADAYOIでの思い出がよりいいものになるのではないかと気づきました。

そこから、英語の施設案内を作りたいと話して実際に取り組みはじめました!主にはすでにあった簡易的な英語案内を修正することでした。それに加えて自分で追加したい項目を作成しているうちに、日本語のものと同じ形にしたいと思うようになり、今は英語版のファイルを作成しています。昨日、無事に完成して目標としていた、同じ情報量の提供が可能になりました。最後にファイルの表紙にラベルを貼らせていただいたのですが、この3か月の成果が目に見えて胸がいっぱいになりました。これからインバウンドの方が宿泊されるときにはお部屋に自分の作ったファイルが置かれます!

靴の案内

一番こだわったのは、靴の案内です。文化の違いとしか言いようがないですが、インバウンドの方が利用した部屋を清掃すると土足で利用していた形跡が多い傾向にありました。彼らに悪気はないし、スタッフの業務がそれによってすごく大変になるわけでもない。でも靴のルールを伝えたら守ってくれるだろうし、そうすれば清掃時のワンステップが省けるようになる。それに気づいて、靴の案内を追加しました。自分が出勤しているときは直接伝えることができるけど、自分が離島したあとにまた同じことが起こらないように、言葉がなくてもわかるように写真を追加しました。

これらが主に取り組んだことで、私はそこから3つの学びを得て、自分に変化もありました。次のセクションでは、学んだことについて書きます。

学んだこと

TADAYOIでは、2週に一度、社員と1on1形式で行う振り返りと面談があります。業務を通じて学ぶことも多くありましたが、自分の中で特に印象に残っている学びや気づきはその面談で社員のヨネさんにかけていただいた言葉が多いです。

アウトプットの形はひとつじゃない

学んだこと第1弾は「アウトプットの形はひとつじゃない」です。
来島した直後の私は成長とアウトプットの2つの言葉にこだわっていたし、今思うと、半分は縛られているようなものでした。部活をしているときは日々成長が目に見える環境だったので、それがなくなったことで自分は成長しなくなっているのではないかと焦りがあったし、留学で新たに成長する同期になんだか置いて行かれている気分で引け目がありました。アウトプットに関しては「みことはたくさん考えているし、インプットもよくしている。だけど、その割に全然アウトプットしないよね。」と指摘をいただくことが多く、コンプレックスに近いものを抱いていて絶対に克服したいことの1つでした。

そんな考えのときの第一回目の面談、私は要約すると「目標のアウトプットができているのかわからない。もっとできるように、毎日フィードバックをもらうように行動する。」と話しました。それに対してかけていただいた言葉は「できているから大丈夫だよ。アウトプットの形はひとつじゃないよ。」でした。何かを伝えて、フィードバックをもらう。これが私の思うアウトプットの形でした。でも、実際はそうではなくて、業務に関してこうするとスムーズだよ、速くできるよと伝えるのもアウトプットで、どこまで理解していてどこからがわからないのか聞くのもアウトプット。私がアウトプットの形に対して、固定概念を抱いているだけでした。この言葉はあまりにも印象的で、すぐに手帳に記録しました。

忘れる前にと急いで書いた


この言葉を聞いて以来、すごく気持ちも楽になり、アウトプットすることに対してどんどん上がっていたハードルがグーーンと下がりました。書いてある通りですが、小さなものを生活の中で積み重ねていきたいです。

事実と解釈で分けて考える

第2弾は振り返り方のコツ。これは面談で自分の書いた振り返りを話しているときに教えていただいたことです。もともと、話すことで自分の考えを整理するタイプでしたが話しているうちにいろんな話題が混ざったり、事実と考えが混ざったり、話が逸れたりと整理されないこともありました。面談で話しているときに私の振り返りは事実と解釈が一緒になってしまっていて、よりいい振り返りにするためには事実と解釈を分けて考えるといいというアドバイスを受けました。

実際のメモ

この後の面談では、今までもっといろいろあるのにと思いながらも数行しかかけていなかった振り返りがもっと具体的に、深くできるようになりました。

目的・理想・現状・差分

第3弾は考え方です。施設案内の英語版を作りたいと話した後、自分なりにどういうものを作りたいのかまとめたものをヨネさんに提出しました。

赤でたくさんフィードバックをいただいたお守りみたいな紙


そのときにやりたいこと、やることを明確にするために目的・理想・現状・その差分の埋め方の4つの観点から考えるといいよと教えていただきました。こうすることで、次に自分がしないといけないことが明確になります。

私はいつもつなげて動くことが苦手で、単発的にあれやろう!そのためにこれ!と動きがちでしたがこの考え方をすることでその苦手も克服できそうな予感がしました。この考え方はだいぶ自分のものになってきましたが、どうしても行動に移したい気持ちが強く、実際に取り組んでいるときに夢中になりすぎて目的を見失ったりしてしまうことがあります。なので、次の自分の課題は「目的」です。目的から考える、目的を見失わないことに取り組みます。

変わったところ

楽しいの軸

冒頭に触れた、わからなくなってしまった楽しいの軸はどうなったのでしょうか。うまく言語化はできていないのですが、来島早々、以前よりもはるかに心に余裕のある生活を気づけば楽しいと思うようになっていました。部活での楽しいは達成感や体を動かすこととセットだったので、そうでなくても、単体の楽しいでも自分は楽しいと感じることに気づきました。当たり前のことを忘れていた、わからなくなっていた自分にとっては大きな気づきでした。

シェアハウスみんなでするおしゃべり、もくもくと部屋でひとりでドラマを見る、料理をする、人とごはんを食べる、釣り、お魚をさばく、本を読む、人と話す、対話する、自転車に乗る、たけのこを掘る、ドライブに行く、音楽を聴く。あげ始めたらキリがないくらいにたくさんのことをこの島でしました。どれもかげがえのない思い出で、楽しいものとして私の記憶にずっとあります。

ほぼ初めての楽しかった釣り!

たくさん人と話して、知らなかった世界を知ったり、新たな価値観に触れてみたりすればするほど、「楽しい」の軸はたくさん存在することを知れました。きっと、来島前の自分は1つしかないと思っていたから部活の楽しいの軸に全てを当てはめようとしてうまくいかなかったのだと思います。「楽しい」だけじゃなくて、様々なことに軸はたくさん存在することを知れてよかったです。

これから

さてはてここまで長かったですが、やっと最終章です。私は今後、どうするのでしょうか。


ドライブで見た忘れられない景色

次なる課題

学んだところにも書きましたが、次なる自分の課題は「目的」です。何かをするときにきっかけは自分のしたい気持ちでも、ちゃんと、目的から考える。目的を見失わないように目的を常に考えて、行動する。こうやって自分のできなかったこと、苦手なことのハードルを下げる、克服するために努力することはきらいじゃないです。うまくいっている実感があるときは好きだったりもします。人としてレベルアップしてる感じがあるので(笑)

レインボービーチにて

今後の予定

島体験終了後、7月は東京に戻り部活とバイトをしつつ留学の準備をします。8月からは半年間カナダに留学する予定です。序盤にも書いた通り、私の2024の一大イベントです。行くことはもともとの予定と変わらないけど、今の私は島で学んだことを持っています。だから、島で学んだことを忘れないで生かして新たな学びと経験がたくさんできる機会にします。帰国後は復学し、就活をして卒業します。

もともと組んでいたスケジュール通り順調に進んでいたら島での経験なしに学生を終えていたでしょう。そう思うと、ぞっとします。それくらい、私には大事で濃い期間で、たくさん得ることのある期間でした。後ろに留学の予定がなければ島体験の延長はおそらくしていたと思うし、それくらい居心地のいい場所で毎日が充実していました。

マジックアワー@TADAYOI


留学先でも島で得たことを忘れず、みんなとの思い出を胸にがんばります。たくさんのことが得れたのは、自分とそれだけ向き合ってくれた人がいてくれた、人と環境に恵まれた証拠だと思います。関わってくださった方に感謝の気持ちでいっぱいです。大変長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。3か月、ありがとうございました!


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