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紛争?アフリカ?東ティモール?小学生にもわかる文章で解説しています。


紛争?アフリカ?東ティモール?小学生にもわかる文章で解説しています。

『さよなら紛争 ー武装解除人が見た世界の現実ー』
伊勢﨑賢治著
河出書房出版

中学入試過去問および大手塾国語テキストに出ていたので、取り寄せて読みました。

2009年発行で少し古いですが、大人が今読んでもとても勉強になることばかりです。

みなさんは、アフリカやアジアで紛争があるのをご存じだと思います。

著者の伊勢﨑先生は、東京外国語大学の教授をなさっていて、ご専門は国際関係論、特に、平和構築学という学問を専門になさっています。

本著でもあるように、伊勢﨑先生はNGOスタッフとして、長い間シエラレオネや東ティモール、アフガニスタン等で武装解除の解決人として活躍してから教授をされています。

仲裁に入る場合、まず取り組まなくてはならないのは、武器を捨てても殺されない、という安心感を与えることだと先生は説いています。そのために、中立的な立場の人間として非武装で乗り込み、敵でも味方でもないということをわかってもらうことからはじめます。

この、中立的な立場、というのが日本にずっといるとピンとこないのですが、日本は憲法9条により、戦争を放棄しているというのが大きいようです。

というのも、日本人が交渉にあたると、はっきり言うと人畜無害なわけです。戦争を仕掛けてくるわけでもなく、何か武器を隠し持ってやってきているわけでもない。丸腰なわけです。加えて、自動車などで彼らは日本製品をよく知っています。知らない人種というわけではないようです。

信頼してもらったら、次に聞き役に徹することのようです。滅茶苦茶な要求を突き付けてくるらしいのですが、まずは否定せず聞くこと。ここらへんは、平和な日本でも普通に大事なことですよね。

ただ、そうは言っても、紛争はなかなかなくならない。理不尽な殺りくや残虐な行為は後を絶ちません。

では、どうすればいいか。

伊勢﨑教授は説きます。

それは、広告力で紛争を止める、ということです。

は?何て?

でも、第二次大戦のときも、プロパガンダにより戦争へと人々を誘導していったことは歴史を少し勉強すればよくわかることです。プロパガンダ、すなわち、戦争をすべきだと宣伝広告を盛んにすることで、人々は自然に戦争へと心を傾けてしまうわけです。

間違ったことであっても、それは正しいことだと何十回も言われると、正しいように聞こえてしまう。これが宣伝広告の怖さであり、力のすごさでもあるわけです。

ということは、逆にそれを平和利用すればいいのではないか。

伊勢﨑先生はそう説いているのです。

なるほど、目からうろことはまさにこのことかもしれません。

なお、本著は小学生でもきちんと理解できるように、平易な文章とわかりやすい流れで構成されています。中学受験を考えていない親子にも、ぜひお読みいただきたいと思います。

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