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コロナによる五輪延期で泣いている美術館に同情しよう

「自粛期間で外に出られなくて苦しい!って実はあんまりない。もともとインドア派だし」と思っている方って結構いて、私もそうだから気持ちは分かる。結局のところ出勤がなくなっただけで、普段と変わらず漫画や小説を読んだり映画を観たりして日常を過ごすわけで、正直なところ自粛大歓迎。まぁ、何の苦痛もないのだ。

ただ私としては「美術館に行けない」というただ一点が辛かった。「くぅ〜!」って思った。本当は東京五輪が開催されていたわけで、各キュレーターたちがお金を使ってインバウンド客向けの巨大な企画を進めていたからだ。タイトルだけで、もう「日本にようこそ」的なキャッチーな展示会なのだ。しかし五輪が延期になるばかりか開催すらされないこともある。そのことを思うと切なすぎて、20分間くらいあらゆる野菜をささがきにしていた。「ささがきってどの野菜までいけるんだろう」と大根・きゅうり・ナスまでシバいてトマトにチャレンジしようとしたときに我に返ったのだ。

では「インバウンド客に向けてまーす」と、力を入れたが滑ってしまった企画とは具体的に何なのか。五輪向け、と銘打ってはいないが完全に外国人ターゲットだった各美術館の企画をさらしてやろう。

森美術館「STARS展」

奈良美智や村上隆、草間彌生をはじめ日本が世界に誇るアーティストを紹介する企画。「ワオ!タカシ・ムラカミ!ドラエモンアンドフラワー!フゥ!ヤヨイクサマ!ドット!メチャブツブツ!マッシュルーム!マ○ックマッシュルームダヨコレ!」を狙った企画であるが、日本人しか呼べなくなった。まぁでも元々六本木には外国人が多く生息しているので、そこまでダメージはないかもしれない。

横浜アソビル「バンクシー展 天才か反逆者か」

世界的に人気が高いバンクシー特集である。「バンクシーインジャパン!ニッポンデバンクシー!ストリートカルチャーネ!」を狙ったが日本人しか来ない結果となった。テレビで見たキュレーターがチャラい。さすがIT企業のビルである。

国立新美術館「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」

「ニッポン」だって。ここまで見え見えな企画も珍しい。「ニッポンノアニメーションハサイコウデス!オタクデース!カワイイカワイイ!」という海外陰キャを狙ったが、あえなく失敗に終わりそうだ。

東京都美術館「The UKIYO-E 2020 ─ 日本三大浮世絵コレクション」

東京五輪が中止になったのを見て真っ先に思い出したのはこの企画である。本来であれば「アンビリーバボー!キモノ!テラコーヤ!マウントフジ! ウキヨエハーワビサビノーカタマリネ!」とか言って若草とか瓶覗とかそんな色合いにハマった外国の方も現れたのだろうか。海外客のために「The UKIYO-E」とまで書いて……ハイフンが泣ける。うきよ-え……。声に出すと一層ハイフンの哀愁がヤバい。

まぁでも、今は家で美術を楽しめる時代

見出しの通り、そうなんですよ。今は正直、家で美術を楽しめる時代なんです。バーチャル美術館もオープンしたし、画像検索すればどんな絵もパパッと出てくる。美術について知りたい」と思っているときに取る行動って画像検索とインスタと、あとnoteかな。

YouTubeっていう発想はあんまり無いかも。だけどYouTubeで名画の紹介をしている「いとはる」さんという方がいて、これがとても見やすい。「クリムトの接吻を焼いてみた」みたいなことはやらない。

https://www.youtube.com/channel/UCC7jvB95AlEfMzAsoXecwjg

名画や画家の人生を落ち着いた口調と、映像で説明するスタイル。美術好きな大人の方は日常的に隙間時間で観られる。創作をしている方は作品のヒントになる。いろんな人が、それぞれの楽しみ方で観られるチャンネルです。そんで私がたまに原稿を書くことになりました!

ちなみに紹介した展示はあくまで延期であり、開催するからみんなで遊びに行こう。

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