見出し画像

『花粉症』 〜漢方で優しく体質改善〜

「またこの時期がきた~」
と憂うつになっている方も多いはず。花粉症の患者数は年々増えていて、花粉量の増大なども取りざたされています。
厚生労働省の発表する大規模調査では、全国平均で有病率が15.6%、北関東21.0%、南関東23.6%、東海28.7%で高い数値を叩き出しています。
花粉の飛散は北海道、沖縄が極端に少ないために罹患率が非常に低く、それ以外の地域は12~15%程度でどこも似たような水準です。
花粉が大量に飛ぶ山の地方よりも都市部の人に花粉症が多いことや、全国的に同じ地域に住んでいてもお年寄りの罹患率が少ないことから、要因として、

・食事の不摂生
・生活スタイルの変化
・精神的ストレス
・運動不足

などによる体質の変化が考えられます。
お年寄りの患者数が少ないという点でも、インスタント食品やスナック菓子、甘い物など今とくらべてほとんどなかった時代の食事、つまりは昔ながらの和食がアレルギー体質になりにくい要素があるのかもしれません。
実際に、糖質や甘い物の摂取が多くなり、インスリン抵抗性(インスリンが出にくい状態)によって炎症を活発化させるタンパク質の活動が盛んになることも、ピッツバーグ大学の研究で分かっています。
甘い物好きの花粉症の方は控えめが良いかもしれません。
他にも睡眠不足やストレス過多、運動不足も基礎代謝の低下や低体温を招き、体の抵抗力を下げます。特に低体温の方は、対症療法の市販薬や漢方よりも、体温をしっかり高めることが症状改善や予防に繋がりますので、温活を実践してみるのもお勧めです。
つい先日ご来店された花粉症でお悩みの中学生(男の子)の方の場合、漢方服用1週間で学校に持参するポケットティッシュが3個から1個へ減ったとと喜んで頂きました。体温を1週間ほど計測してもらってからご来店頂いたところ、36度をきる低体温症。低体温症は免疫作用を低下させ、アレルギーに対する抵抗性を減少させることがあります。鼻水・鼻詰まりを止める目的の処方を使用せずに、抵抗力を高めるものと体を温める漢方薬の2種類を服用してもらい、対症療法の薬を使用せずに症状が改善した東洋医学らしい症例です。

〜漢方処方と体質改善、対策と予防の両輪で〜

漢方での対策方法は二通りあります。
一つは、鼻水や鼻づまり、目の痒みなどすでに出てしまったつらい症状を改善させることです。そのためには即効性のある漢方薬が有効です。

・目のかゆみには、生薬・菊花(きくか)、決明子(けつめいし)、薄荷(はっか)、蔓荊子(まんけいし)など
・鼻水・鼻づまりには小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
・喉の痛み、咳には銀翹散(ぎんぎょうさん)  など

漢方薬の場合、眠くなるなどの副作用が少ないのが特徴です。

二つ目はまだ症状がでていない段階から漢方薬を使ってコツコツと体質改善に取り組むことです。
人間の自然治癒力を高めることを中医学では「衛気(えいき)を高める」と行った表現をします。言葉の通り「衛る(まもる)力(元気)を高める」といった意味になります。
主な生薬としては『黄耆(おうぎ)』が使われます。黄耆には、鼻炎を意図的に起こさせたラットモデルの炎症反応を抑制し、鼻粘膜への保護作用と治療効果があることが、中国の医療機関(中医研究院広安門病院分子生物学研究室)で分かっています。
黄耆を主とする漢方製剤を継続的に服用することで、皮膚粘膜が強くなり、花粉症だけでなく、風邪やインフルエンザにかかりにくい体作りができます。体質改善の場合は早めにとりかかることをお勧めします。

通常の食べ物にも炎症を悪化させるものもあるので、

・香辛料などのスパイス類
・揚げ物などの脂っぽいもの
・洋菓子などの甘いもの
・もち米(赤飯・おこわ、せんべい、ぼた餅など)
・アルコール

などは控えめに。
また、花粉症の人には水分代謝の悪いタイプ、冷え性やストレスの強いタイプが多いですから、冷たいものや生もの、水分の摂り過ぎも要注意です!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?