沖田修一監督の推薦図書『哀愁の町に霧が降るのだ』
読書の秋、ということでnoteの投稿企画でお題に出されていた推薦図書を読んでみました。
https://note.com/contest/%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E3%81%AE%E7%A7%8B2022?f=trend
選んだ本は、『哀愁の町に霧が降るのだ』。
理由は、選書をしたクリエイターに映画監督の沖田修一がいたから。
映画関連では唯一だったので迷わず選びました。
沖田修一推薦図書ということで選んだ書籍
映画監督が選んだ本ということで映画関連かと思いきや全然ちがいました。
どうやら椎名誠の自伝的青春物語とのことで、旅行記のイメージがあった椎名誠だけど、青春モノの映画で良作の多い沖田監督が選ぶ本なのであればこれはまたひと味違うはずと、この青春物語を手に取りました。
なかなか始まらない椎名誠の青春譚
文庫で上下巻。読み進めてどんな青春が始まるのかと思いきやこの物語はなかなか始まらない。
そう。この小説、前振りから始まるんですがとんでもなくまわり道をして本編に行くまでになんと上巻のほぼほぼを使うという徹底ぶり笑
まず椎名誠がどういう経緯でこの小説を書くに至ったか。
この小説を書くにあたってどのような状況で、どういう条件を出版社に出して準備に入ったのか。
いわゆる小説家がホテルに缶詰めと言われるごとく宿をしばらくの間借りてもらっていっぱしの作家のごとく準備に入ったものの結局全く筆が進まなかっただのとにかく前振りが事細かに伝えられる笑
筆者いわく、このままこの小説は始まらないのではないか?などと宣う始末。
「何なんだ、これは?」果たして小説なのか?
よく分からないまま話は進むのです。
そして、青春物語を始める前に、ということで椎名誠の友達紹介が始まる。
何でもこれをやらないと後の人物紹介に影響するらしい。
ということで、本編で登場する主要人物たちの紹介が始まるのでありました。
本作の感想
ということでようやく物語が始まるのでした。
内容といえば、東京・小岩にある「克美荘」という一間のアパートにて、お金はないがお酒は大好きという若かりし椎名誠と愉快な仲間たちの共同生活を描いたものです。個性的な面々が出入りし、そして青春はいつか終わりを告げ少し大人になってゆくお話。
それにしても前振りが長かった。
なんたるまわり道。
だけどその周り道ごと作品になっているんだからすごいんです。
この文章も感想にいくまでの方が長い笑
でもそれくらいがこの作品にはちょうどいい。
経済合理性とか効率とかコスパとかが跋扈する世の中にあって、こういう無駄に見えるまわり道の世界にボクらはとても自由を感じてしまうのだ。
そんな世界観が好きだった。
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