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映画『WAVES/ウェイブス』と、今後のA24作品

こんにちは。

A24の最新作『WAVES/ウェイブス』が公開されました。コロナの影響で公開が延期されていましたが、ようやくの公開。

スタイリッシュな映像とプレイリストムービーとも言われる満載の音楽に彩られた今っぽい青春ドラマでした。

今回は、A24の最新作『WAVES/ウェイブス』と今年公開される今後のA24作品を紹介したいと思います。


▼A24とは

そもそもA24とは何かと言うと、アメリカのインディーズ映画会社です。
インディーズながら『ムーンライト』でアカデミー賞にも輝き、斬新で新しい企画を次々と輩出する今一番注目の映画会社。

以前に記事も書きましたのでこちらも参考に。


▼『WAVES/ウェイブス』

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2019年 アメリカ
監督:トレイ・エドワード・シュルツ
出演:ケルヴィン・ハリソン・ジュニア、テイラー・ラッセル、アレクサ・デミー、ルーカス・ヘッジズ
あらすじ
高校生のタイラーは成績優秀なレスリングの選手で恋人もいて恵まれた家庭に育ち順風満帆な生活を送るが、肩のケガが悪化したことから選手生命の危機をむかえ恋人の妊娠が発覚し厳格な父のプレッシャーの下、徐々に歯車が狂い出していく…

◎音楽
とにかく大注目なのが音楽です。プレイリスト・ムービーと言われるだけあってカニエ・ウエストやケンドリック・ラマー、フランク・オーシャンなどのヒップホップミュージックが満載!

楽曲と劇中のドラマがシンクロしているシーンがあったり、ミュージックビデオのような仕上がりで、映像もかなりスタイリッシュでカッコイイ。

この辺りの楽曲の権利をクリアするのが大変だったらしいけど、クリアできたんだからすごい!

▼プレイリスト(Spoify)

▼プレイリスト(Apple Music)

◎映像
楽曲と劇中のドラマがシンクロしているシーンがあったり、ミュージックビデオのような仕上がりで、映像もかなりスタイリッシュでカッコイイ。

映像がぐるぐる回りすぎて、多少目疲れしてしまうほど笑

おしゃれなポスタービジュアルからもっとポップで軽いノリかと思っていたら意外とヘビーな内容で、ちょっとしたことで壊れてしまう繊細なティーンの心情と、それでも乗り越えていこうとする希望も見える内容でした。

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◎構成
兄タイラーの前半部分と妹エミリーの後半部分という2部構成になっていて、絶頂からの下落とどん底からの希望という対比が映像美と豪華な楽曲で紡がれていきます。

◎キャスト
キャストの中でも注目は、エミリーに友達になろうとするルーク役のルーカス・ヘッジズです。 このルークがまたいい奴で後半のおいしいとこを持ってきます笑

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ルーカス・ヘッジズは派手で目立つタイプではないのですが、いい映画のいい役を確実にものしていて若いのにかなりの実力派俳優で大注目です。
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『スリー・ビルボード』『レディ・バード』『ある少年の告白』などなどいい映画ばっかり出てます!

今後のA24作品『mid90s』にもクレジットされています。



▼今後のA24作品

今年は、A24作品が豊富で既に公開中の『ミッドサマー』も含めるとなんと7作品も公開! これは見逃せません。

◎2020年公開作品一覧
『ミッドサマー』 2/21公開
『フェアウェル』 2020年公開
『SKIN/スキン』 6/26公開
『WAVES/ウェイブス』7/10公開
『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』 8/7公開
『mid90s』 9/4公開
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』 10/9公開


▼『ミッドサマー』(2/21公開)

ミッドサマー

こちらは既に公開中ですが、奇才アリ・アスター監督による恐ろしくも美しい極上のホラー作品です。

北欧のおとぎ話のような世界で繰り広げられる白昼の明るい惨劇という今までにあまりないタイプの作品です。ホラー好きは必見!

ヒロインには、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』で四女エイミーを演じたフローレンス・ピュー。 本作で一躍名をあげ、今後はマーベルの新作『ブラック・ウィドウ』が控えています。



▼『フェアウェル』(2020年公開)

フェアウェル

2019年 アメリカ
監督:ルル・ワン
出演:オークワフィナ、ツィ・マー、ダイアナ・リン、他

こちらは、この画像にも書いてあるように4月に公開予定だったのがコロナの影響で公開延期になってしまった作品です。

新人ルル・ワン監督が自身の家族の話を映画化したもので、全米ではわずか数館公開だったのが評判を呼び、各所で絶賛され賞レースにも絡み、ゴールデングローブ賞で主演女優賞まで受賞するという快挙まで!

フェアウェル1

すっごい楽しみにしてただけに延期がめっちゃ残念!
「近日公開」になってるので近々公開してくれるはず。

ストーリーは、NYで暮らす主人公が余命わずかの祖母に会いに中国に帰郷するのですが、そこで本人に告知すべきか葛藤するというもの。予告編観ただけでも良さそうで、絶対泣いちゃうやつだと思います。

注目ポイントは主演のオークワフィナ。『オーシャンズ8』や『クレイジー・リッチ』などで存在感あるアジア系女優として活躍してますが、彼女ラッパーなんです。そしてコメディアンでもある多才な人です。

本作ではゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞してますのでその実力がかなり認められている証拠です。

早く観たい!



▼『SKIN/スキン』(6/26公開)

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2019年 アメリカ
監督:ガイ・ナティブ
出演:ジェイミー・ベル、ダニエル・マクドナルド、他

もう写真見ただけで怖いですが、これは実話ベースです。

スキンヘッドで差別主義者で全身タトゥーの白人至上主義者ブライオンは、シングルマザーのジュリーに出会ったことで今までの悪行を悔い、新たな人生を歩み出そうとするが… という内容です。

本作の公開のタイミングで、この映画の元になった短編版がオンラインで期間限定の無料公開されていたのですが、もうまさに衝撃作! わずか20分程度なのですが、差別主義者の怖さ、アメリカの闇が見事に描かれた作品でした。

これが実話をベースにしてるというのがもう衝撃なんですが、今のアメリカの「BLACK LIVES MATTER」の問題を知る上でも観ておかないといけないタイプの作品だと思います。

BLMが分かる映画も以前noteで紹介しています。

この映画は、A24が手がける作品なのですが、なぜか日本では全くそのことが触れられてません。日本の配給会社は「A24」を売り文句にしがちなのですが本作はあまりにもその情報が出ていないので違ってたんじゃないかと思うくらい笑

なので本国のA24のWEBサイトを見たらちゃんと載ってました。

ヒロインのジュリーを演じるのは、『パティ・ケイク$』でラッパーを目指すポッチャリ女子を好演したダニエル・マクドナルドで彼女も良い映画にちょくちょく出ています。



▼『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』(8/7公開)

ディックロング

2019年 アメリカ
監督:ダニエル・シャイナート
出演:マイケル・アボット・ジュニア、ヴァージニア・ニューコム、アンドレ・ハイランド、他

あることが原因で死んでしまったディック・ロング。殺人事件として捜査が進む中、真相を知るジークとアールは彼の死因をひた隠しにする…
コーエン兄弟の『ファーゴ』のようなミステリー仕立てのダーク・コメディとのこと。

ストーリーだけだとよく分かりませんが、この監督が以前にもA24製作で作ったのが、あのトンデモ映画『スイス・アーミー・マン』なんです!

それだけでこの映画が単純なミステリーでないのは、もう明白。
どれだけ変なオチが待っているのかが、めちゃ楽しみ!

役者も無名な人が中心なのが読めなくていい。



▼『mid90s』(9/4公開)

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2018年 アメリカ
監督:ジョナ・ヒル
出演:サニー・スリッチ、キャサリン・ウォーターストーン、ルーカス・ヘッジズ、他

1990年代のロサンゼルスを舞台にしたスケボー少年たちの青春ドラマって設定を聞くだけで、90年代カルチャーの雰囲気満載で面白そうな気しかしない!

音楽も良さげ!!

▼プレイリスト

この絵面で、音楽が良ければもう間違いなしな感じですが、さらに監督がジョナ・ヒルなんです!

コミカルな演技で大好きな俳優さんですが(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でのレオナルド・ディカプリオとの掛け合いも最高ですが、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』とか『21ジャンプストリート』あたりがもう最強です。ぜひ観てほしい!)、

そのジョナ・ヒルがA24で製作する監督デビュー作品。もう期待しすぎちゃってます笑

今回紹介する中では一番観たい作品がコレです。



▼『ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ』(10/9公開)

ラストブラックマン

2019年 アメリカ
監督:ジョー・タルボット
出演:ジミー・フェイルズ、ジョナサン・メイジャーズ、ダニー・グローヴァー、他

変わっていく街・サンフランシスコで、
ジミーが変わらずに心に持ち続ける大切なもの。
それは、家族との記憶が宿る
たったひとつの居場所と、たったひとりの親友。

この映画の説明を読むだけで何だかあったかくなるいい話なんだな〜というのが分かります。

『スモーク』みたいなその街に根付いた人と風景が一体になっていい雰囲気を出しているタイプの作品なんじゃないかなーと期待しています。


▼最後に

こうやってみると、楽しみな作品が本当に多い!
とりあえず全部観てみたいと思います。

それにやっぱりスターの出ていない良作で、人種や格差や世代、グローバルになったことによる問題や社会的メッセージにあふれた作品を積極的に作っているんだなと思います。

無名でも企画が面白かったりすれば若手にドンドン投資してカルチャーを作ってる気がします。ここから巣立つ才能も多いでしょうし、それでしっかりビジネスを成立させているからすごい。

これからもウォッチしていきたいと思います。


最後までありがとうございます。


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