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【クリスマスカード】聖夜に流れた温かなメロディ

《クリスマス・オルゴールの涙》

20☓☓年12月25日。夜9時。
私は一人、会社でパソコン相手に
静かに仕事をしていました。

晩御飯は近所でさっと
ラーメンで済ませたばかり。
編集部は珍しく誰もいなかった。
心は砂漠化していました。

そこへ、女子の後輩が一人、
外から帰ってきました。
よく働く女子で、人気作家を多く
担当していました。

しばらくすると、
微かに明るい音楽が社内に響いた。
あれ?うん? 
これはもしや、オルゴールの音色?
あ、さては、クリスマスカード?
オルゴールのカードだ。

後輩女子が担当する作家さんへ、
奇特なファンの方から、
クリスマスカードが届いていたのだ。
安全確認のため、
ファンからの封筒は
編集がまずは開封するのがルール。
そこで、編集部でクリスマスカードを
開けたら、オルゴールが鳴ったんです。

なのに、私は知らず知らず、
目頭が熱くなってきました。

好きな作家のことを思い、
オルゴールのクリスマスカードを
編集部に送ってくれる人がいる。
素晴らしい心根の方がいる。

ただ、残念なのは、
カードを送ってくれた読者は、普通、
オルゴールの音色を最初に聞くのは、
好きな作家だと思ってるだろう。
その思いは虚しくも、まさか、 
知らないオジサンが聞いてうっとり
聞いてるとは想定外でしょうね!?
私が真っ先にファンからの「ギフト」を
頂いてしまったような。

宛てられた作家より先に
感動させてもらったことが申し訳ない。

そういえば、今日はまだ、
誰にも「メリークリスマス」を
言ってなかった。

慌てて後輩に「メリークリスマス!」
と言ってみたが、彼女はイヤホンを
してるのか、返事なし(汗)。
ま、いっか。

それにしても、
オルゴールの音色って温かいんですね。
奇特なファンの方に、
ありがとうを、
いや、メリークリスマスを伝えたいな。

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