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【本の世界】本の役割は無尽蔵!?

「本を読むこと」に決まりも秘訣も術も
ないと私は思いたい。

文学批評家の吉田健一は、
「読書とは気持ちよくなるために
するものだ」と書いてあった。
読書といったらすぐ教養がつく、
読書したら、人生に成功できる、
読書したら東大に行ける、
そんな「偏見」が今は満ちている。
でも、そんな俗物志向でする読書は、
こころざしが低い気がする(笑)。

まあ、人間はみんな違う存在だから、
本との付き合い方も、
人の数だけあったらいいんでしょうね。

でも、私たちは弱い。
つい、甘い誘惑に惹かれてしまう。
東大生がすすめる読書術があると、
紹介されたら?
その紹介本を買ってしまう(笑)。

仕事ができる人になるという
謳い文句の本を見たら、
うーん、悲しいかな、
すぐ手にしてしまう(笑)。

「これからを生き残る読書術」や
「子どもを賢く伸ばす読書術」
「絶対に投資で損しない読書術」
なんて魔法めいた物が増えた。
読書に一定のパワーがあるという、
脅迫めいた読書術の本がめっきり増えた。

でも、よく考えてください。
そんな風に、
本に実践的な価値や力をもたせ、
一般の方々を煽り、
ベストセラーを狙うのは、
作者や編集者の悲しいさがのせいです。
(汗)!

甘い誘惑の本を買ってしまうのは、
よほどの本格的な作りの本でない限り
出版社や編集者や執筆家の、
思うツボな訳です。
出版社の人間の一人として
お詫び申し上げます。

では、
本は何のために存在するんでしょう。
本は、暇つぶし。
本は、知識や刺激の倉庫。
本は、人生の地図、羅針盤。
本は、ファッション・アイテム。
本は、絶望をなだめる特効薬。
本は、睡眠のための子守り唄。
本は、美女になる魔法のテキスト。
本は、育児や健康のための知恵袋。

まだまだありますね、
本が持つ役割は無限でしょう。

人の数だけ、本の役割も、
本との付き合い方も、
沢山沢山あるはずですね。

ただ、
上高地の澄んだ川の冷たさや、
イタリア・アマルフィの
ショートパスタの湯気や、
美しい人のかすかな香水の香りは、
本では、直には感じることができない…。
それだけは本には出来ない。

だから、たまには、
書を捨てて、町に出ましょうか?

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